「大丈夫ですか……？」
うずくまっている女の子に、ボクは手を差し伸べた。
ボクの足元には、3体のモンスターが倒れている。
ゴールデンウィーク明けの今日、
通っている中学へ登校するために、
いつものように近道の森を抜けようとしていた。
そうしたら、この女の子がモンスター達に襲われていたので、
ボクが助けたのだ。
同じ中学の制服。
制服の胸の刺繍の色を見る限り、3年生の先輩だ。
髪の毛は、きれいな茶髪に染められている。
不良かもしれないが、
危ない目にあっている女の子を放っておくわけにもいかないだろう。
「あ……、ありがとう……」
先輩は、ボクの手を取って立ち上がった。
どうやらケガは無いようだ。
「私、魔法を1回撃つと、しばらく撃てなくなっちゃうタイプなのよね……。
複数のモンスターの相手は苦手でさ……」
先輩は、そう言いながら右手を構える仕草をしたあと、
恥ずかしそうにうつむく。
「そうだったんですね……」
ボクはそのまま先輩を促して、一緒に歩き出そうとした。
「でもあなた……、そんなメイスみたいな武器で戦うなんて珍しいわね…？
まだ聖剣に目覚めてないの……？」
先輩が、ボクが右手に握っている武器をしげしげと眺めながら言った。
一瞬の静止。
「……いけ……です」
ボクは歩き出しかけた足をピタリと止めて、口に出す。
「えっ？何ですって？」
先輩は聞き返した。
「これはボクの聖剣ですううう！
メイスみたいで悪かったなあああ！？」
ボクは『メイス』と言われたボクの聖剣をブンブン振り回す。
「なっ……！？」
先輩はそれを見て、慌てて飛びのくと、
「ハアアアア！？
そんな刃もついてない、クッソ短いのが聖剣！？」
と驚愕の声を上げながら、ボクの聖剣を指差す。
「イヤアアアア！
ウソでしょ！？やめてよ！
そんなのに助けられたなんて、むしろ恥だわ！」
先輩はそう言いながら、自分の頭を抱えるように両手で掴み、
髪の毛をグチャグチャッとかき混ぜた。
「一瞬でも感謝した私が、バカみたいじゃあああん！？」
先輩はそのまま天を仰ぐように、背中を反らせて顔を上げる。
頭を抱えたいのはこちらのほうだ。
「ハアアアア！？
あんたこそ、連続で魔法も撃てないくせに、
なんでこんな森を1人で歩いてるんだよおおお！？
友達いねぇのかあああ！？」
ボクは思わず言い返す。
それを聞いた先輩はボクをにらみつけて、
「あんたもう話しかけないでよ！
いえ、そもそも近寄らないで！
ゴミクズみたいな聖剣のくせに！」
とボクの顔に向けて指を差しながら言い、
「手なんか握ってきちゃってさ！
マジでキモイ！
キモイキモイキモイ！
二度と顔も見たくないわ！」
と先ほどボクが握った手を、
制服の裾でゴシゴシと擦りながら捨てゼリフを吐くと、
中学のほうへダダダーッ！と走って行ってしまった。
「こっちのセリフだよおおお！このブ……！」
大声で叫びかけて、ボクはハッと我に返る。
一瞬の静止。
「またやってしまったあああ！」
ボクは自分の頭を両手で抱える。
「あそこで、
『そうなんです。これはメイスなんですよ。ハハハ。』
とでも言っておけば、丸く収まったじゃないかあああ！」
ボクは頭を抱えたまま、前かがみの姿勢になる。
「と言うか、ボクのほうも一人なんだってばあああ！
友達いないからあああ！」
ボクも先ほどの先輩と同じように、髪の毛をグチャグチャッとかき混ぜた。
そしてそのまま天を仰ぐように、背中を反らせて顔を上げる。
……自己紹介が遅れたが、
『木石夢路』。
それがボクの名前だ。
あだ名は『ムロ』。
小学生の時の担任の先生が、
ボクの名前の『夢路』を間違えて読んだ時から、
そう呼ばれることがある。
歳は13歳で、中学2年生になってまだ1ヶ月。
