その後、小屋に戻り木の伐採を手伝う。
そして持てるだけの木を持って、再び都市に向けて出発する。
「来れたのはいいですけど、結構遠いですねー。片道で二日半ってところなので、往復で五日くらいですか。ただ、道がわかったので四日と見ときますかね」
「それでもきついな。何とか移動時間の短縮と、後は中継地点を作らないと。いや、森の前に専門の街を作るのがいいか?」
「その辺りも含めて話し合いですね。さあ、寒いので帰りましょー!」
「はいはい、お前は元気だね」
ただ、 今はその明るさが助かる。
なにせ問題は山積みだ……一つ一つやっていくしかあるまい。
俺のスローライフのために!
◇
帰りも村々に訪問をしつつ、行きより早く都市に帰還する。
ちなみに狼獣人達が道を覚えたというので、今後は彼らを道案内の仕事につけることにした。
「兄貴! お帰りなさいませ!」
「帰ってくるのを待っておりましたぞ!」
そこにはアイザックと、狼獣人のボスであるカリオンが肩を組んで出迎えてくれた。
いつのまにやら、仲良くなったらしい。
アイザックのこういうところには、俺もよく助けられたっけ。
なにせ俺はコミュニケーションを取るのが下手だし。
「ただいま、二人共。俺がいない間に、何か変わったことはあったか?」
「とりあえず、魔物が近づいてきたので撃退をしました。怪我人はいますが、死者はおりません」
「俺の方は魔獣を何頭か狩りましたぜ。雑食であるファンブルだけは沢山いたんで。もちろん、それを住民で分け合いました」
「よくやってくれた……ふぅ、流石に疲れたから休みたい」
ここ五日間、ほとんどゆっくりしていない。
村の家を借りたとはいえ、隙間風が吹いて寒いし。
野宿とかめちゃくちゃキツかった。
……でも、ここに住んでる人達はそうやって生活をしてきたんだ。
「へへっ! そいつを待ってました! 姉御! 兄貴を借りてくぜ!」
「ええ! そうですとも! 失礼いたします!」
「ちょ!?」
「はいはーい、いってらっしゃいませ〜。私は着替えてから行きますねー」
「コンッ!」
俺は大男二人に両腕を掴まれ、連行されるのだった。
そして説明を受けないまま、謎の小屋の前に案内される。
そこにはドワーフのダイン殿が待っていた。
「ダイン殿? この小屋は?」
「まあ、まずは開けてくれ」
「おい? いい加減説明をしろ」
「へへ、まずは開けてください」
「ええ、お願いいたします」
「……ったく、わかったよ……おおぉぉぉ!?」
その扉を開けた先には、俺の求めてやまない風景があった。
そう、そこには簡易的だが風呂があった。
広さも十分にあり5、6人は入れる。
洗い場もあり、前世で見た田舎にある小さな温泉宿を思い出す。
「ダイン殿! 風呂がある! 頼んだとはいえ、まさかこんなに早くできるとは」
「どうですかな、ドワーフの技術力は? 腕さえ治ればこっちのもんですわい」
「すごいなっ! 感謝する!」
「それなら、この二人にも感謝を。水を汲んだり、古い家を解体して木材を運んだりしてくれたのだ」
「……お前たち」
「へへっ、どうですかい?」
「我々からの、主人への感謝の気持ちです」
……くっ、不覚にも感動してしまったではないか。
いかん、このままでは泣いてしまう。
ここは主人として威厳を保たてばならない。
「ふはは! よくやった! 褒めてつかわす!」
「「「ははっー!!!」」」
「何をコントしてるんです? あぁー! お風呂ですっ!」
「げげっ!? 嫌な奴に見つかった!」
こいつのことだ、一緒に入るだのずるいだの言われるに決まってる。
そんなことになったら、俺はのんびり入ることができない。
……別に混浴などに惹かれてはいない!
「むむっ! さては独り占めするつもりですね! そうはさせません! 私だって入りたい……一緒に入れば解決ですね!」
「ですね……じゃねぇぇぇぇ!! たまにはゆっくりさせろや!」
「兄貴! ここは俺達に任せて行ってくれ!」
「わしも手を貸すわい!」
「主人よ! 我々に任せて先に!」
俺を庇うように、三人がユキノのは前に出る。
その姿は、さながら魔王に立ち向かう勇者だった。
彼らの犠牲を無駄にするわけにはいかない!
「私の邪魔をするんです? ……どうやら、死にたいみたいですねー」
「お前たち……ここを頼んだ! 死ぬんじゃないぞ!」
「「「おう!!!」」」
「あー! ご主人様! ……いいですよ、やってやりましょー!」
「「「ウォォォォォォ!!」」」
外の激しい戦いに耳を塞ぎつつ、俺は脱衣所で服を脱ぎ、まずは石鹸で体を洗う。
そして掛け湯をしてから、ゆっくりと念願の風呂に入る。
「く〜!! はぁ……しみるわ」
まさしく、五臓六腑に染み渡るとはこのことだ。
五日間の遠征の疲れが吹き飛ぶ。
「これは木で出来た風呂か……うん、いいものだな」
とりあえず、仕組みや作りなどは後で詳しく聞けばいい。
俺は考えるのを放棄し、ただただ湯船に浸かるのだった。
「そうか、これがスローライフってことか」
「邪魔ですよー!!」
「あぎゃぁぁぁ!?」
「うぉぉぉ!?」
「あばばばば!?」
……聞こえる叫びさえなければの話だが。
お前たちの犠牲……無駄にはしないぞ(きりっ)
そして持てるだけの木を持って、再び都市に向けて出発する。
「来れたのはいいですけど、結構遠いですねー。片道で二日半ってところなので、往復で五日くらいですか。ただ、道がわかったので四日と見ときますかね」
「それでもきついな。何とか移動時間の短縮と、後は中継地点を作らないと。いや、森の前に専門の街を作るのがいいか?」
「その辺りも含めて話し合いですね。さあ、寒いので帰りましょー!」
「はいはい、お前は元気だね」
ただ、 今はその明るさが助かる。
なにせ問題は山積みだ……一つ一つやっていくしかあるまい。
俺のスローライフのために!
