①物語の設定・主要キャラクターの説明
・物語の世界観
 中世異世界ファンタジーのスローライフもの。
 この世界では魔法や神々の奇跡が存在し、光輪教と呼ばれる宗教勢力が大きな影響力を持つ。人々は生活域を拡大するため、魔境と呼ばれる過酷な土地の開拓を行い、その開拓団には光輪教の神官も帯同する。魔境に生息する魔獣は死してなお周囲に瘴気や呪いを振り撒くため、神官による祈祷で浄化しなければならない。
 また、光輪教以外の土着の信仰が、魔境に住む異種族の間に根付いている。物語の舞台となるレスレオ大森林に暮らす獣人族たちは、巨獣神と呼ばれる自然の神霊を信じている。
 聖遺物と呼ばれる神代の遺産が残されており、特別な力を持つ者がそれを扱うことができる。そのようなものは〝聖者〟として称えられるが、肥大化した光輪教の組織においては制御の効かない不穏因子として疎まれる。

・主要登場人物のキャラクター紹介
▶︎クレスト
主人公。18歳。無自覚な聖属性。元々は神学校で優秀な成績を修め、将来を嘱望されていた。博愛主義の権化でありながら、人付き合いは苦手。聖遺物の使い手となれる素質を持ち、それを恐れた教会上層部によって辺鄙な土地の修道院に左遷される。

▶︎シェミル
16歳。光輪教の総本山、聖都の大神殿で祈祷の日々を送る聖女。生まれ持って強い女神の加護を受けており、聖都を侵蝕せんとする瘴気を阻む防御の要となっている。
神学校時代、クレストに助けられたことがあり、以来一方的に陶酔している。聖女としての務めよりクレストを選び、彼が左遷された開拓村へ旅の平民シェーンと身分を偽って押しかける。

▶︎アレイア
23歳。若くして金級に上り詰めた手練れの傭兵。魔獣狩りの専門家であり、レスレオ大森林の頂点に君臨していた地龍を討ち倒した。
長身、赤髪のワイルドな美女。私生活は非常にだらしなく、暇があれば酒を飲んで管を巻いている。

▶︎ミームゥ
15歳。レスレオ大森林で伝統的な生活を送る獣人族。族長の娘であり、共通語を扱えるため、開拓団と一族の連絡役を勤めている。褐色肌、猫耳、小柄な少女。片言。

▶︎ダグラス
34歳。大柄で屈強な男性。レスレオ開拓団の団長で、開拓村の村長も務める。右足を悪くして引退したが、元々は金級の傭兵として魔獣狩りをしていた。妻のミヘラと愛娘のマイニを溺愛している。
経験豊富で仁義に厚い、頼れるリーダー。

▶︎ミヘラ
32歳。快活で心優しく、面倒見のいい婦人。ダグラスの妻で、開拓村唯一の宿屋兼酒場の女将。

▶︎マイニ
5歳。ダグラスとミヘラの一人娘。好奇心旺盛で可愛い幼女。

②冒頭部分のプロット
第1話「クレスト追放」
 神学校で優秀な成績を収め、上級神官として将来を嘱望されていたクレスト。しかし、宝物庫に収められた聖遺物に触れてしまい、その力を引き出すことのできる〝聖者〟の素質が発覚する。〝聖者〟は力が強すぎるあまり、光輪教上層部の地位を揺るがしかねない。そのことを危惧した司教たちによって、クレストは辺境の開拓村の施療院へと左遷される。
 急な人事ではあったものの、クレストは教会内部の息苦しい人間関係から解放されると喜ぶ。だが、その噂を聞きつけた聖女シェミルは衝撃を受ける。聖都の大結界を維持する務めを無視して、司教たちの手を跳ね除けて飛び出したシェミルは、旅の平民シェーンと偽って、クレストの施療院へと押しかける。

