.6 中級魔族討伐2


「格好からして魔法使い──それも冒険者でしょうか? 私を討伐しに来たのですね」

 魔族が上品な笑みを浮かべる。

「中級魔族、だな?」

 俺は確認しつつ、少しずつ後退した。

 魔法戦において重要なのは、距離だ。
 呪文を唱えるための詠唱時間や、発動のための集中力加速時間。

 それらを一秒でも稼ぐためには、相手との間合いが重要なのだ。
 相手は逆にその距離を詰めるのが、魔法戦のセオリーだが……。

「いかにも。私はミルヴァムと申します。以後お見知りおきを」

 中級魔族ミルヴァムは俺に近づこうともせず、優雅に一礼した。

「アルス、さっきの戦いでアルスの魔力が上がったよ」

 ティアがそっと耳打ちする。

「なら、攻撃魔法の威力も上がってるんだよな?」
「だね」

 にっこりうなずくティア。

「じゃあ、いくぞ」

 彼女に手を伸ばすと、ティアがその手を握った。

 柔らかな手は、次の瞬間、光の粒子となって舞い散った。
 黄金の魔導書に姿を変えた彼女が、俺の左手に収まる。

「戦闘準備、完了だ」
「ほう、『大賢者の魔導書』ですか」

 ミルヴァムが驚いた顔をした。

「知っているのか?」
「もちろんですよ……かつて魔王や高位魔族とすら渡り合ったという伝説の大賢者『魔導公女(まどうこうじょ)』──その魔法の精髄ともいえる魔導書……ふふ、まさかこんな場所で出会えるとは」
「ティアって有名なんだな……」
「私じゃなくて大賢者様がね」

 魔導書からティアの声が響く。

「では、存分に殺し合うとしましょう。我が魔力のすべてをかけて」

 ミルヴァムが魔力弾を放った。

「『フラッシュボム』!」

 俺は光弾の呪文で迎撃する。

『オリハルコンゴーレム』を一撃で倒した、魔力を破壊エネルギーに変換する攻撃魔法。
 二つのエネルギー弾は空中でぶつかり合い、大爆発を起こした。

「なるほど、なかなかの魔力量だ──ならば、速射性はどうです?」

 ミルヴァムが、動いた。

 速い──!?
 さすがに中級魔族だけあって、魔力だけじゃなく身体能力でも人間をはるかに超えている。

 すさまじい速度で俺の周囲を回りながら、死角から魔力弾を撃ってきた。

 反応できない──。

「『ホーミングボム』!」

 俺は自動追尾魔法を放った。

 これなら俺自身が反応できなくても関係ない。
 魔法の方が勝手に魔族の攻撃を迎え撃ってくれる。

「やりますね! ですが──」

『ホーミングボム』をかいくぐり、一発の光弾が俺の胸元をかすめる。

「ぐっ……!」

 胸にかけていたペンダントが引きちぎれ、地面に落ちた。
 胸元が裂けて血が噴き出す。

「『ヒーリング』──」

 俺はすぐさま治癒魔法を唱え、傷を治した。
 だが、痛みで集中が乱れる。

「遅い遅い」

 ミルヴァムが勝ち誇った。

「魔法の威力は高くても、詠唱スピードや使用タイミングはまだまだですね」

 悔しいが、奴の言う通りかもしれない。

 俺の魔法能力はごく最近に魔導書によって付与されたもの。
 この力を『自分の力』として使い、戦った経験があまりにも少ないのだ。

 呪文一発で楽勝の相手ならともかく、ある程度拮抗した相手だとその経験がものを言う。

「次は防げますかな……『影の炎』!」

 ミルヴァムが火炎魔法を放つ。
 俺はまだ次の呪文を発動できる状態じゃない。

「まずい──」

 そのとき、足下で緑色の輝きが弾けた。

「なんだ……?」

 さっき地面に落ちたペンダントが光っている──?

