櫂人が意識不明になってから、10日が経つ。毎日雫は、櫂人に話しかける。
雫 「櫂人。私気づいたんだ。本当の恋人になろう。今なら母が検査だから言えた。櫂人の事が好きなんだ。お願いだから櫂人。目を覚まして。」
雫の目には涙が静かに流れ落ちる。隠れる様にひっそりと。
櫂人「雫泣かないでよ。」 
雫 「櫂人!?って今の聞いてた?」
櫂人「バッチリ聞いてた。」
雫は、耳まで真っ赤だ。
櫂人「んで。恋人になりたいんだって?」
雫 「うん。いい?」
櫂人「勿論。僕も一目惚れだったんだ。」
母 「お熱いわね~。」
雫 「お母さん?何処から聞いてたの?」
母 「最初からよ。嘘の恋人なのもバレてるわよ。まぁ何となくぎこちなかったからねぇ。」
雫 「流石お母さん。お母さんに嘘はつけないね。」
櫂人「挨拶させて貰って良いですか。」
母 「勿論良いけど。挨拶はちゃんと雫を一生幸せにすると決めてからしてね。まだ貴方達付き合ってすぐでしょ。」
母はもうすぐ死ぬ。そんな事、皆分かっている。仏壇に挨拶しに来て欲しい。そんな所だろう。
櫂人「その時は是非。その覚悟は既に出来ているのですがね。今はその時ではないので。」
雫 「ちょっと。恥ずかしい。他に入院している人居るんだよ?」
櫂人「嬉しすぎて、考えて無かった。ごめんね。」
雫 「その捨てられた犬みたいな顔しないでよ。きゅんきゅんするでしょ。」
櫂人「もっときゅんしてくれても良いんだよ?」
母 「お母さん居るの忘れてない?ラブラブするのはそこら辺にして。」