その日は、夕飯の買い出しに一人家を出た。奨学金があるので、未だに実家に住んでいる。買い物の途中、電話が掛かってきた。それは、可愛がってくれている隣のおじさんだった。
おじさん「大変!青雲さん家が……。」
深空  「落ち着いて。私の実家がどうしたの?」
おじさん「火事なんだ。青雲ちゃん。すぐに帰ってこれるかい?」
深空  「うん。すぐに帰る。」
帰ると、そこには焦げて黒くなった家。そして、義母と父の死体だった。二十三歳、社会人一年目にして天涯孤独となった。血の繋がらない妹はいるが、行方が分かっていない。家もお金も無く、ただ夜の街を彷徨っていた。横断歩道を渡っていたら、信号無視の車に轢かれそうになった。避ける時に運悪く、足を挫いてしまった様だ。何とかベンチに座ったが、これ以上歩けない。靴も履けず困っていた。
怜央「どうされましたか?僕は怜央です。」
深空「ちょっと、足を挫いてしまって……。私は深空です。」
怜央「その足では、家に帰れないでしょう。送りますよ。」
深空「家、無いです。ちなみに、お金も無いです。」
怜央「では、家に来ますか?しばらく居候してても良いですし。」
深空「良いんですか?ありがとうございます。」