……ったく、爆発音がするからきてみれば。
こんな都市の近くで瘴気が沸くとは。
しかも、戦ってる相手がこいつとはな。
赤いローブを身にまといとんがり帽子を被って立つ姿は、まさしく魔女そのものである。
「よう、久しぶり……ってわけでもないか。相変わらず、趣味の悪い服を着てんな」
「ア、アルス!? どうしてここに!? ……って、なんて言いましたの!?」
「いや、どっちかというとそれは俺のセリフなのだが? お前の服の趣味は置いといて……どうして、英雄の一人であり公爵令嬢のお前がいる?」
「そ、そんなの貴方に関係ありませんわ!」
「へいへい、そうかよ。んじゃ、とりあえず……こいつをぶっ殺せばいいんだな?」
目の前にはトロールがいる。
ったく、邪神を倒したのにまだこいつレベルが出てくんのか。
本当に、邪神は死んだのか? ……まあ、俺が考えることじゃない。
「デフェフェ……ブヘェェェ!!」
「ちっ! しっかり掴まってろよ!」
「きゃっ!?」
棍棒が振り下ろされたので、エミリアを抱き抱えその場を飛び退く。
あの棍棒に当たったら、こいつなんか潰れちまう。
「平気か?」
「は、はぃ……」
「あん? なんだ、しおらしくして……」
「し、してないですわ! ほら! 次がきますわよ!」
「わかってるよ!」
エミリアを抱き抱えつつも、棍棒による攻撃を避け続ける。
その見境のなさは、オークやゴブリン達もを潰していく。
「まあ、数が減る分には丁度いいか。それにしても数が多い、とりあえず減らすか——食い破れ、ファイアースネーク」
「私も行きますわ——押しつぶせ、アクアプレッシャー」
「グボボボボ!?」
「ァァァァ!?」
かたや水の圧力に押しつぶされ、かたや炎の蛇に身を焼かれ魔物が消滅していく。
「「相変わらずえげつない」」
「……何かぶせてんだ?」
「……それはこっちのセリフよ」
「ひぃ!? お二人とも、余裕ですねぇ〜!?」
涙と鼻水を出しながら、ニールが俺達に並走している。
こっちの奴も相変わらずって感じか。
見た目はそばかすのある地味な女性だが、弓の腕はずば抜けてるのに。
「まあ、ここまでくれば心配ないからな。大分、都市に近づけたし」
「えっ!? 都市に近づいていいんですか!?」
「貴方がここにいるってことは、あの子がいるってこと。それなら心配はいらないわね……早速来たわ」
その時、一陣の風が吹く。
次の瞬間には、俺の隣にユキノがいた。
トロールにドロップキックをかまし、華麗に着地したようだ。
そのトロールといえば、転がって向こうに行っている。
「おっまたせしましたー! アルス様の愛人ユキノですっ——キラッ!」
「……これさえなきゃ、凄腕の助っ人なのだが」
「そして、愛人って……あなた! すでに本妻がいるの!?」
「いねぇよ! こちとら独り身だっつーの!」
「本妻がいないのに愛人が!? は、破廉恥ですわ!」
「ァァァ!! 相変わらず話が通じないやつ! というか暴れるな! 押し付けるな!」
さっきから詰め寄ってるから顔が近いし、身体に胸が押し付けられてる!
ずっと独り身の俺の息子が目覚めてしまう!
……何を言ってるんだ、俺は。
「あぁー! イチャイチャしてずるいですっ! というか、お姫様抱っこしてますし!」
「イ、イチャイチャなどしてませんわ! これは不可抗力ですの!」
「じゃあ、代わってくださいよぉー!」
「お三方とも余裕ですねぇぇ〜!? ふぇぇーん! あいつがきますよー!」
「うるせぇぇぇ!! 俺はねむいんだっツーの! ほら! そんなにしたいなら任せる!」
「きゃぁぁ!?」
「わわっ!?」
エミリアをユキノに投げ、俺は鞘に手を添えて前に出る。
これで、ようやくあいつが斬れる。
「デブェェ!」
「よっと……お前達は下がってろ!」
「仕方ないですねー」
「わ、わかりましたわ!」
俺が棍棒による攻撃を受けている間に、三人が後方に下がる。
これで、遠慮なく戦うことができる。
すでに魔力は溜まっているので、いつでも発動は可能だ。
「まずは周りの雑魚共から始末するか——寝かせろやァァァ!」
「ギャキャ!?」
「ブホォォォ!?」
上空から降り注ぐ火の槍によって、ゴブリンやオークが塵になる。
しかし、あいつだけには効いてないらしい。
むしろ、中途半端に効いて怒り狂っている。
無意味に棍棒を振り回し、あちこちの地面をへこましていた。
「ベヘヘェェゥゥ!」
「何言ってるかわからん。とりあえず、俺の安眠を邪魔するなら容赦はせん……かかってこい」
「バァァァァア!」
どしどしと音を立てて、トロールが迫ってくる。
残りの魔力も少ないし、あいつには魔法が効きづらいし頑丈だ……ならば、アレを使うしかあるまい。
俺は精神を集中しつつ、奴が間合いに入るまで待ち……。
「ゲヘェェェ!」
「居合い——火龍一閃!」
相手の棍棒が振り下ろされる前に、腹に向けて居合いを放つ!
