幸人「どうしたんですか。大丈夫ですか？」

私は、いつの間にか私は泣いていたようだ。あの半年間では、流せなかった涙が。

哀歌「ありがとう。大丈夫だよ。」
幸人「大丈夫そうには見えないけど…」

　それが私たちの出会いだった。幸人くんもゲームセンター未来に行った事があるようで、幸人くんはその時の話をしてくれた。幸人くんの過去は壮絶なものだった。彼女を殺され絶望の日々が続く中、ゲームセンター未来で死んだ人と話せる鏡で好きな人と話して前に進めたらしい。私も涙を流したことで少し前を向けた気がする。
　幸人くんとの出会いが、私の人生を変えた。大学生の幸人くん。どこか大人びていて、それでいて影を持つ。魅力的な男性。いつの間にか惹かれてしまっていた。唐突に幸人くんが話があると言って呼び出された。そこは、なんの変哲もない交差点だった。少し視界が悪い。

哀歌「どうしてここに?」
幸人「ここは、殺された彼女と出会った場所です。」
哀歌「どうして私をここに?」
幸人「なんでだろう。僕にも分からない。彼女がそこにいそうな気がして。哀歌さんを紹介したくて。」
哀歌「幸人くん?私を紹介って?」
幸人「僕の好きな人だよって。ちゃんと前向いて生きてるって。伝えたい。」
哀歌「そっか。私も幸人くんの事好きだよ。彼女さえ良ければ、私と付き合ってくれる?」
幸人「和歌ぁ。」
哀歌「えっ幸人くん?」
幸人「哀歌さん。彼女が良いって。良いって言ってますよ。やっとだねって。」
哀歌「そっか。良かった。」

哀歌は、和歌という名前を聞いて驚いた。昔、近所に住んでいた浅間和歌ちゃんじゃないだろうかと。和歌ちゃんの母は、生まれてすぐに殺された。そして和歌ちゃんも…………。16歳の冬に後妻に殺された。はず……。この近所では、有名な話。その殺された彼女が、和歌ちゃんだった。偶然にも、程がある。和歌ちゃんが私と幸人くんを出会わせてくれたとしたら。そう思わずにはいられなかった。