その後子供達に話を聞くとやはり捨てられた子だと言っていた。そもそも親もわからず生まれた時から孤児として育てられたらしい。
「じゃあ、どこかへ移動している時に抜け出してきたってこと?」
「うん! 気づいたら魔物に襲われていてロンと一緒に逃げてきたの」
「にいちゃ、おかわりしてもいい?」
「食べすぎてお腹を壊さないようにね」
二人はあまり気にしていないようだったが、俺はさらに胸が苦しくなる。
「こいつらは多分――」
「奴隷として売られるために育てられた子ですよね?」
「ああ」
一緒に話を聞いていたロビンも同じことを思っていたのだろう。
以前他の街で奴隷の獣人や人間が強制的に子供を産まされ、孤児として育てた後に奴隷商人に売るという仕組みがあると聞いたことがあった。
――通称"奴隷畜舎"
話で聞いた時は噂ばかりの嘘だと思っていたが、実際に存在しているとは思わなかった。
「強いスキルなら高く売れるからな」
「実際に使えないスキルだとどうなるんですか?」
「使えないやつは廃棄だ」
俺の答えにロビンは自身の首をはねるジェスチャーをしていた。
この二人がどんなスキルを覚えているのか知っているからこそ、魔物に襲われたのも偶然ではなく必然的だったんだろうと気づくことができた。
売れない子供を育てるのにも、お金が必要だからという理由だろう。
「あっ、ニアこぼしてるぞ」
隣で何も知らずにご飯を食べている二人を見て、俺は守るべき存在ができたと改めて実感した。
血は繋がっていないが俺に家族ができた日となった。
♢
今日は宿屋に子供達を預けて一人で森に魔物の討伐に向かった。ご飯を食べ終えた子供達はベットの上で心地良さそうに寝ている。
「とりあえず、魔物をどんどん狩っていくか」
今後のことを考えるとスキル【証券口座】の強化と生活するだけの資金が必要だ。
配当でもらったさらに謎のスキル【吸収】の確認も今後の課題になってくる。
その後もう一度自身に鑑定を使ったが、吸収の詳細は確認できなかった。
わかったことは一つしか覚えることができないと言われていたスキルが増え、俺は鑑定と回復魔法が使えるようになった。
「あっ、オーク発見!」
俺は薬草を採取しながら移動しているとオークを見つけた。昨日の経験からオークは倒せると俺の中で判断した。
匠の外套で身を包んでいる俺はゆっくり近づきオークに短剣を刺す。
「ブオォォ!」
短剣の刺し方が悪かったのか、痛みで暴れたオークに俺は吹き飛ばされていた。
それでもオークは俺の存在に気づかず辺りを見渡していた。
「今がチャ――」
足に力を入れて飛び込んでいこうと思った瞬間に突然オークが叫び出した。なぜか俺の体は一瞬で硬直してしまう。
「ブヒィ!」
気づいたらオークは俺の目の前に立ってニヤリと笑っていた。
気づかないと思っていたが、何かの影響で俺の存在がバレたのだろう。
俺はそのままオークに殴られた勢いで飛ばされた。
「ぐふっ!?」
木にぶつかり勢いを止めることができたが、ぶつかった衝撃で肺の中の空気が全て押し出され息がしにくい。
あれだけ魔物相手に油断するなと言い聞かせたのに、また倒せると余裕をかましていた。
俺は自分自身に回復魔法をかけると少しずつ落ち着いてきた。呼吸をしても息苦しさを次第に感じなくなった。
その後も視線を外さないようにオークを見ていたが、俺がどこに飛んで行ったのかは気づいていないようだ。
再び立ち上がりオークの背後に回るように木に隠れながら近づく。さっきは勢いが足りない状態でオークに短剣を刺したため、倒すことができなかった。
だからこそ、今回はしっかり準備して一撃で倒す。
オークは俺を探していたが、みつけられないと諦めた瞬間に俺は再び大きく踏み込んだ。
今度は勢いをつけたためオークはその場で倒れこむ。俺は以前のように馬乗りになると、何度も何度もオークに短剣を差し込んだ。
ひょっとしたら反撃してくる可能性も考えられた。
だから俺は短剣を刺すたびに飛び散る光の粒子を見ながら、息が止まるまで何度も攻撃し続けた。
普通の冒険者であればロビンのように一瞬で倒せるだろうが俺にはこの方法しかない。
倒したオークに短剣を差し込み魔石を取り出した。
「やっぱりオークになると疲れるな」
この間のオークは俺が気絶したため魔石を取り出すことができなかったが、今回はオークから黄緑色に黒が混ざったようなオリーブ色をした魔石が出てきた。
「おー、これは高く売れそうだな」
今まではホーンラビットから得た風属性の魔石ばかりだったため、魔石から新たな可能性を感じた。
俺はその後もオークを狩っていくと、ある方法を思いついた。
それは今まで直接腹に短剣を刺していたのを腹ではなく、足元に短剣を刺した方がそのまま姿勢を崩せることがわかった。
そうすることで勢いを使って、襲い掛からなくてもより安全にオークを倒すことができた。
その結果一日でオークを五体も倒すことができた。