刀により腹が裂け、その裂けた部分を炎が焼いていく。
いくら魔法耐性があるとはいえ、これならばひとたまりもないだろう。
「ギェェェェ!?」
「そのまま燃え尽きるがいい」
「ァァァァ……ア、ア……」
「ふぅ、消え去ったか……っ!」
次の瞬間、身体から力が抜けていく。
そのまま、俺の意識は暗闇の中に沈んでいくのだった。
こんな都市の近くで瘴気が沸くとは。
しかも、戦ってる相手がこいつとはな。
赤いローブを身にまといとんがり帽子を被って立つ姿は、まさしく魔女そのものである。
「よう、久しぶり……ってわけでもないか。相変わらず、趣味の悪い服を着てんな」
「ア、アルス!? どうしてここに!? ……って、なんて言いましたの!?」
「いや、どっちかというとそれは俺のセリフなのだが? お前の服の趣味は置いといて……どうして、英雄の一人であり公爵令嬢のお前がいる?」
「そ、そんなの貴方に関係ありませんわ!」
「へいへい、そうかよ。んじゃ、とりあえず……こいつをぶっ殺せばいいんだな?」
目の前にはトロールがいる。
ったく、邪神を倒したのにまだこいつレベルが出てくんのか。
本当に、邪神は死んだのか? ……まあ、俺が考えることじゃない。
「デフェフェ……ブヘェェェ!!」
「ちっ! しっかり掴まってろよ!」
「きゃっ!?」
棍棒が振り下ろされたので、エミリアを抱き抱えその場を飛び退く。
あの棍棒に当たったら、こいつなんか潰れちまう。
「平気か?」
「は、はぃ……」
「あん? なんだ、しおらしくして……」
「し、してないですわ! ほら! 次がきますわよ!」
「わかってるよ!」
エミリアを抱き抱えつつも、棍棒による攻撃を避け続ける。
その見境のなさは、オークやゴブリン達もを潰していく。
「まあ、数が減る分には丁度いいか。それにしても数が多い、とりあえず減らすか——食い破れ、ファイアースネーク」
「私も行きますわ——押しつぶせ、アクアプレッシャー」
「グボボボボ!?」
「ァァァァ!?」
かたや水の圧力に押しつぶされ、かたや炎の蛇に身を焼かれ魔物が消滅していく。
「「相変わらずえげつない」」
「……何かぶせてんだ?」
「……それはこっちのセリフよ」
「ひぃ!? お二人とも、余裕ですねぇ〜!?」
涙と鼻水を出しながら、ニールが俺達に並走している。
こっちの奴も相変わらずって感じか。
見た目はそばかすのある地味な女性だが、弓の腕はずば抜けてるのに。
「まあ、ここまでくれば心配ないからな。大分、都市に近づけたし」
「えっ!? 都市に近づいていいんですか!?」
「貴方がここにいるってことは、あの子がいるってこと。それなら心配はいらないわね……早速来たわ」
その時、一陣の風が吹く。
次の瞬間には、俺の隣にユキノがいた。
トロールにドロップキックをかまし、華麗に着地したようだ。
そのトロールといえば、転がって向こうに行っている。
「おっまたせしましたー! アルス様の愛人ユキノですっ——キラッ!」
「……これさえなきゃ、凄腕の助っ人なのだが」
「そして、愛人って……あなた! すでに本妻がいるの!?」
「いねぇよ! こちとら独り身だっつーの!」
「本妻がいないのに愛人が!? は、破廉恥ですわ!」
「ァァァ!! 相変わらず話が通じないやつ! というか暴れるな! 押し付けるな!」
さっきから詰め寄ってるから顔が近いし、身体に胸が押し付けられてる!
ずっと独り身の俺の息子が目覚めてしまう!
……何を言ってるんだ、俺は。
「あぁー! イチャイチャしてずるいですっ! というか、お姫様抱っこしてますし!」
「イ、イチャイチャなどしてませんわ! これは不可抗力ですの!」
「じゃあ、代わってくださいよぉー!」
「お三方とも余裕ですねぇぇ〜!? ふぇぇーん! あいつがきますよー!」
「うるせぇぇぇ!! 俺はねむいんだっツーの! ほら! そんなにしたいなら任せる!」
「きゃぁぁ!?」
「わわっ!?」
エミリアをユキノに投げ、俺は鞘に手を添えて前に出る。
これで、ようやくあいつが斬れる。
「デブェェ!」
「よっと……お前達は下がってろ!」
「仕方ないですねー」
「わ、わかりましたわ!」
俺が棍棒による攻撃を受けている間に、三人が後方に下がる。
これで、遠慮なく戦うことができる。
すでに魔力は溜まっているので、いつでも発動は可能だ。
「まずは周りの雑魚共から始末するか——寝かせろやァァァ!」
「ギャキャ!?」
「ブホォォォ!?」
上空から降り注ぐ火の槍によって、ゴブリンやオークが塵になる。
しかし、あいつだけには効いてないらしい。
むしろ、中途半端に効いて怒り狂っている。
無意味に棍棒を振り回し、あちこちの地面をへこましていた。
「ベヘヘェェゥゥ!」
「何言ってるかわからん。とりあえず、俺の安眠を邪魔するなら容赦はせん……かかってこい」
「バァァァァア!」
どしどしと音を立てて、トロールが迫ってくる。
残りの魔力も少ないし、あいつには魔法が効きづらいし頑丈だ……ならば、アレを使うしかあるまい。
俺は精神を集中しつつ、奴が間合いに入るまで待ち……。
「ゲヘェェェ!」
「居合い——火龍一閃!」
相手の棍棒が振り下ろされる前に、腹に向けて居合いを放つ!
刀により腹が裂け、その裂けた部分を炎が焼いていく。
いくら魔法耐性があるとはいえ、これならばひとたまりもないだろう。
「ギェェェェ!?」
「そのまま燃え尽きるがいい」
「ァァァァ……ア、ア……」
「ふぅ、消え去ったか……っ!」
次の瞬間、身体から力が抜けていく。
そのまま、俺の意識は暗闇の中に沈んでいくのだった。