背や体型は普通も普通。
顔だって普通だと自分では思っている。
性格は……、真面目なほうかなあ……？
髪の毛は染めたりしていないし、
ワックスやスプレーなどの整髪料もつけていない、
ソフトツーブロックのような感じの校則を守った髪型だ。
思春期の真っ最中にいるボクには悩みがある。
そう。
ボクは、すっごく短いのだ。
気が短い。
ダメなのだ。
特にボクの聖剣のことを悪く言われると、
すぐに頭に血が上って怒鳴り散らしてしまう。
そのせいで、この歳になっても、彼女はおろか友達すらいない。
なんなら家族との仲まで悪い。
特に弟との仲なんて、最悪という感じだ。
いや。
友達とも家族とも仲は良かったのである。
ボクが聖剣に目覚める『聖通』が起こるまでは。
思春期を迎えた男性の肉体に聖剣が、
同じく女性の肉体に魔法が宿るようになった歴史は長い。
『人類は大昔の戦争でも、普通の武器の他に聖剣や魔法を使って戦っていた。』
と義務教育で習った。
『聖剣や魔法の性質というものは、その人の資質や個性の影響を強く受ける。』
ということも、義務教育で習った。
だから、思春期を迎えたボクが聖通したのも当たり前のことと言える。
問題はボクの聖剣にある。
太さは……、太い部類に入るかもしれない。
硬さは……、申し分ないと言える。
その辺の木や岩や、なんならコインなんかだって砕くことができた。
と言うか、コインを試しに全力で叩いてみたら、
台の代わりにした岩ごと砕け散ったのだ。
長さは……、すっごく短い。
持ち手を含めても、包丁よりちょっと長いくらいだ。
一番問題の刃は……、そもそも付いていない。
普通の聖剣は、
昔の刀や包丁を大きくしたような形状で、片方に刃が付いていて、
根元から先っちょまでが刃だったり、
そうでなくとも途中から先っちょまでが刃だったりする。
レアなケースだが、
昔の西洋の剣のような形状で、両方に刃が付いていたりする場合もある。
だが、ボクの聖剣の刃の部分は、半球状だ。
真っ二つにしたソフトボールのような形で、その下に持ち手が付いているだけ。
とても剣と呼べる形をしていない。
せめて、先っちょに向かって細くなっているとかなら、
サーベルや槍のような使い方ができただろうに。
これでは本当に、メイスやハンマーなんかで戦ったほうが、
いくらかマシかもしれない。
この聖剣を初めて見たとき、
両親と弟は一緒に驚き、一緒に悲しんでくれた。
だけど、友達は皆、口々にボクの聖剣の悪口を言った。
短小、刃なし、円形、キノコ、傘、粗末な聖剣、などなど。
最終的には、ボクをいじめ始めた。
無視したり、持ち物を隠したり、
『リセマラしたら？』と言ってきたり、などなど。
ボクはそれが悔しくて、許せなくて、ボクの聖剣で戦った。
戦って、皆の聖剣を、いじめられるたびに何度も折った。
聖剣は、たとえ折れたとしても、丸一日もすれば元通りに直る。
だけど、先生や両親達は、そのたびにとても怒った。
ボクは、自分がしたことを悪いとは思わなかった。
自分の力で変えられないものを理由に、バカにするなんて許せない。
生まれつき体の弱い人や、
障害のある人、
貧困な人、
男に生まれた人、
女に生まれた人。
そんなことを理由にバカにされて、許せるのかという話だ。
ボクの聖剣をバカにする者は誰もいなくなったが、
友達と呼べる人間もいなくなった。
ボクは、男子からも女子からも避けられるようになった。
それでも、弟だけは、立だけはボクの味方だった。
立が聖通するまでは。
立の聖剣は、太くて、長くて、その上、
根元から先っちょまで両刃だった。
レアなケースというわけだ。
「お兄ちゃんの聖剣の分まで、立が取っちゃったんだねー」
