うふふ。
あはははは!!
やった!
やったわ!
レーモンが私を“お姫様”にしてくれる!
本物の“お姫様”にね!
これでもう誰も私を“偽物”なんて言わない!
数年前――
「え~~っ!またソニアちゃんが“お姫様役”するの!?」
「そうだよ?」
「ちょっと、ソニアちゃん」
「なに?」
「『なに?』じゃないでしょ?昨日もソニアちゃんが“お姫様役”だったじゃない。今日はナナちゃんがやる番よ」
「なんで?」
「……そういう約束でしょ。“お姫様役”は順番ずつするって」
「でも昨日もソニアが“お姫様役”だったよ?」
「それは、ソニアちゃんがリカちゃんから“お姫様役”を奪ったからでしょ?本当は昨日はリカちゃんが“お姫様役”だったのに。ソニアちゃんが『お姫様じゃないとヤダ』って駄々こねて。あんまり泣きわめくもんだからリカちゃんが代わってあげただけじゃない」
「「「アニーちゃんの言う通りだよ」」」
「み、みんな……酷いよ」
じわっと涙が溢れでちゃう。私が思わずみんなに文句を言うと、アニーちゃんが呆れたような顔を私に向けてきた。
「酷いのはソニアちゃんでしょ?」
他の子もこっちに視線を向ける。
どうして?
なんで? そんな目で私を見つめてくるの??
「だって……」
私は悪くないのに。
「ソニアちゃん、昨日だってリカちゃんに謝ってないよね?それに“お姫様役”を譲ってくれたのに『ありがとう』も言ってないよ?」
え?
なんで?
なんで謝るの?
お礼?
なんで……?
「はぁ~~~っ。あのね、ソニアちゃん。悪い事をしたら『ごめんなさい』、なにか嬉しい事をしてくれたら『ありがとう』でしょ。ソニアちゃんって、そう二つを言う事ってあんまりないよね?」
「そ、そんなこと……」
「ないって自信をもって言える?言えないよね?だってソニアちゃんは酷い事をしても『ごめんなさい』って言わない。『ありがとう』の一言だって私は聞いた事ないよ?ねぇ、それってそんなに難しいこと?」
「…………」
アニーちゃんの言葉に私は何も言い返せなかった。何か言わなきゃって思ってもアニーちゃんの後ろにいる友達が凄い目で睨みつけてくるんだもん。よけいに言えなかった。そうこうしているうちにアニーちゃんは溜息をついて私に言った。
「もういいよ。ソニアちゃんに何を言ってもムダな気がしてきた」
そう言うと、アニーちゃんは皆に言った。
「今日が最後だから楽しく遊びたかったのに、ごめんね。嫌な気分にさせちゃったね」
「アニーちゃんのせいじゃないよ」
「そうだよ!」
「「「私達こそごめんね」」」
「ありがとう、みんな。今日は私の家で遊ぼうか!」
そう言うと、アニーちゃんは他の友達の手を引いて行ってしまった。私はその後ろで見送るしかなかった。一人だけポツンと取り残されても誰も振り返らない。ただ離れていく友達の小さな背中を見ているしかなかった。
次の日、アニーちゃんが街から引っ越した事を知った。
それからだ。
私は友達から仲間外れにされたのは。
輪の中に入ろうとしても入れてくれない。
どうして!?
訳が分からない。
「今までアニーちゃんがいたからソニアちゃんと遊んであげてたんだよ」
「アニーちゃんがいなかったら誰もソニアちゃんと遊ぼうなんて思わない!だってソニアちゃんって我が儘だもん!」
「そうだよ!それにリカちゃんのリボン取ったの知ってるんだから!!」
「リカちゃんだけじゃないよね?ルーちゃんが大事にしてたお人形だって壊したんでしょ?」
「だって、あれは……!」
私が言い返そうとしたら彼女達は凄い目で睨んできた。
なんで?
どうして?
だって別にワザとじゃないよ?
リボンは貸してもらっただけだし、人形だって元々ボロボロだったじゃない!
ちゃんとリボンは返したし、人形だって新しい物買って弁償した!
ルーちゃんは新しいお人形を渡してもなんでか許してくれなかったけど……。
女の子達からハブられたけど、その代わり男の子達とは仲良くなった。
皆、私と仲良くなりたかったって。
声を掛けたかったって。
でも女の子達が居たから今まで声をかけられなかったみたい。
「ソニアは可愛い」
男の子達は皆そう言って褒めてくれる。
「“お姫様”みたい?」
「うん、“お姫様”みたいだ」
嬉しい。
女の子達は皆私に冷たいけど、男の子達はそうじゃない。「可愛い」って「お姫様みたいだ」って、いっぱい褒めてくれる。
私が男の子達と仲良くなればなるほど何故か女の子達は遠のいていった。それと大人の人も厳しい目でみてきた。大人っていってもお母さんくらいの人。なんでだろう?よく知らない女の人が「あの女の子供と遊んではダメよ」って言ってた。仲良くなった男の子で「お母さんに怒られるから」って言って離れていった子もいる。怒る?なんで?意味が分かんなかった。「遊んでるところを見られるとダメなんだ」っていう子もいた。どうしてダメなの?
よく分からない事を言う人はいたけど、それ以外は今まで通りだった。
数年後、お母さんは結婚した。
「本当のお父さんよ」
私にそう紹介して――
あはははは!!
