食事を終えたら、俺の部屋に集まって話し合いをする。
まずはエミリアの目的を聞くことにした。
すると、国王……弟に頼まれてやってきたということがわかった。
「つまり、要約すると見張り役ってことか? 俺がこの地で何をしているのかという」
「そ、そういうことですわ。貴方のやってきたことが許されるわけではないですが、不確かな点が多すぎるのよ。それによっては情状酌量の余地が……」
「俺は今更、許しを乞うつもりはない。ひとまず、それだけは先に言っておく」
もし俺の行動次第では許すつもりなら、そんなのは御免こうむる。
俺は自ら望んでしたことだし、俺自身に罪もある。
何より、俺はもうゴタゴタに巻き込まれるのは勘弁だ。
「その言い方……やはり、そうだったの。貴方の行動は全て計算づくだったのね」
「おい? 聞いているのか?」
「き、聞いてますわ! アルスの考えはわかりました。では、その件については良いですの」
「なら良い。あと、さっきも言ったが俺を見張る分にはいて構わない」
むしろ、いてくれないと困る。
魔法が使えるエミリアはもちろん、ニールは優秀な狩人にして弓使いだ。
俺の快適スローライフ計画のために(キリッ)
「し、仕方ありませんわ。ここにいる間は、貴方のお手伝いをしますの。一応、世話になる身ですから」
「ああ、その辺は任せてくれ。さて、あとはこれか……蒼炎よ」
「あ、蒼い炎? それは一体?」
「いや、俺も良くわかってないんだが……ここにきてから使えるようになった技だ。同時に闇魔法を使えなくなったがな。これは、癒しの力があるらしい」
「そんな……癒しの力は教会に認められた聖女のみが使える技。そんなことが知られると面倒なことになるわ」
そう、おそらく教会の連中は存在を許しはしない。
女神に認められた聖女しか、癒しの力は使えないとされているから。
聖女を婚約者としている弟も、それを知っては黙ってはいられまい。
「言うか迷ったが、お前なら信用できる。弟達に言わない方が良い理由はわかるな?」
「アルス……ええ、そうね。知ってしまったら、それを聖女様や教会に知らせないわけにはいかないわ。そうすると、平和になったのにまた争いが起きるかもしれない」
「そういうことだ。俺としては悪さをするつもりもなく、ただ平穏に暮らしたい。まあ、領主になってしまったのでこの地にいる人々を救うくらいはするが」
「その言葉を信じるためにも、ここに滞在するのが良さそうですわね」
「んじゃ、これからよろしく頼む」
「仕方ありませんわね。流刑地とはいえ、人々が苦しんでいるのを黙って見てるわけにはまいりませんの……まさか、それを込みで? だとしたら、アルスはいつからどこまで考えて
?」
何やらブツブツ言っているが、これで優秀な人材確保だ。
あとは……面倒なことにならなければ良いが。
◇
……なんだ? また柔らかいものが……。
しかし、これは昨日とは違う。
きのうのはもっちりとして、何やら良い香りがした。
今回はふわふわで、森のような清々しい香りだ。
「……って、お前か」
「コンッ!」
俺の顔の上にフーコが乗っていた。
その顔は構ってと言っている。
「ふぁ〜おはよう。どうした、こんな朝早く……ってこんな時間か。もう、10時を過ぎているとは……昨日の疲れが出たのかもな」
「コンッ!」
「わかった、わかったから顔をスリスリするんじゃない。もふもふして気持ちよくなって二度寝しちまうだろう」
「スンスン」
「だからぁ……すゃ」
いかん! 気持ちよすぎる!
こんなん寝てしまうやろー!
