俺はローガンに引っ張られて、冒険者ギルドの裏側にある模擬試験場に来ていた。
簡単に言えばただ建物も近くにない空き地といえばいいのだろうか。
「じゃあ、周りに被害が出ないようにスキル玉を使いますね」
ルーチェはスキル玉【結界】を使った。これも有名な錬金術師が作ったスキル玉らしい。
俺が思っていたよりもスキル玉を見る機会が増えているが、このスキル玉もメジストが作った物だろうか。
「先行はウォーレンちゃんに譲るわね」
どうやらローガンは先に攻撃するつもりはないらしい。俺はそれならと匠の外套を着てフードを被った。
そのまま短剣を構えて一気に懐まで飛び込んだ。
「その装備だとまだロビンちゃんには追いつけないわよ」
俺の攻撃はあっさりと回避されていた。
それよりも匠の外套を着ても視覚認知できるローガンの実力が、他の人達と比べて逸脱しているのだろう。
その後も短剣で攻撃を仕掛けるが全て避けられてしまった。
「じゃあ今度は私の出番ね! はぁー!!」
ローガンは大きな声を出したと思ったら、突然近づき俺の足元を目掛けて地面を叩いた。
「素早さも人並みに高いってことかしらね」
俺は咄嗟に避けるがさっきまでいた所には大きな穴ができていた。パンチ1回だけで地面に穴ができる威力って完全に人間を辞めている。
「ちょ……ローナさん本気出しすぎですよ!」
「だってこれは冒険者昇格試験だよね? 私の判断ミスで死なれたりしたら後味悪いわよ」
このままじゃ冒険者になる前に死んでしまう。
何度も何度も繰り出されるパンチを避けるのに精一杯だった。
幸いなのは地形が変わっても、匠の靴でバランスを崩さないということだ。
それでもローガンが繰り出す攻撃で足場はぐちゃぐちゃになっていた。
「装備も実力のうちってことね」
ローガンは何かゴソゴソすると、アイテムボックスから大きな盾を取り出した。
「おいおい、ローナさん本気かよ!」
周りで見ていた冒険者達からは驚きの声が出ていた。
ポーターの俺に本気を出すってどういうことだ。
ただ、盾を出すと今までとはガラリと雰囲気が変わる。
「私って力が強いだけの乙女だと思ってないかしら?」
いやいや、おっさんを乙女と思う人なんて誰もいないだろう。
一生懸命化粧で隠しているが顎とかには青髭が目立っているからな。
「私の本職ってタンクなのよ!」
ローガンが叫ぶと同時に俺の体は急に痺れて動けなくなった。
「えっ、あの盾を持って走れるのかよ!」
気づいた時にはローガンは俺の目の前にいた。
重そうな盾を軽々しく持つその力に俺は驚いた。
ローガンは攻撃を受け止める防御力が高い防御盾ではなく、回避力も高い攻撃盾だった。
体が痺れて動ける状態ではない俺は、短剣を前に構える。
盾を持って突っ込んでくるローガンの攻撃を、俺は短剣でそのまま受け止めた。
「おい、あいつ大丈夫か! 今すぐ回復魔法を使えるやつを用意しろ!」
他の冒険者達がバタバタと動いている間、俺はどうにか体勢を整えたのだ。
攻撃を受け止めたと同時に短剣から光の粒子が飛び散った。
鑑定で確認した時も戦闘時に効果が出ると書いてあったが、まさか防御した時も幸運が訪れるとは思いもしなかった。
「なによ、これ!」
光の粒子は攻撃した時よりも飛び散りローガンの視覚を遮断した。
一度目を閉じたらこっちのもんだ。
匠の外套を着た時は目の前にローガンがいた。
その結果、それまでいた存在が突然消えたとしても一度視覚認知が出来ていればその後も目が慣れれば俺の存在は見えてしまう。
だが、一度俺から目を離してしまえば俺は見えにくくなる。
俺は自身に攻撃で受けた衝撃と痺れを治すために、回復魔法をかけながらローガンに近づいた。
その手にはスキル【短剣術】と【雷属性】を持っている。
俺はローガンの背後に回り短剣を刺すように飛び込んだ。
俺はこれで決着がつくと思っていた。
だが、実際はそんなに甘くなかった。
「私はこれでも勇者なのよ?」
