1.社畜、召喚される
プログラマとしてブラック企業で社畜生活を送る弥勒は、42連勤を終えて会社の机下にある寝袋に潜り込む。大好きだった漫画の続編が発売する、というニュースをスマホで眺めて無力感に襲われながらも目を閉じ——そして気づけば神殿のような場所にいた。
鑑定水晶によって名前とチートスキルが明らかになる転移者一行だが、鑑定を終えてすぐに皇帝候補たちにスカウトされていく。中でも一番の有力候補である淫魔族のヴィクトリカは多くの転移者を【魅了】で味方にしていくが、魔力量やスキルから弥勒を「使えない」と判断し、「可哀想な出来損ないにおすそ分け」と勝手にアリアへと割り振ってしまう。
誰かが魔法を使うと現れる理解不能な文字列に混乱しつつも持ち前のオタク知識で何となくの状況を理解した弥勒は、絶世の美少女アリアと仲良くなれることを喜ぶ。
転移者全員がどこかの派閥に拾われたところで解散となり、弥勒は追い払おうとするアリアをなだめすかしながら後をついていくが、たどり着いたのは海の家以下のぼろ家だった。
ジト目のアリアに訊ねられる。
「皇位継承戦でヴィクトリカに負けたら、きっと酷いことになるわよ?」
「……い、今から他の陣営に――」
「ここまで来ちゃった以上はもうどうしようもないわね」
「お、俺のチートで解決すれば女帝になったアリアたんに養ってもらいつつベッドで女帝の上に君臨出来て最高の性活が待っているはず……!」
「ヴィクトリカより先にアンタをぶちのめす必要がありそうね」
2.社畜、読み解く
性犯罪者予備軍(ミロク)への威嚇も兼ねて何度も魔法を暴発させるアリア。ミロクは彼女の魔法を読み解き、魔法の記述がプログラミング言語と同様の法則を持っていることに気づく。他者の魔法とアリアの魔法を見比べ、アリアが無意識化で大量の魔力を流してしまうがゆえの暴発だと気づく。古代クリプト言語で書かれており、いまや読み解けるものがほとんどいない記述の中から、魔力量に関する数字を見つけた弥勒は、己の少ない魔力でも威力の低い魔法なら発動させられることに気づく。
魔法言語の翻訳を熟すミロクと暴発の原因を知ったアリアの元に、ヴィクトリカと【魅了】に掛かった転移者が現れる。
「ごきげんよう、”出来損ない”のアリアさん」
強力な魔法を使ってアリアを痛めつけたヴィクトリカは、【魅了】の力で多くの人間を味方につけて皇位に就こうとしていること、そして皇帝になった暁にはアリアとその見方を全員斬首にすると言い放つ。
「そんなことさせないわ!」
「あなたの角はアクセサリーにでもして飾ってあげますわ。首飾り? ピアス? 好きなものを仰っていただければあなたみたいな”出来損ない”でも、それなりに見えるよう加工して差し上げますよわよ?」
自らも「使えない」と切り捨てられた弥勒は、一途に努力を重ねるアリアに暴言を吐いたヴィクトリカにキレた。
「なるほどぉ! 【魅了】使ってもアリアの方が美人だから嫉妬してるのか!」
「……はぁ!?」
「良いこと教えてやる。アリアはこれから魔法を極めて皇帝になる女だ」
「できっこありませんわ!」
「いーや、できる。俺が皇帝にする」
弥勒は宣戦布告した。
「一週間だ。タイマンでお前をぼっこぼこに出来るまでアリアを鍛え上げてやる」
3.社畜、創造する
「どうすんのよ!?」
「ああ!? 決まってんだろ! ぶっ飛ばすんだよ!」
アリアは魔力を限界まで絞って魔法を行使しようとするが、それでも暴発する。
「ナイアガラの滝にホース突っ込んで一滴だけ取り出そうってのが無理なんだよ」
「ナイ……何?」