いや、寝て良いのか……うむ、これぞもふもふスローライフか。
「何をやってるんですの?」
「ん? ……エミリアか、おはよう」
「おはようって……もう皆さん朝ご飯を食べて待ってますわ。疲れているので寝かせましょうということですが、流石に寝すぎですの」
「いやいや、お嬢様だってさっきまで寝てたじゃないですか」
「い、言っちゃダメですの!」
「寝てたんかい」
「そうですよ、さっきまでグースカ寝てました」
エミリアの後ろから、背の小さいニールがひょっこり現れる。
エミリアの身長は百七十くらいあるし、相変わらずスタイルも抜群だ。
こうしてみると、まごう事なき美女である。
まあ、中身は愉快な女の子なのだが。
「くくく……」
「何を笑ってますの?」
「いや、おもしれー女だと思って」
「……馬鹿にしてますの?」
「いや、褒めてるよ。んじゃ、着替えるから閉めてくれない? 見たいなら別だけど?」
「っ〜!? し、失礼しますわ!」
顔を真っ赤にして、慌ててドアを閉める。
相変わらず、箱入り娘って感じだ。
気が強いし、プライド高いし……俺は嫌いじゃないが。
「あれでは、嫁の貰い手がいるのやら……そして、お前は覗くんだな? まあ、普通に着替えるが」
「コンッ!」
「あちゃー、バレてましたか」
「バレバレだっての。そもそも、フーコ一人じゃドアを開けられん」
気配を消していたユキノが、カーテンの中から現れる。
色々な意味で相変わらずなやつだ。
慣れている俺でなければ気づかないだろう。
「むむっ、それは盲点でしたね。今度、開け方を教えないと……」
「やめい。んで、何か変わったことはあったか?」
「ご主人様の息子のサイズですか?朝は快調でしたよー」
「下ネタもやめい。それと、それは生理現象というやつだから勘弁して……」
「えへへー、私ならいつでも襲って良いんですよ?」
「なんか全てを吸い取られる気がするからやめとくわ」
もう、俺的には悪役の役目は終わった。
これまでは死にたくなかったから、そんな余裕もなかったが……。
今後は、そういうことも考えて良いのかもしれん……が、手を出したら負けな気もする。
「強ち間違ってないですねー。ヴァンパイア族は強いらしいので。なにせ、そのために強い種を探していますし」
「そういや、俺から離れないと聞いたが手紙とかも良いのか? 南にある亜人国家ノスタルジアだが、国境にいる者に手紙くらいは出せるだろう」
「うーん……今は面倒なので辞めときます。そのうち、出しますけど」
「そうか、それならそれで良い。よしフーコ、軽く食べたら散歩するか?」
「コーンッ!」
ユキノにも何やらありそうだが、俺にはゲームストーリー以外のことはわからない。
だが教会のことも含めて、その辺りについては入り込むつもりはない。
そう、俺は平穏な日々を過ごすのだ(キリッ)
……過ごせるといいのだが。
まずはエミリアの目的を聞くことにした。
すると、国王……弟に頼まれてやってきたということがわかった。
「つまり、要約すると見張り役ってことか? 俺がこの地で何をしているのかという」
「そ、そういうことですわ。貴方のやってきたことが許されるわけではないですが、不確かな点が多すぎるのよ。それによっては情状酌量の余地が……」
「俺は今更、許しを乞うつもりはない。ひとまず、それだけは先に言っておく」
もし俺の行動次第では許すつもりなら、そんなのは御免こうむる。
俺は自ら望んでしたことだし、俺自身に罪もある。
何より、俺はもうゴタゴタに巻き込まれるのは勘弁だ。
「その言い方……やはり、そうだったの。貴方の行動は全て計算づくだったのね」
「おい? 聞いているのか?」
「き、聞いてますわ! アルスの考えはわかりました。では、その件については良いですの」
「なら良い。あと、さっきも言ったが俺を見張る分にはいて構わない」
むしろ、いてくれないと困る。
魔法が使えるエミリアはもちろん、ニールは優秀な狩人にして弓使いだ。
俺の快適スローライフ計画のために(キリッ)
「し、仕方ありませんわ。ここにいる間は、貴方のお手伝いをしますの。一応、世話になる身ですから」
「ああ、その辺は任せてくれ。さて、あとはこれか……蒼炎よ」
「あ、蒼い炎? それは一体?」
「いや、俺も良くわかってないんだが……ここにきてから使えるようになった技だ。同時に闇魔法を使えなくなったがな。これは、癒しの力があるらしい」
「そんな……癒しの力は教会に認められた聖女のみが使える技。そんなことが知られると面倒なことになるわ」
そう、おそらく教会の連中は存在を許しはしない。