『「第六の魔導書(キシャル)」を起動します。マスターに【自動魔法結界】が付与されました』

 ペンダントから、声が響いた。
.7 中級魔族討伐3


 俺の前方に緑色に輝く魔導書が浮かび上がる。

「まさか、これは──?」

 そうだ、間違いない。

「二冊目の魔導書……?」
「いや、三冊目だ」

 驚くミルヴァムに俺は言った。

「ふむ。ならば試してみましょうか。その魔導書の力を!」

 魔族がふたたび高速移動を開始する。

 あいかわらず、速い。
 すでに『身体強化』の魔法はかけているが、人間の限界をはるかに超えて強化された反応速度をもってしても、奴の動きにはまるでついていけない。

「『影の剣』!」

 ミルヴァムが攻撃魔法を放った。

 しゅんっ……!

 俺の足下の影がうごめき、そこから黒い剣が飛び出してくる。

「くっ……!?」

 避けられるタイミングじゃない。
 迎撃の魔法も間に合わない。

 剣が俺の胸元に迫り、

 がきいん。

 重い響きとともに、その剣は弾き飛ばされた。

 俺の前方に、緑色に輝く盾が浮かんでいる。
 突然現れたそれが、ミルヴァムが魔法で生み出した剣を防いだのか。

「これが──【自動魔法結界】か」
「うん。アルスになんらかの攻撃や危害が及びそうになると、自動的に守ってくれるよ」

 と、ティア。

「自動的……つまり、俺の意思とは無関係に、か」

 つぶやく俺。

「じゃあ、奴の攻撃に反応できなくても問題ないな」
「今の魔法程度なら、百発受けてもビクともしないよ。さあ、反撃を。マスター」
「ああ」

 これなら──勝てる!

「むうっ……」

 さすがにミルヴァムも表情を引き締めた。

 悟ったんだろう。
 すでに己の優位は崩れ去っている、と──。

「ですが、この私が人間ごときに後れを取ることはあり得ません!」

 高速移動で俺を幻惑するミルヴァム。

 攻撃方法はワンパターンだが、確かに効果的だ。

 俺は奴の動きに反応できない。
 奴は、攻撃し放題だ。

「だけど──問題ないんだ。もう。反応できなくても」

 がががががががいいいいいいいいいいいいいいんっ。

 連続して防御の音が響く。
 緑の盾は一つだけではなく、俺の周囲のあらゆる場所に出現し、ミルヴァムの攻撃を防ぎ続けた。

 自動的に、すべての攻撃を。

 ただの一発たりとも、俺の体には触れさせない。

「もう通用しない」

 俺は右手を掲げた。

「『ホーミングボム』!」

 自動追尾魔法を放つ。
 これなら、俺が奴の動きを捉えられなくても関係ない。

「ぐっ……! お、おのれぇ……」

 光球が次々と着弾する。

「さらに『ホーミングボム』!」

 そして第二波、第三波──。
 ミルヴァムの攻撃は完全に封殺し、俺は一方的に攻撃を放ち続けた。

「ぐうううっ、がぁぁぁっ……!」

 うめく中級魔族。

 やがて、その声が完全に途絶えた。

 俺の波状攻撃が、ミルヴァムを打ち倒した瞬間だった。

「中級魔族討伐クエスト、完了だな」
.8 魔族固有魔法


『戦闘終了により【魔力無限成長】の効果が発動されます』
『「中級魔族」×1の残存魔力を吸収しました』
『マスターの魔力総量が上昇しました』
『マスターの魔法耐性が上昇しました』
『マスターの魔力収束速度が上昇しました』

『戦闘終了により【全属性魔法習得】の効果が発動されます』
『「中級魔族」の所持魔法「魔族固有魔法・影の炎レベル2」を習得しました』
『「中級魔族」の所持魔法「魔族固有魔法・影の剣レベル1」を習得しました』
『「中級魔族」の所持魔法──』