やった!
やったわ!
レーモンが私を“お姫様”にしてくれる!
本物の“お姫様”にね!
これでもう誰も私を“偽物”なんて言わない!
数年前――
「え~~っ!またソニアちゃんが“お姫様役”するの!?」
「そうだよ?」
「ちょっと、ソニアちゃん」
「なに?」
「『なに?』じゃないでしょ?昨日もソニアちゃんが“お姫様役”だったじゃない。今日はナナちゃんがやる番よ」
「なんで?」
「……そういう約束でしょ。“お姫様役”は順番ずつするって」
「でも昨日もソニアが“お姫様役”だったよ?」
「それは、ソニアちゃんがリカちゃんから“お姫様役”を奪ったからでしょ?本当は昨日はリカちゃんが“お姫様役”だったのに。ソニアちゃんが『お姫様じゃないとヤダ』って駄々こねて。あんまり泣きわめくもんだからリカちゃんが代わってあげただけじゃない」
「「「アニーちゃんの言う通りだよ」」」
「み、みんな……酷いよ」
じわっと涙が溢れでちゃう。私が思わずみんなに文句を言うと、アニーちゃんが呆れたような顔を私に向けてきた。
「酷いのはソニアちゃんでしょ?」
他の子もこっちに視線を向ける。
どうして?
なんで? そんな目で私を見つめてくるの??
「だって……」
私は悪くないのに。
「ソニアちゃん、昨日だってリカちゃんに謝ってないよね?それに“お姫様役”を譲ってくれたのに『ありがとう』も言ってないよ?」
え?
なんで?
なんで謝るの?
お礼?
なんで……?
「はぁ~~~っ。あのね、ソニアちゃん。悪い事をしたら『ごめんなさい』、なにか嬉しい事をしてくれたら『ありがとう』でしょ。ソニアちゃんって、そう二つを言う事ってあんまりないよね?」
「そ、そんなこと……」
「ないって自信をもって言える?言えないよね?だってソニアちゃんは酷い事をしても『ごめんなさい』って言わない。『ありがとう』の一言だって私は聞いた事ないよ?ねぇ、それってそんなに難しいこと?」
「…………」
アニーちゃんの言葉に私は何も言い返せなかった。何か言わなきゃって思ってもアニーちゃんの後ろにいる友達が凄い目で睨みつけてくるんだもん。よけいに言えなかった。そうこうしているうちにアニーちゃんは溜息をついて私に言った。
「もういいよ。ソニアちゃんに何を言ってもムダな気がしてきた」
そう言うと、アニーちゃんは皆に言った。
「今日が最後だから楽しく遊びたかったのに、ごめんね。嫌な気分にさせちゃったね」
「アニーちゃんのせいじゃないよ」
「そうだよ!」
「「「私達こそごめんね」」」
「ありがとう、みんな。今日は私の家で遊ぼうか!」
そう言うと、アニーちゃんは他の友達の手を引いて行ってしまった。私はその後ろで見送るしかなかった。一人だけポツンと取り残されても誰も振り返らない。ただ離れていく友達の小さな背中を見ているしかなかった。
次の日、アニーちゃんが街から引っ越した事を知った。
それからだ。
私は友達から仲間外れにされたのは。
輪の中に入ろうとしても入れてくれない。
どうして!?
訳が分からない。
「今までアニーちゃんがいたからソニアちゃんと遊んであげてたんだよ」
「アニーちゃんがいなかったら誰もソニアちゃんと遊ぼうなんて思わない!だってソニアちゃんって我が儘だもん!」
「そうだよ!それにリカちゃんのリボン取ったの知ってるんだから!!」
「リカちゃんだけじゃないよね?ルーちゃんが大事にしてたお人形だって壊したんでしょ?」
「だって、あれは……!」
私が言い返そうとしたら彼女達は凄い目で睨んできた。
なんで?
どうして?
だって別にワザとじゃないよ?
リボンは貸してもらっただけだし、人形だって元々ボロボロだったじゃない!
ちゃんとリボンは返したし、人形だって新しい物買って弁償した!
ルーちゃんは新しいお人形を渡してもなんでか許してくれなかったけど……。
女の子達からハブられたけど、その代わり男の子達とは仲良くなった。
皆、私と仲良くなりたかったって。
声を掛けたかったって。
でも女の子達が居たから今まで声をかけられなかったみたい。
「ソニアは可愛い」
男の子達は皆そう言って褒めてくれる。
「“お姫様”みたい?」
「うん、“お姫様”みたいだ」
嬉しい。
女の子達は皆私に冷たいけど、男の子達はそうじゃない。「可愛い」って「お姫様みたいだ」って、いっぱい褒めてくれる。
私が男の子達と仲良くなればなるほど何故か女の子達は遠のいていった。それと大人の人も厳しい目でみてきた。大人っていってもお母さんくらいの人。なんでだろう?よく知らない女の人が「あの女の子供と遊んではダメよ」って言ってた。仲良くなった男の子で「お母さんに怒られるから」って言って離れていった子もいる。怒る?なんで?意味が分かんなかった。「遊んでるところを見られるとダメなんだ」っていう子もいた。どうしてダメなの?
よく分からない事を言う人はいたけど、それ以外は今まで通りだった。
数年後、お母さんは結婚した。
「本当のお父さんよ」
私にそう紹介して――