両親はニコニコしながら立の頭を撫でて言っていた。
その日から立は、ボクを無視するようになった。
ボクが立にあいさつしても、声を掛けても、無反応。
食器や箸なども、立自身と両親の分しか運ばない。
最終的には、リビングや廊下ですれ違う時、避けなくなった。
ぶつかろうが、お構いなしということだ。
体も立のほうが大きいので、ボクのほうが弾き飛ばされることになる。
自室が別々で、本当に良かったと思った。
そうしてボクは、立はもちろん、
両親とも滅多に会話しないようになっていった。
友達だった奴らにいじめられた時は、怒ることができた。
だけど、立に無視されるのは、ただただ悲しかった。
「（それでもボクは……！）」
ボクは、飛行機雲が横切った五月晴れの空を見上げる。
「（それでもボクは、立派な剣士として、人々を救えるようになりたい……！）」
ボクの意志は、すっごく固いのだ。
そんなことを考えながら歩いていたら、いつものようにボクの通う中学に着いた。
『福上市立、正甲中等学校』。
ボクの住む、福上市の中心部にある中学だ。
付近に住んでいる中学生と言えば、ほとんどがここに通っている。
中学2年生のボクはもちろん、中学1年生になった立も、この春から通っている。
まあ、普通の中学だと思う。
あっでも、剣魔部は、県大会の常連校だ。
昔は全国大会にも、よく出場していたらしい。
『剣魔』を知らない人がいるのかは分からないが、
簡単に言えば、
男性は聖剣を使って、女性は魔法を使って、
試合形式で、パワー、スピード、テクニックなどを競うスポーツだ。
剣魔の世界ランキングに入っているような有名選手は、
モンスターの討伐記録でも、優秀な成績を収めている。
ただ、正甲中の剣魔部顧問の先生達は、2人ともかなり変わっている。
「（まあ、ボクにはもう関係の無いことかも知れないけど……）」
うずくまっている女の子に、ボクは手を差し伸べた。
ボクの足元には、3体のモンスターが倒れている。
ゴールデンウィーク明けの今日、
通っている中学へ登校するために、
いつものように近道の森を抜けようとしていた。
そうしたら、この女の子がモンスター達に襲われていたので、
ボクが助けたのだ。
同じ中学の制服。
制服の胸の刺繍の色を見る限り、3年生の先輩だ。
髪の毛は、きれいな茶髪に染められている。
不良かもしれないが、
危ない目にあっている女の子を放っておくわけにもいかないだろう。
「あ……、ありがとう……」
先輩は、ボクの手を取って立ち上がった。
どうやらケガは無いようだ。
「私、魔法を1回撃つと、しばらく撃てなくなっちゃうタイプなのよね……。
複数のモンスターの相手は苦手でさ……」
先輩は、そう言いながら右手を構える仕草をしたあと、
恥ずかしそうにうつむく。
「そうだったんですね……」
ボクはそのまま先輩を促して、一緒に歩き出そうとした。
「でもあなた……、そんなメイスみたいな武器で戦うなんて珍しいわね…？
まだ聖剣に目覚めてないの……？」
先輩が、ボクが右手に握っている武器をしげしげと眺めながら言った。
一瞬の静止。
「……いけ……です」
ボクは歩き出しかけた足をピタリと止めて、口に出す。
「えっ？何ですって？」
先輩は聞き返した。
「これはボクの聖剣ですううう！
メイスみたいで悪かったなあああ！？」
ボクは『メイス』と言われたボクの聖剣をブンブン振り回す。
「なっ……！？」
先輩はそれを見て、慌てて飛びのくと、
「ハアアアア！？
そんな刃もついてない、クッソ短いのが聖剣！？」
と驚愕の声を上げながら、ボクの聖剣を指差す。
「イヤアアアア！
ウソでしょ！？やめてよ！
そんなのに助けられたなんて、むしろ恥だわ！」