 という感じで、恒例の撃破後パワーアップが終了した。
 ミルヴァムからは八種の魔法を習得することができた。
 その中には、人間が本来使えない『魔族固有魔法』もあった。
 今後の戦いで大いに役立ってくれそうだ。

「やったね、アルス」

 魔導書から使い魔形態に戻ったティアが俺の側に立つ。

「今回は強敵だったけど、収穫も大きかったな」
「一気に強くなれたんじゃない?」
「ああ、ティアのサポートのおかげだ。ありがとう」
「えへへ」

 俺が礼を言うと、ティアははにかんだように微笑んだ。
 うん、可愛い。

「それに収穫はもう一つ──」

 緑色に輝く魔導書に視線を向ける。
 第六の魔導書、キシャル。
【自動魔法結界】によって、俺の防御力は今までとは比較にならないほど上がったはずだ。

 これも、今後の戦いで役立ってくれるだろう。
 強くなっていく実感は、素直に嬉しかった。

「……っと、浸ってる場合じゃないな。町中にはまだ魔族が残っているかもしれない。退治しに行こう」
「だね」

 俺とティアは町中の見回りを再開した。



 しばらく進むと、四体のレッサーデーモンが小さな公園の前にいた。
 たぶん、レッサーデーモンはミルヴァムが召喚しただろうから、奴が死んだことで新たな下位魔族が町に現れることはないはずだ。

 ただ、すでに召喚済みの連中に関しては自動的に魔界に戻る……ということにはならないようだった。

「町の人たちが平和に暮らすために、悪いけど消えてもらう」

 俺は呪文を放つために精神集中を開始する。
 そうだ、新たに覚えたあの呪文を試そう。

「魔族固有魔法──『影の炎』!」

 もしかしたら、人間である俺には魔族の魔法は使えないんじゃないか、とも思ったが、

 ごうっ!

 きっちり発動した。

 レッサーデーモンの足下の影から、渦巻く炎が出現する。
 影という死角から放つ火炎魔法。

 回避も防御も困難なこの魔法を、レッサーデーモンたちはまともに浴びた。

 大爆発。
 後には、消し炭と化した四体のレッサーデーモンが残るだけだった。

「この魔法はなかなか使えそうだ」
「強敵相手にも効果がありそうだね」
「この調子で町に残ってる魔族を片づけていこう」

 俺とティアはふたたび歩き出した。

 ──その後、レッサーデーモンをすべて打ち倒すのに、そう時間はかからなかった。
 町中の魔族は完全に掃討することができた。

 ミッション達成だ。
.9 キシャル



「無事にクエストを達成されたんですね。さすがはアルスさんです」

 ギルドの受付に行くと、ポーラさんが満面の笑みで出迎えてくれた。

「それだけの腕があるなら、新しいメンバーを募ってパーティを組んでみては? きっとSランクパーティになれますよ」
「うーん……新しいメンバーは、ちょっと」

 口ごもる俺。

「前のパーティのことで色々あったので、まだ気持ちの整理がつかなくて」
「あ……そうですよね。ごめんなさい」

 ポーラさんが謝った。

 俺とラスターたちのいざこざは、周囲に詳細が伝わっているわけじゃない。
 だけど、なんとなくギルドの人たちは何が起きたのかを察しているんだろう。

 もちろん、ポーラさんも。

「いえ、いいんです。なので当面はティアと二人でがんばりたいな、って」
「うん。私がいるから大丈夫っ」

 ティアが俺の腕にしがみついてきた。

「……そう、ですか?」

 ポーラさんの目が一瞬怖くなる。
 俺じゃなくて、ティアを見て。

「ん? どうしたんですか、ポーラさん?」
「──はっ!? い、いえ、なんでも……おほほほ」

 慌てたように素に戻るポーラさん。

 なんか様子が変だったな。
 まあ、いいか。



 俺はティアとともに宿に戻った。

「かなりの大金が手に入ったな」
「このままいけば、ランクも一気に上がるんじゃない?」

 冒険者ランクにはいくつかの査定基準があり、その中には『獲得報酬額』も含まれる。
 この前のダンジョン探索や今回の中級魔族討伐でかなりの報酬を得たし、俺の冒険者ランクは次の査定でBから上がるかもしれない。