俺はやっと冒険者としての一歩を踏み込めたと改めて感じた。
「じゃあ、どこかへ移動している時に抜け出してきたってこと?」
「うん! 気づいたら魔物に襲われていてロンと一緒に逃げてきたの」
「にいちゃ、おかわりしてもいい?」
「食べすぎてお腹を壊さないようにね」
二人はあまり気にしていないようだったが、俺はさらに胸が苦しくなる。
「こいつらは多分――」
「奴隷として売られるために育てられた子ですよね?」
「ああ」
一緒に話を聞いていたロビンも同じことを思っていたのだろう。
以前他の街で奴隷の獣人や人間が強制的に子供を産まされ、孤児として育てた後に奴隷商人に売るという仕組みがあると聞いたことがあった。
――通称"奴隷畜舎"
話で聞いた時は噂ばかりの嘘だと思っていたが、実際に存在しているとは思わなかった。
「強いスキルなら高く売れるからな」
「実際に使えないスキルだとどうなるんですか?」
「使えないやつは廃棄だ」
俺の答えにロビンは自身の首をはねるジェスチャーをしていた。
この二人がどんなスキルを覚えているのか知っているからこそ、魔物に襲われたのも偶然ではなく必然的だったんだろうと気づくことができた。
売れない子供を育てるのにも、お金が必要だからという理由だろう。
「あっ、ニアこぼしてるぞ」
隣で何も知らずにご飯を食べている二人を見て、俺は守るべき存在ができたと改めて実感した。
血は繋がっていないが俺に家族ができた日となった。
♢
今日は宿屋に子供達を預けて一人で森に魔物の討伐に向かった。ご飯を食べ終えた子供達はベットの上で心地良さそうに寝ている。
「とりあえず、魔物をどんどん狩っていくか」
今後のことを考えるとスキル【証券口座】の強化と生活するだけの資金が必要だ。
配当でもらったさらに謎のスキル【吸収】の確認も今後の課題になってくる。
その後もう一度自身に鑑定を使ったが、吸収の詳細は確認できなかった。
わかったことは一つしか覚えることができないと言われていたスキルが増え、俺は鑑定と回復魔法が使えるようになった。
「あっ、オーク発見!」
俺は薬草を採取しながら移動しているとオークを見つけた。昨日の経験からオークは倒せると俺の中で判断した。
匠の外套で身を包んでいる俺はゆっくり近づきオークに短剣を刺す。
「ブオォォ!」
短剣の刺し方が悪かったのか、痛みで暴れたオークに俺は吹き飛ばされていた。
それでもオークは俺の存在に気づかず辺りを見渡していた。
「今がチャ――」
足に力を入れて飛び込んでいこうと思った瞬間に突然オークが叫び出した。なぜか俺の体は一瞬で硬直してしまう。
「ブヒィ!」
気づいたらオークは俺の目の前に立ってニヤリと笑っていた。
気づかないと思っていたが、何かの影響で俺の存在がバレたのだろう。
俺はそのままオークに殴られた勢いで飛ばされた。
「ぐふっ!?」
木にぶつかり勢いを止めることができたが、ぶつかった衝撃で肺の中の空気が全て押し出され息がしにくい。
あれだけ魔物相手に油断するなと言い聞かせたのに、また倒せると余裕をかましていた。
俺は自分自身に回復魔法をかけると少しずつ落ち着いてきた。呼吸をしても息苦しさを次第に感じなくなった。
その後も視線を外さないようにオークを見ていたが、俺がどこに飛んで行ったのかは気づいていないようだ。
再び立ち上がりオークの背後に回るように木に隠れながら近づく。さっきは勢いが足りない状態でオークに短剣を刺したため、倒すことができなかった。
だからこそ、今回はしっかり準備して一撃で倒す。
オークは俺を探していたが、みつけられないと諦めた瞬間に俺は再び大きく踏み込んだ。
今度は勢いをつけたためオークはその場で倒れこむ。俺は以前のように馬乗りになると、何度も何度もオークに短剣を差し込んだ。
ひょっとしたら反撃してくる可能性も考えられた。
だから俺は短剣を刺すたびに飛び散る光の粒子を見ながら、息が止まるまで何度も攻撃し続けた。
普通の冒険者であればロビンのように一瞬で倒せるだろうが俺にはこの方法しかない。
倒したオークに短剣を差し込み魔石を取り出した。
「やっぱりオークになると疲れるな」
この間のオークは俺が気絶したため魔石を取り出すことができなかったが、今回はオークから黄緑色に黒が混ざったようなオリーブ色をした魔石が出てきた。
「おー、これは高く売れそうだな」
今まではホーンラビットから得た風属性の魔石ばかりだったため、魔石から新たな可能性を感じた。
俺はその後もオークを狩っていくと、ある方法を思いついた。
それは今まで直接腹に短剣を刺していたのを腹ではなく、足元に短剣を刺した方がそのまま姿勢を崩せることがわかった。
そうすることで勢いを使って、襲い掛からなくてもより安全にオークを倒すことができた。
その結果一日でオークを五体も倒すことができた。
俺はやっと冒険者としての一歩を踏み込めたと改めて感じた。