先輩はそう言いながら、自分の頭を抱えるように両手で掴み、
髪の毛をグチャグチャッとかき混ぜた。
「一瞬でも感謝した私が、バカみたいじゃあああん！？」
先輩はそのまま天を仰ぐように、背中を反らせて顔を上げる。
頭を抱えたいのはこちらのほうだ。
「ハアアアア！？
あんたこそ、連続で魔法も撃てないくせに、
なんでこんな森を1人で歩いてるんだよおおお！？
友達いねぇのかあああ！？」
ボクは思わず言い返す。
それを聞いた先輩はボクをにらみつけて、
「あんたもう話しかけないでよ！
いえ、そもそも近寄らないで！
ゴミクズみたいな聖剣のくせに！」
とボクの顔に向けて指を差しながら言い、
「手なんか握ってきちゃってさ！
マジでキモイ！
キモイキモイキモイ！
二度と顔も見たくないわ！」
と先ほどボクが握った手を、
制服の裾でゴシゴシと擦りながら捨てゼリフを吐くと、
中学のほうへダダダーッ！と走って行ってしまった。
「こっちのセリフだよおおお！このブ……！」
大声で叫びかけて、ボクはハッと我に返る。
一瞬の静止。
「またやってしまったあああ！」
ボクは自分の頭を両手で抱える。
「あそこで、
『そうなんです。これはメイスなんですよ。ハハハ。』
とでも言っておけば、丸く収まったじゃないかあああ！」
ボクは頭を抱えたまま、前かがみの姿勢になる。
「と言うか、ボクのほうも一人なんだってばあああ！
友達いないからあああ！」
ボクも先ほどの先輩と同じように、髪の毛をグチャグチャッとかき混ぜた。
そしてそのまま天を仰ぐように、背中を反らせて顔を上げる。
……自己紹介が遅れたが、
『木石夢路』。
それがボクの名前だ。
あだ名は『ムロ』。
小学生の時の担任の先生が、
ボクの名前の『夢路』を間違えて読んだ時から、
そう呼ばれることがある。
歳は13歳で、中学2年生になってまだ1ヶ月。
背や体型は普通も普通。
顔だって普通だと自分では思っている。
性格は……、真面目なほうかなあ……？
髪の毛は染めたりしていないし、
ワックスやスプレーなどの整髪料もつけていない、
ソフトツーブロックのような感じの校則を守った髪型だ。
思春期の真っ最中にいるボクには悩みがある。
そう。
ボクは、すっごく短いのだ。
気が短い。
ダメなのだ。
特にボクの聖剣のことを悪く言われると、
すぐに頭に血が上って怒鳴り散らしてしまう。
そのせいで、この歳になっても、彼女はおろか友達すらいない。
なんなら家族との仲まで悪い。
特に弟との仲なんて、最悪という感じだ。
いや。
友達とも家族とも仲は良かったのである。
ボクが聖剣に目覚める『聖通』が起こるまでは。
思春期を迎えた男性の肉体に聖剣が、
同じく女性の肉体に魔法が宿るようになった歴史は長い。
『人類は大昔の戦争でも、普通の武器の他に聖剣や魔法を使って戦っていた。』
と義務教育で習った。
『聖剣や魔法の性質というものは、その人の資質や個性の影響を強く受ける。』
ということも、義務教育で習った。
だから、思春期を迎えたボクが聖通したのも当たり前のことと言える。
問題はボクの聖剣にある。
太さは……、太い部類に入るかもしれない。
硬さは……、申し分ないと言える。
その辺の木や岩や、なんならコインなんかだって砕くことができた。
と言うか、コインを試しに全力で叩いてみたら、
台の代わりにした岩ごと砕け散ったのだ。
長さは……、すっごく短い。
持ち手を含めても、包丁よりちょっと長いくらいだ。
一番問題の刃は……、そもそも付いていない。
普通の聖剣は、
昔の刀や包丁を大きくしたような形状で、片方に刃が付いていて、
根元から先っちょまでが刃だったり、
そうでなくとも途中から先っちょまでが刃だったりする。