「Aランクは間違いないと思う。いずれはSランクも夢じゃないね」
「Sランク……ラスターと同じランクか」

 遠い存在だと思っていた、あのラスターと同じ場所に行けるかもしれない。
 不思議な感じだった。

 パーティランクの方は結成したばかりだから最底辺のFだけど、これもどんどん上がっていくといいな。

「全部、ティアや他の魔導書のおかげだよ。ありがとう」

 俺はティアに頭を下げた。

「偶然の成り行きから魔導書を使えることになったし、本当に幸運だった」
「ううん。あなたは正当な手続きを経て、私たちのマスターになったんだよ。運やめぐり合わせはあるかもしれないけど、それだけじゃない」

 ティアが俺を見つめる。

「あなたの意思が、今の結果を導いたの。だから胸を張って、マスター」
「……ありがとう」

 俺はティアに二度目の礼を言う。
 と、そのときだった。



 ──突然、部屋全体に緑色の輝きが広がる。



「な、なんだ……?」

 驚く俺。

「まさか、この光──」

 ティアがハッとした顔になる。
 そうだ、この光の色は……。

「第六の魔導書の、光か……?」

 次の瞬間、俺たちの前でその輝きが弾けた。

「ふうっ……やっと使い魔形態に戻れましたの」

 現れたのは、一人の少女だった。

 気品のある美貌。
 黄金の髪を長く伸ばし、縦ロールにしている。
 身に着けているのは緑色の豪奢なドレス。
 まるで貴族令嬢のような装いだ。

「あなたが新しいマスターですの?」

 彼女が俺を見つめた。

「君は……?」

 俺はまだ呆然としていた。

「キシャルと申します。どうぞお見知りおきを」

 彼女──キシャルはスカートの裾をつまみ、優雅に一礼する。

第六の魔導書(キシャル)が使い魔形態として実体化した姿ですの」
.10 大賢者の魔導書たち


「実体化……?」
「あら、ティアマトさんから何も聞いていませんの?」

 キシャルが首をかしげる。

「あ……まだちゃんと説明してなかったかも。えへへ、ごめんね」

 ティアが言った。

「私たちはね、古の大賢者『魔導公女(まどうこうじょ)』様が生み出した魔導書なの。今の姿は、使い魔形態として実体化した姿──ここまでは説明したよね」
「ああ」
「魔導書は全部で九冊。私やキシャル、それにまだ実体化はできてないけどエアもそう。他の六冊は行方が分からなくなってる」
「使い魔の姿になれるのはティアだけかと思っていたよ」
「『魔導大戦』で受けたダメージが、一番少なかったからね。私は」
「『魔導大戦』……か」

 確か、何千年も昔、最強クラスの魔法使いたちが世界中で巻き起こした戦いだ。

『世界を滅ぼそうとする』魔法使いと『世界を守ろうとする』魔法使い……二つの陣営で行われた大戦争である。
 大賢者『魔導公女』は世界を守ろうと戦い、多くの魔法使いを討ったんだとか。

 ただ、九冊の魔導書のこととか、そういう細かい話までは現代に伝わっていない。
 俺もティアと出会って、初めて知ったことだ。

「激しい戦いは十五年も続いたの。その中で魔導書は一冊、また一冊と損傷し、使い魔形態をとれないほどのダメージを受けて、行方が分からなくなっていった」

 謳うように告げるティア。

「『魔導公女』様の手元に最後に残ったのが、私とキシャル、エアの三冊。その中でもキシャルとエアがまず大きな損傷を受けて、使い魔形態から装身具の形態へとランクダウンした」
「装身具……」