「こっちの話だ。まぁ無理しても無理なもんは無理ってことだ」
「なっ……! じゃあどうするっていうのよ!」
魔法を見比べて「音」「光」「炎」などの単語や「範囲」「時間」「魔力量」などの指定を読み解いた弥勒は。その場でオリジナルの魔法を開発、アリアに伝授する。
「放つ前に暴発するなら、手のひらで暴発させろ。そういう魔法としてデザインしてある」
「生活魔法を魔改造する。攻撃用ですらない魔法中心でヴィクトリカをやり込めたら気持ち良いぞぉ!」
「制限すんな。お前の魔力量は武器なんだよ。ありったけ注ぎ込んでもぶっ壊れない魔法をデザインしてやっから!」
本気になった弥勒によってアリアは着々と強化されていく。
「すごい……昨日までまったく魔法なんて使えなかったのに」
「今まで頑張った成果だろ。新しい魔法を使うってのも難しいモンだと思うぞ」
己の手のひらを見つめたアリアは、弥勒へと視線を移した。
「ねぇ、何かしてほしいことはない? 皇帝になった後のことでも……今でも」
「何だ藪から棒に」
「ヤブカラボー……? わ、私は一生懸命尽くす臣下を大切にしたいだけよ! それに……いま逃げられたら、困るし」
「安心しろ。俺がお前を勝たせてやる。その代わり……」
「その代わり……?」
「一生養ってくれっ!」
「や、養う!? 一生って、そういうことよね!? た、確かにお世話になったし別に嫌とかそういうのじゃないけど、そんな突然言われても心の準備が……!」
「それから天蓋付きベッドとラノベ……あー、小説とか読み放題にして、好きなものを好きな時に好きなだけ食べる権利も欲しいな」
「……なんか、ダメ人間っぽくない?」
「あとは女帝として君臨するアリアの上に君臨する権利を——ベッドの上でな」
「ハァァァァァァッ!?!?!?! えっち! 変態! すけべ! 最低!」
プログラマとしてブラック企業で社畜生活を送る弥勒は、42連勤を終えて会社の机下にある寝袋に潜り込む。大好きだった漫画の続編が発売する、というニュースをスマホで眺めて無力感に襲われながらも目を閉じ——そして気づけば神殿のような場所にいた。
鑑定水晶によって名前とチートスキルが明らかになる転移者一行だが、鑑定を終えてすぐに皇帝候補たちにスカウトされていく。中でも一番の有力候補である淫魔族のヴィクトリカは多くの転移者を【魅了】で味方にしていくが、魔力量やスキルから弥勒を「使えない」と判断し、「可哀想な出来損ないにおすそ分け」と勝手にアリアへと割り振ってしまう。
誰かが魔法を使うと現れる理解不能な文字列に混乱しつつも持ち前のオタク知識で何となくの状況を理解した弥勒は、絶世の美少女アリアと仲良くなれることを喜ぶ。
転移者全員がどこかの派閥に拾われたところで解散となり、弥勒は追い払おうとするアリアをなだめすかしながら後をついていくが、たどり着いたのは海の家以下のぼろ家だった。
ジト目のアリアに訊ねられる。
「皇位継承戦でヴィクトリカに負けたら、きっと酷いことになるわよ?」
「……い、今から他の陣営に――」
「ここまで来ちゃった以上はもうどうしようもないわね」
「お、俺のチートで解決すれば女帝になったアリアたんに養ってもらいつつベッドで女帝の上に君臨出来て最高の性活が待っているはず……!」
「ヴィクトリカより先にアンタをぶちのめす必要がありそうね」
2.社畜、読み解く