レアなケースだが、
昔の西洋の剣のような形状で、両方に刃が付いていたりする場合もある。
だが、ボクの聖剣の刃の部分は、半球状だ。
真っ二つにしたソフトボールのような形で、その下に持ち手が付いているだけ。
とても剣と呼べる形をしていない。
せめて、先っちょに向かって細くなっているとかなら、
サーベルや槍のような使い方ができただろうに。
これでは本当に、メイスやハンマーなんかで戦ったほうが、
いくらかマシかもしれない。
この聖剣を初めて見たとき、
両親と弟は一緒に驚き、一緒に悲しんでくれた。
だけど、友達は皆、口々にボクの聖剣の悪口を言った。
短小、刃なし、円形、キノコ、傘、粗末な聖剣、などなど。
最終的には、ボクをいじめ始めた。
無視したり、持ち物を隠したり、
『リセマラしたら？』と言ってきたり、などなど。
ボクはそれが悔しくて、許せなくて、ボクの聖剣で戦った。
戦って、皆の聖剣を、いじめられるたびに何度も折った。
聖剣は、たとえ折れたとしても、丸一日もすれば元通りに直る。
だけど、先生や両親達は、そのたびにとても怒った。
ボクは、自分がしたことを悪いとは思わなかった。
自分の力で変えられないものを理由に、バカにするなんて許せない。
生まれつき体の弱い人や、
障害のある人、
貧困な人、
男に生まれた人、
女に生まれた人。
そんなことを理由にバカにされて、許せるのかという話だ。
ボクの聖剣をバカにする者は誰もいなくなったが、
友達と呼べる人間もいなくなった。
ボクは、男子からも女子からも避けられるようになった。
それでも、弟だけは、立だけはボクの味方だった。
立が聖通するまでは。
立の聖剣は、太くて、長くて、その上、
根元から先っちょまで両刃だった。
レアなケースというわけだ。
「お兄ちゃんの聖剣の分まで、立が取っちゃったんだねー」
両親はニコニコしながら立の頭を撫でて言っていた。
その日から立は、ボクを無視するようになった。
ボクが立にあいさつしても、声を掛けても、無反応。
食器や箸なども、立自身と両親の分しか運ばない。
最終的には、リビングや廊下ですれ違う時、避けなくなった。
ぶつかろうが、お構いなしということだ。
体も立のほうが大きいので、ボクのほうが弾き飛ばされることになる。
自室が別々で、本当に良かったと思った。
そうしてボクは、立はもちろん、
両親とも滅多に会話しないようになっていった。
友達だった奴らにいじめられた時は、怒ることができた。
だけど、立に無視されるのは、ただただ悲しかった。
「（それでもボクは……！）」
ボクは、飛行機雲が横切った五月晴れの空を見上げる。
「（それでもボクは、立派な剣士として、人々を救えるようになりたい……！）」
ボクの意志は、すっごく固いのだ。
そんなことを考えながら歩いていたら、いつものようにボクの通う中学に着いた。
『福上市立、正甲中等学校』。
ボクの住む、福上市の中心部にある中学だ。
付近に住んでいる中学生と言えば、ほとんどがここに通っている。
中学2年生のボクはもちろん、中学1年生になった立も、この春から通っている。
まあ、普通の中学だと思う。
あっでも、剣魔部は、県大会の常連校だ。
昔は全国大会にも、よく出場していたらしい。
『剣魔』を知らない人がいるのかは分からないが、
簡単に言えば、
男性は聖剣を使って、女性は魔法を使って、
試合形式で、パワー、スピード、テクニックなどを競うスポーツだ。
剣魔の世界ランキングに入っているような有名選手は、
モンスターの討伐記録でも、優秀な成績を収めている。
ただ、正甲中の剣魔部顧問の先生達は、2人ともかなり変わっている。
「（まあ、ボクにはもう関係の無いことかも知れないけど……）」