女神に認められた聖女しか、癒しの力は使えないとされているから。
聖女を婚約者としている弟も、それを知っては黙ってはいられまい。
「言うか迷ったが、お前なら信用できる。弟達に言わない方が良い理由はわかるな?」
「アルス……ええ、そうね。知ってしまったら、それを聖女様や教会に知らせないわけにはいかないわ。そうすると、平和になったのにまた争いが起きるかもしれない」
「そういうことだ。俺としては悪さをするつもりもなく、ただ平穏に暮らしたい。まあ、領主になってしまったのでこの地にいる人々を救うくらいはするが」
「その言葉を信じるためにも、ここに滞在するのが良さそうですわね」
「んじゃ、これからよろしく頼む」
「仕方ありませんわね。流刑地とはいえ、人々が苦しんでいるのを黙って見てるわけにはまいりませんの……まさか、それを込みで? だとしたら、アルスはいつからどこまで考えて
?」
何やらブツブツ言っているが、これで優秀な人材確保だ。
あとは……面倒なことにならなければ良いが。
◇
……なんだ? また柔らかいものが……。
しかし、これは昨日とは違う。
きのうのはもっちりとして、何やら良い香りがした。
今回はふわふわで、森のような清々しい香りだ。
「……って、お前か」
「コンッ!」
俺の顔の上にフーコが乗っていた。
その顔は構ってと言っている。
「ふぁ〜おはよう。どうした、こんな朝早く……ってこんな時間か。もう、10時を過ぎているとは……昨日の疲れが出たのかもな」
「コンッ!」
「わかった、わかったから顔をスリスリするんじゃない。もふもふして気持ちよくなって二度寝しちまうだろう」
「スンスン」
「だからぁ……すゃ」
いかん! 気持ちよすぎる!
こんなん寝てしまうやろー!
いや、寝て良いのか……うむ、これぞもふもふスローライフか。
「何をやってるんですの?」
「ん? ……エミリアか、おはよう」
「おはようって……もう皆さん朝ご飯を食べて待ってますわ。疲れているので寝かせましょうということですが、流石に寝すぎですの」
「いやいや、お嬢様だってさっきまで寝てたじゃないですか」
「い、言っちゃダメですの!」
「寝てたんかい」
「そうですよ、さっきまでグースカ寝てました」
エミリアの後ろから、背の小さいニールがひょっこり現れる。
エミリアの身長は百七十くらいあるし、相変わらずスタイルも抜群だ。
こうしてみると、まごう事なき美女である。
まあ、中身は愉快な女の子なのだが。
「くくく……」
「何を笑ってますの?」
「いや、おもしれー女だと思って」
「……馬鹿にしてますの?」
「いや、褒めてるよ。んじゃ、着替えるから閉めてくれない? 見たいなら別だけど?」
「っ〜!? し、失礼しますわ!」
顔を真っ赤にして、慌ててドアを閉める。
相変わらず、箱入り娘って感じだ。
気が強いし、プライド高いし……俺は嫌いじゃないが。
「あれでは、嫁の貰い手がいるのやら……そして、お前は覗くんだな? まあ、普通に着替えるが」
「コンッ!」
「あちゃー、バレてましたか」
「バレバレだっての。そもそも、フーコ一人じゃドアを開けられん」
気配を消していたユキノが、カーテンの中から現れる。
色々な意味で相変わらずなやつだ。
慣れている俺でなければ気づかないだろう。
「むむっ、それは盲点でしたね。今度、開け方を教えないと……」
「やめい。んで、何か変わったことはあったか?」
「ご主人様の息子のサイズですか?朝は快調でしたよー」
「下ネタもやめい。それと、それは生理現象というやつだから勘弁して……」
「えへへー、私ならいつでも襲って良いんですよ?」
「なんか全てを吸い取られる気がするからやめとくわ」
もう、俺的には悪役の役目は終わった。
これまでは死にたくなかったから、そんな余裕もなかったが……。
今後は、そういうことも考えて良いのかもしれん……が、手を出したら負けな気もする。
「強ち間違ってないですねー。ヴァンパイア族は強いらしいので。なにせ、そのために強い種を探していますし」
「そういや、俺から離れないと聞いたが手紙とかも良いのか? 南にある亜人国家ノスタルジアだが、国境にいる者に手紙くらいは出せるだろう」
「うーん……今は面倒なので辞めときます。そのうち、出しますけど」
「そうか、それならそれで良い。よしフーコ、軽く食べたら散歩するか?」
「コーンッ!」
ユキノにも何やらありそうだが、俺にはゲームストーリー以外のことはわからない。
だが教会のことも含めて、その辺りについては入り込むつもりはない。
そう、俺は平穏な日々を過ごすのだ(キリッ)
……過ごせるといいのだが。