◇
帰りも村々に訪問をしつつ、行きより早く都市に帰還する。
ちなみに狼獣人達が道を覚えたというので、今後は彼らを道案内の仕事につけることにした。
「兄貴! お帰りなさいませ!」
「帰ってくるのを待っておりましたぞ!」
そこにはアイザックと、狼獣人のボスであるカリオンが肩を組んで出迎えてくれた。
いつのまにやら、仲良くなったらしい。
アイザックのこういうところには、俺もよく助けられたっけ。
なにせ俺はコミュニケーションを取るのが下手だし。
「ただいま、二人共。俺がいない間に、何か変わったことはあったか?」
「とりあえず、魔物が近づいてきたので撃退をしました。怪我人はいますが、死者はおりません」
「俺の方は魔獣を何頭か狩りましたぜ。雑食であるファンブルだけは沢山いたんで。もちろん、それを住民で分け合いました」
「よくやってくれた……ふぅ、流石に疲れたから休みたい」
ここ五日間、ほとんどゆっくりしていない。
村の家を借りたとはいえ、隙間風が吹いて寒いし。
野宿とかめちゃくちゃキツかった。
……でも、ここに住んでる人達はそうやって生活をしてきたんだ。
「へへっ! そいつを待ってました! 姉御! 兄貴を借りてくぜ!」
「ええ! そうですとも! 失礼いたします!」
「ちょ!?」
「はいはーい、いってらっしゃいませ〜。私は着替えてから行きますねー」
「コンッ!」
俺は大男二人に両腕を掴まれ、連行されるのだった。
そして説明を受けないまま、謎の小屋の前に案内される。
そこにはドワーフのダイン殿が待っていた。
「ダイン殿? この小屋は?」
「まあ、まずは開けてくれ」
「おい? いい加減説明をしろ」
「へへ、まずは開けてください」
「ええ、お願いいたします」
「……ったく、わかったよ……おおぉぉぉ!?」
その扉を開けた先には、俺の求めてやまない風景があった。
そう、そこには簡易的だが風呂があった。
広さも十分にあり5、6人は入れる。
洗い場もあり、前世で見た田舎にある小さな温泉宿を思い出す。
「ダイン殿! 風呂がある! 頼んだとはいえ、まさかこんなに早くできるとは」
「どうですかな、ドワーフの技術力は? 腕さえ治ればこっちのもんですわい」
「すごいなっ! 感謝する!」
「それなら、この二人にも感謝を。水を汲んだり、古い家を解体して木材を運んだりしてくれたのだ」
「……お前たち」
「へへっ、どうですかい?」
「我々からの、主人への感謝の気持ちです」
……くっ、不覚にも感動してしまったではないか。
いかん、このままでは泣いてしまう。
ここは主人として威厳を保たてばならない。
「ふはは! よくやった! 褒めてつかわす!」
「「「ははっー!!!」」」
「何をコントしてるんです? あぁー! お風呂ですっ!」
「げげっ!? 嫌な奴に見つかった!」
こいつのことだ、一緒に入るだのずるいだの言われるに決まってる。
そんなことになったら、俺はのんびり入ることができない。
……別に混浴などに惹かれてはいない!
「むむっ! さては独り占めするつもりですね! そうはさせません! 私だって入りたい……一緒に入れば解決ですね!」
「ですね……じゃねぇぇぇぇ!! たまにはゆっくりさせろや!」
「兄貴! ここは俺達に任せて行ってくれ!」
「わしも手を貸すわい!」
「主人よ! 我々に任せて先に!」
俺を庇うように、三人がユキノのは前に出る。
その姿は、さながら魔王に立ち向かう勇者だった。
彼らの犠牲を無駄にするわけにはいかない!
「私の邪魔をするんです? ……どうやら、死にたいみたいですねー」
「お前たち……ここを頼んだ! 死ぬんじゃないぞ!」
「「「おう!!!」」」
「あー! ご主人様! ……いいですよ、やってやりましょー!」
「「「ウォォォォォォ!!」」」
外の激しい戦いに耳を塞ぎつつ、俺は脱衣所で服を脱ぎ、まずは石鹸で体を洗う。
そして掛け湯をしてから、ゆっくりと念願の風呂に入る。
「く〜!! はぁ……しみるわ」
まさしく、五臓六腑に染み渡るとはこのことだ。
五日間の遠征の疲れが吹き飛ぶ。
「これは木で出来た風呂か……うん、いいものだな」
とりあえず、仕組みや作りなどは後で詳しく聞けばいい。
俺は考えるのを放棄し、ただただ湯船に浸かるのだった。
「そうか、これがスローライフってことか」
「邪魔ですよー!!」
「あぎゃぁぁぁ!?」
「うぉぉぉ!?」
「あばばばば!?」
……聞こえる叫びさえなければの話だが。
お前たちの犠牲……無駄にはしないぞ(きりっ)