 俺はハッと気づいた。

「もしかして、ティアがいつも身に着けていたイヤリングとペンダントか」
「そ。あれはエアとキシャルの休眠形態を兼ねてたんだよ」

 と、ティア。

「話を戻すけど──大戦の中で、私も魔力の大部分を失ったの。とうとう『魔導公女』様と離れ離れになり、とある遺跡で眠ることになった。で、何千年か経って──そこを訪れた冒険者のパーティによって目覚めさせられた」
「そうか、俺たちが──」
「だね。アルスが所属していた『祝福の翼』が私たちを見つけたの。シンシアが私と使い魔契約を結んで……私はシンシアの魔力をもらいながら、さらなる回復を待った。だけど、この間のダンジョンで『オリハルコンゴーレム』によって使い魔の肉体を破壊されて……強制的に休眠解除になっちゃったのよね」
「そうだったのか……」
「だから、今の私は不完全な状態」

 すでに圧倒的な魔力を出せる状態だけど、これでもまだ完全じゃないのか。

「私やキシャル、エアはあなたの魔力をもらいながら、大戦のダメージを癒している最中なの。キシャルは使い魔形態になれるまで回復したし、エアもいずれ回復するはずだよ」

 ティアが言った。
.11 俺たちの目標


「よかった。またこうしてキシャルと話せて」
「ふふ。私もですの、ティアマトさん♪」

 ティアとキシャルは手をつなぎ、ぴょんぴょんと跳びながら喜んでいる。
 心温まる光景、って感じだ。

 よかったな、二人とも──。
 俺もほっこりした。

「エアや、他にも散り散りになっちゃったみんなと会いたいな……」

 ティアがぽつりとつぶやく。

「エアさんはともかく、他の六人は行方すら分からない人が多いですの……」

 寂しげなキシャル。
 他の六人と会う──つまりは、この世界のどこかにあるはずの、大賢者の魔導書を六冊見つけ出せばいいわけだ。

「うーん……よし、決めた」

 俺は顔を上げて告げた。

「残りの魔導書を探そう」
「えっ?」

 ティアとキシャルが驚いたように俺を見た。

「で、でも、魔導書がどこにあるかも分からないし……」
「世界中を巡ることになるかもしれませんの。場合によっては、危険な目に遭うことだって……」
「でも、会いたいんだろ?」

 俺は二人ににっこり笑う。

「せっかく【魔力無限成長】や【自動魔法結界】なんて強力な魔法を手に入れたんだ。なら、それを使ってみんなを探そう」
「アルス……」
「アルス様……」

 二人は目を潤ませていた。

「あ、魔導書って魔法で探せないのか?」

 それができれば、かなり道のりが楽になる。

「うーん……『魔導公女』様なら探せると思うけど、今のアルスの魔法は不完全だし難しいと思う」

 と、ティア。

「なら、完全に近づければいい。俺の魔力や魔法はどんどん成長していくんだから」
「……ですが、アルス様には苦労に見合うメリットがありませんの」

 と、キシャル。

「数千年前ならともかく、現代の魔法レベルなら今のままでもアルス様は最強レベルですの。それ以上の力を求めなくても、安泰に暮らせますの」
「けど、寂しいんだろ? 仲間に会いたい、って言ってたじゃないか」

 俺は二人を見た。

「あのダンジョンで殺されかけたのを、俺はティアに救われた。エアやキシャルの力にも助けられた。だから、今度は俺が返す番だ」
「……本当に、いいの?」

 ティアが俺を見つめる。

「……大賢者の魔導書は絶大な力を秘めていますの。それを手にした者がいれば、あるいは奪い合いに──」

 キシャルが告げる。
「別に戦おうっていうわけじゃない。見つけて、もう一度出会いたいんだろ。俺はその手伝いをする」

 俺はきっぱりと言った。

「大丈夫。ティアやキシャル、エアがついてるんだ。やれるだけやってみよう」

 それが──これからの俺たちの目標だ。