ローガンは俺の方をみてニヤリと笑っていた。
簡単に言えばただ建物も近くにない空き地といえばいいのだろうか。
「じゃあ、周りに被害が出ないようにスキル玉を使いますね」
ルーチェはスキル玉【結界】を使った。これも有名な錬金術師が作ったスキル玉らしい。
俺が思っていたよりもスキル玉を見る機会が増えているが、このスキル玉もメジストが作った物だろうか。
「先行はウォーレンちゃんに譲るわね」
どうやらローガンは先に攻撃するつもりはないらしい。俺はそれならと匠の外套を着てフードを被った。
そのまま短剣を構えて一気に懐まで飛び込んだ。
「その装備だとまだロビンちゃんには追いつけないわよ」
俺の攻撃はあっさりと回避されていた。
それよりも匠の外套を着ても視覚認知できるローガンの実力が、他の人達と比べて逸脱しているのだろう。
その後も短剣で攻撃を仕掛けるが全て避けられてしまった。
「じゃあ今度は私の出番ね! はぁー!!」
ローガンは大きな声を出したと思ったら、突然近づき俺の足元を目掛けて地面を叩いた。
「素早さも人並みに高いってことかしらね」
俺は咄嗟に避けるがさっきまでいた所には大きな穴ができていた。パンチ1回だけで地面に穴ができる威力って完全に人間を辞めている。
「ちょ……ローナさん本気出しすぎですよ!」
「だってこれは冒険者昇格試験だよね? 私の判断ミスで死なれたりしたら後味悪いわよ」
このままじゃ冒険者になる前に死んでしまう。
何度も何度も繰り出されるパンチを避けるのに精一杯だった。
幸いなのは地形が変わっても、匠の靴でバランスを崩さないということだ。
それでもローガンが繰り出す攻撃で足場はぐちゃぐちゃになっていた。
「装備も実力のうちってことね」
ローガンは何かゴソゴソすると、アイテムボックスから大きな盾を取り出した。
「おいおい、ローナさん本気かよ!」
周りで見ていた冒険者達からは驚きの声が出ていた。
ポーターの俺に本気を出すってどういうことだ。
ただ、盾を出すと今までとはガラリと雰囲気が変わる。
「私って力が強いだけの乙女だと思ってないかしら?」
いやいや、おっさんを乙女と思う人なんて誰もいないだろう。
一生懸命化粧で隠しているが顎とかには青髭が目立っているからな。
「私の本職ってタンクなのよ!」
ローガンが叫ぶと同時に俺の体は急に痺れて動けなくなった。
「えっ、あの盾を持って走れるのかよ!」
気づいた時にはローガンは俺の目の前にいた。
重そうな盾を軽々しく持つその力に俺は驚いた。
ローガンは攻撃を受け止める防御力が高い防御盾ではなく、回避力も高い攻撃盾だった。
体が痺れて動ける状態ではない俺は、短剣を前に構える。
盾を持って突っ込んでくるローガンの攻撃を、俺は短剣でそのまま受け止めた。
「おい、あいつ大丈夫か! 今すぐ回復魔法を使えるやつを用意しろ!」
他の冒険者達がバタバタと動いている間、俺はどうにか体勢を整えたのだ。
攻撃を受け止めたと同時に短剣から光の粒子が飛び散った。
鑑定で確認した時も戦闘時に効果が出ると書いてあったが、まさか防御した時も幸運が訪れるとは思いもしなかった。
「なによ、これ!」
光の粒子は攻撃した時よりも飛び散りローガンの視覚を遮断した。
一度目を閉じたらこっちのもんだ。
匠の外套を着た時は目の前にローガンがいた。
その結果、それまでいた存在が突然消えたとしても一度視覚認知が出来ていればその後も目が慣れれば俺の存在は見えてしまう。
だが、一度俺から目を離してしまえば俺は見えにくくなる。
俺は自身に攻撃で受けた衝撃と痺れを治すために、回復魔法をかけながらローガンに近づいた。
その手にはスキル【短剣術】と【雷属性】を持っている。
俺はローガンの背後に回り短剣を刺すように飛び込んだ。
俺はこれで決着がつくと思っていた。
だが、実際はそんなに甘くなかった。
「私はこれでも勇者なのよ?」
ローガンは俺の方をみてニヤリと笑っていた。