性犯罪者予備軍(ミロク)への威嚇も兼ねて何度も魔法を暴発させるアリア。ミロクは彼女の魔法を読み解き、魔法の記述がプログラミング言語と同様の法則を持っていることに気づく。他者の魔法とアリアの魔法を見比べ、アリアが無意識化で大量の魔力を流してしまうがゆえの暴発だと気づく。古代クリプト言語で書かれており、いまや読み解けるものがほとんどいない記述の中から、魔力量に関する数字を見つけた弥勒は、己の少ない魔力でも威力の低い魔法なら発動させられることに気づく。
魔法言語の翻訳を熟すミロクと暴発の原因を知ったアリアの元に、ヴィクトリカと【魅了】に掛かった転移者が現れる。
「ごきげんよう、”出来損ない”のアリアさん」
強力な魔法を使ってアリアを痛めつけたヴィクトリカは、【魅了】の力で多くの人間を味方につけて皇位に就こうとしていること、そして皇帝になった暁にはアリアとその見方を全員斬首にすると言い放つ。
「そんなことさせないわ!」
「あなたの角はアクセサリーにでもして飾ってあげますわ。首飾り? ピアス? 好きなものを仰っていただければあなたみたいな”出来損ない”でも、それなりに見えるよう加工して差し上げますよわよ?」
自らも「使えない」と切り捨てられた弥勒は、一途に努力を重ねるアリアに暴言を吐いたヴィクトリカにキレた。
「なるほどぉ! 【魅了】使ってもアリアの方が美人だから嫉妬してるのか!」
「……はぁ!?」
「良いこと教えてやる。アリアはこれから魔法を極めて皇帝になる女だ」
「できっこありませんわ!」
「いーや、できる。俺が皇帝にする」
弥勒は宣戦布告した。
「一週間だ。タイマンでお前をぼっこぼこに出来るまでアリアを鍛え上げてやる」
3.社畜、創造する
「どうすんのよ!?」
「ああ!? 決まってんだろ! ぶっ飛ばすんだよ!」
アリアは魔力を限界まで絞って魔法を行使しようとするが、それでも暴発する。
「ナイアガラの滝にホース突っ込んで一滴だけ取り出そうってのが無理なんだよ」
「ナイ……何?」
「こっちの話だ。まぁ無理しても無理なもんは無理ってことだ」
「なっ……! じゃあどうするっていうのよ!」
魔法を見比べて「音」「光」「炎」などの単語や「範囲」「時間」「魔力量」などの指定を読み解いた弥勒は。その場でオリジナルの魔法を開発、アリアに伝授する。
「放つ前に暴発するなら、手のひらで暴発させろ。そういう魔法としてデザインしてある」
「生活魔法を魔改造する。攻撃用ですらない魔法中心でヴィクトリカをやり込めたら気持ち良いぞぉ!」
「制限すんな。お前の魔力量は武器なんだよ。ありったけ注ぎ込んでもぶっ壊れない魔法をデザインしてやっから!」
本気になった弥勒によってアリアは着々と強化されていく。
「すごい……昨日までまったく魔法なんて使えなかったのに」
「今まで頑張った成果だろ。新しい魔法を使うってのも難しいモンだと思うぞ」
己の手のひらを見つめたアリアは、弥勒へと視線を移した。
「ねぇ、何かしてほしいことはない? 皇帝になった後のことでも……今でも」
「何だ藪から棒に」
「ヤブカラボー……? わ、私は一生懸命尽くす臣下を大切にしたいだけよ! それに……いま逃げられたら、困るし」
「安心しろ。俺がお前を勝たせてやる。その代わり……」
「その代わり……?」
「一生養ってくれっ!」
「や、養う!? 一生って、そういうことよね!? た、確かにお世話になったし別に嫌とかそういうのじゃないけど、そんな突然言われても心の準備が……!」
「それから天蓋付きベッドとラノベ……あー、小説とか読み放題にして、好きなものを好きな時に好きなだけ食べる権利も欲しいな」
「……なんか、ダメ人間っぽくない?」
「あとは女帝として君臨するアリアの上に君臨する権利を——ベッドの上でな」
「ハァァァァァァッ!?!?!?! えっち! 変態! すけべ! 最低!」