第2話「開拓村の現状」
 クレストが訪れたのはレスレオ大森林の辺縁部に開かれた開拓村、ボルエ村。龍が倒され、森を切り拓こうと勢いのついた開拓民たちの拠点となっている。村長のダグラスやその妻ミヘラをはじめ、多くの村民はクレストを歓迎し、シェーンも暖かく迎える。
 一方で、龍骸の影響で遅々として進まない開拓に鬱憤を溜める者もおり、中には神官を疎ましく思っている者もいた。
 また、クレストの前任者である神官が森の獣人族との関係を悪化させてしまったため、開拓作業は難航していた。
 龍骸も放置されたままであり、一刻も早く鎮魂の儀を行わなければならないが、そのためには獣人族との協力が必要不可欠。クレストは村の人々や、何故か張り切るシェーンと共に鎮魂の儀の開催を目指して動き出す。

第3話「森の獣人族」
 鎮魂の儀を行い、龍骸を浄化するためには、レスレオ大森林の原住民である獣人、白牙族の協力を取り付けなければならない。しかし、クレストの前任の神官が獣人族を蔑視しており、非礼な態度を取ったことから、両者の関係は悪化していた。また、白牙族は巨獣神を崇める土着宗教を信仰しており、光輪教の教えとは相容れない。龍骸も自然に任せるべきだと主張していた。
 クレストはシェーンと共に白牙族の集落へと向かう。獣人たちは独自の言語を話し、それを理解することは難しい。唯一、族長の娘であるミームゥが拙いながらも共通語を扱えた。クレストたちはミームゥの協力を取り付けるため、彼女の狩りに同行することに。
 その間、シェーンは獣人族の村に滞在。(ここで巨獣神の矛を見つける)

第4話「獣人族の信仰」
 ミームゥは森の中を何なく駆け抜ける。クレストは付いていくだけで精一杯。そんな中、獣人族は狩猟こそ得意だが、料理は炙り焼き程度の簡単なものしかしていないことに気付く。食事は親睦を深めるなかで大事だと考えたクレストは、獣人族と食文化の交流を進めることを目指す。しかし、クレストが作った料理はミームゥの口に合わない。シェーンは、森にない香辛料などが慣れないのではないかと推察する。
 クレストはミームゥから森で取れる食材などを教えてもらい、再び料理を作る。二人の知恵を合わせた料理は、獣人の舌にも合う美味しいものとなった。
 ミームゥと仲良くなったクレストは、龍骸のある場所へ案内してもらうことに。

③今後の展開
 ミームゥと共に龍骸を確認するクレスト。それは非常に強い死の瘴気を放っており、広範囲に侵蝕していた。瘴気の呪いを通じて龍の復活が促されるため、獣人族も立ち入らない方が良いと伝え、クレストは浄化のために行う鎮魂の儀の用意を始める。
 そんな最中、開拓が進まないことは獣人族と神官が原因だと考える開拓村の過激派の一員が独断で龍骸を片付けようと近付き、その呪いを浴びる。しかし発覚を恐れた彼らはそれを秘匿し、被害が拡大する。マイニと仲の良い過激派の子を通じて露呈したが、その時には龍が魔力を吸い上げ、死龍として復活を遂げていた。アレイアをはじめ、村の総戦力で当たるが討伐は難しい。その時、シェーンが獣人族が崇める巨獣神の聖遺物を見つける。クレストがそれを使い、呪いを祓う。
 獣神の矛を呼び覚ましたクレストは獣人族から崇められる。過激派も獣人族に助けられたことで改心。無事に鎮魂の儀が施され、森に平穏が戻る。
 大団円のなか、シェーンはしれっと内縁の妻のようにクレストに寄りそう。怪我は治ったのかと聞くと腹痛や頭痛と適当に誤魔化す。またミームゥも彼に懐く。そんななか、クレスト自身は聖職者として妻帯はしないと考えていた。

 その一方。聖女を失った聖都では瘴気の侵蝕が迫っていた。