ヴィクトリカとの個人戦に勝利したアリアたちは、「敵ですらない出来損ない」から、他の候補者から明確な継承戦のライバルとして認識される。個人戦では膨大な魔力を持つアリアが有利なことから集団戦やダンジョン攻略RTA、領地経営シュミレーションなどトリッキーな勝負を挑まれる。
慣れない戦いやその準備に四苦八苦するアリアだが、弥勒の提案する常識を無視した戦法や新魔法の数々によって着実に白星を重ねていく。
「集団戦」→ピーキーな能力の者を疑似魅了魔法でスカウトし、相手の不意を突いて勝利判定のフラッグをもぎ取る。
「ダンジョン攻略RTA」→火山系のダンジョンだったので数キロ先の川から水を引き、水没させる。水蒸気爆発でダンジョンごと破壊。
「領地経営シュミレーション」→魔法による短期シュミレーションなので、長期的には必ず失敗する恐怖政治やマッチポンプを使った民衆扇動で相手の領地を荒しつつ自領を豊かに。
外道戦法や盤外戦術までもを駆使して候補者を倒し、名をあげていく。

一方で大恥を掻かされた挙句アリア以下の烙印を押されたヴィクトリカはアリアと弥勒の暗殺を計画する。個人では戦う力のない弥勒を罠に嵌めて拉致する。ヴィクトリカは弥勒が自分の陣営につけばアリアよりも確実に皇帝になれると断言し、寝返るように促すが、弥勒は拒否。自分のヘキに刺さる美少女になってから出直して来いと中指を立てる。

弥勒を助けに来たアリアだが、人質を取られて抵抗もできないままヴィクトリカにいたぶられる。自らの角を折るように命令され、それを実行したアリアの目の前で弥勒が殺される。目の前に投げ出された死体を抱きしめたアリアは、弥勒が万が一のために開発していた魔法を発動する。

——アリアの莫大な魔力をすべて消費し、20秒だけ時を巻き戻す「時戻し」の魔法を。

復活した弥勒は「時戻し」の効果で一時的に魔力が溢れたという。アリアの心を折ろうとしたヴィクトリカに激怒し、異世界には存在しない概念を魔法化して叩きのめす。また、アリアの角を魔法で治す。

実のところ、殺された時に黄泉に行った弥勒は非業の死を遂げた「紅玉族の怨霊たち」から莫大な魔力を受け取っていた。そのまま自分の力になるはずだったが弥勒は拒否。

「アリアは——俺の主人公は自分で未来を切り拓ける女だからな」

後年。
希代の名君として伝わる、とある紅玉族の傍らには、神算鬼謀と恐れられる一人の軍師がいたという。
自ら戦うことはせず、智謀と計略によってすべてを収める軍師は「自ら戦えばどれほどの強さなのだ」と訊ねられ、「ベッドの上では皇帝よりも強いぞ」と語ったとか語らなかったとか——……。