私は、深い空と書いてみあと読む。小さい頃から、何処にも馴染めなかった。家では、使用人も同然。実母が死んでから、自然とそうなった。実母がつけた名前。実母が遺したのは、それだけだ。生きている間には、私の名前を呼んだ事だってあったはずだ。だが残念ながら実母は、2歳の時に死んでしまったので記憶にない。唯一思い出せるのは、優しく笑いかけるあの顔だ。それが、どれだけ哀しいか虚しいのか。分かる人はいるだろうか。