大文字伝子が行く


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけの、EITO精鋭部隊である==
 ==EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズの後方支援部隊である==

 7月28日。午後1時。EITO東京本部。会議室。
 「アンバサダー。山並から、七夕以来、敵の動きがないのは、おかしい、と言って来ています。」
 「山並でなくてもおかしい、と私も思っている。そこで、ケンに緊急用のメールで問い合わせてみた。すると、意外な答えが返って来た。台風9号だ。」
 「まっすぐ大陸に向かった台風か、大文字。」と、筒井が言った。
 「うむ。私も、7月14日の、一部のSNSで観ただけだが、大変な『大洪水』になっていて、復旧の見通しが立っていない。だから、今度の対戦で傭兵が派兵される予定だったとしたら、ご破算になっている。ケンは、新たに日本国内で兵隊を集めるだろう、と言って来ている。草薙さん。闇サイトで募集をかけるかも知れないので、武器の類いだけでなく、闇バイトも監視してくれ、と山並に伝えて下さい。」
 「了解しました。」
 「おねえさま、矢継ぎ早でなくなったのは、兵隊の再構成が必要になったからってことね。」と、なぎさが言った。
 「それなら、そろそろ動きがあるかも知れないわ。なぎさ、心して訓練しましょう。」と、あつこが言い、「訓練と言えば、大阪支部で、開発部が作った武器が活躍しているって話よね?」と、みちるが言った。
 「おねえさま。間に合えば、ウチも投入しましょう、新兵器。」と、なぎさは提案した。
 「うむ。既に武器庫に届いている。稲森、仁礼。お前達が担当しろ。河野さん、本郷さんに『新兵器の操作の指導』を打診してください。」
 司令室から、河野の声が届いた。
 「今回で、何回目のバトルだったかな?」と、理事官が言い、「第七戦、ですね。今回か次回がラストバトルになるかも。兵力を失ったけれど、大掛かりな人員を用意していたのなら。」と、夏目警視正は応えた。

 午後7時。伝子のマンション。
 「確かに、もうそろそろって時期かな。次の『幹』も気になるけど、まずは眼前の敵か。」
 早くベッドインした二人は、気持ちは胸騒ぎで一杯だった。
 「伝子。」「ん?」
 珍しく、高遠から求めた。

 翌日。7月29日。午前0時。EITO東京本部。宿直室。
 ケンの危惧が当たった。
 インタラプト・ゲーマーがRedにメッセージが載せた。
 アラームが鳴ったので、宿直の葉月が確認しメッセージは、こんな文章だった。

 「お待たせしたね、EITOの諸君、日本民族の諸君、また完敗だった。遅れていた第七戦のお題だ。」
 文章の下に、スケッチブックが現れ、こんな文章が書かれていた。

 『取れ頃 ていご』
 2行目に、
 「でかい駐車場なら、熱中症も大丈夫だろう。初体験じゃないことは知っている。メンバーのことじゃないよ、ハニー。」

 午前9時。EITO東京本部。会議室。
 「ふざけやがって。」今日は、下條が言った。
 スクリーンに高遠が映った。
 「お待たせしました。沖縄の豆科植物に『ていご』、『ディゴ』と言うのがあって、それに引っ掛けたのかも。『取れ頃 ていご』は、解析すると、『レトロ午後ティー』、東京ビッグサイトで『レトロ喫茶アフタヌーンティー』というイベントが8月2日まで開催しています。開場は午前10時です。2行目の『ハニー』は8月2日のことですね。今回は、バトルの為の移動はなさそうですね。会場は沢山ありますが、特定しにくいので、分散待機するしかないですね。」
 「分散?とは、どういうことかね、高遠君。」と、理事官が尋ねた。
 「大きく分けて、会議棟、東展示棟、西展示棟、南展示棟があります。エントランスに集団がいても、他の棟にもいる可能性があります。」
 「今、山並から連絡メールが来ました。LOOP(ループ)の電動シートボードの注文が大量キャンセルした形跡があります。代替品を探していたのではないか?と思えるそうです。更に、闇バイトで電動キックボートの運転に自信がある者を募集しています。」と、草薙が報告した。
 「ようし、バトルの日時、場所、戦力は分かった。なぎさ、新兵器・新装備でバトルだ。」
 「おねえさま、頼もしいわ。惚れ直しちゃった。」とみちるが言うと、「まだ、お前は副隊長じゃない。それに今、『なぎさ、新兵器・新装備でバトルだ。』って言っただろうが。」と、なぎさはみちるを小突いた。
 「美しい姉妹愛だわ。」と、柊が感心し、あつこが吹き出した。

 8月2日。日曜日。午前10時。東京ビックサイト。エントランス。
 理事官と御池都知事の指示で、開場時間は3時間、ずらされていた。
 「お前が大文字か。」野球選手のような集団の中央にいたリーダーらしき人物が尋ねた。
 「隊長は指令塔だ。現場には来ないのが常道だ。日本人なら分かるよな?」
 「何故、日本人だと?」
 「日本語をしゃべっている。お前の日本語は綺麗だ。褒めてやってもいい。」
 「それは、どうもありがとうございます。じゃ、お前は副隊長というところか。」
 「正解だ。やはり、那珂国人より頭が切れるな。」
 「重ね重ね、ありがとうございます。じゃ、バトルだ。」
 『幹』は、空中に向けて空砲を撃った。
 四散しながら、なぎさはイヤリングに話した。
 「このエリアの戦闘員は3分の1が那珂国人だ。闘い方を工夫しろ。」
 なぎさは、『幹』と話しながら、メンバーの反応を見ていた。
 今回は仕方無く来てやった、という態度からして、連中は、『プライド』がバカに高い那珂国人だ。

 午前10時。東展示棟。
 電動シートボードで走り回る若者達。
 結城率いる『電動アシスト自転車隊』が、走りながら、シュータやメダルカッターを投げて行く。
 シュータとは、うろこ形の手裏剣で、先端に、痺れ薬が塗ってある。
 メダルカッターとは、メダルの外側にスクリュー状に刃が出ていて、やはり痺れ薬が塗ってある。
 どこからか、槍が飛んで来た。
 青山のホバーバイクから柊が投げた槍だった。
 青山は、ホバーバイクの『装備』の小型槍を打ちだした。
 ホバーバイクとは、民間会社が開発、本来は自衛隊か警察に採用される筈だった『宙に浮くバイク』だ。

 午前10時。西展示棟。
 ドローンが飛び交っているが、撮影の為ではなく、爆竹を投下している。
 だが、2分と経たない内に、役に立たなくなった。
 田坂率いる弓矢隊が、ドローン攪乱装置を作動したからだ。
 伝子は、攪乱装置を使った後、いつもの様にマセラティーから弓矢を放つように指示していた。
 あつこは、馬に乗り、様子を確認していた。

 午前10時。南展示棟。
 大リーガーのユニフォームを纏った男達が、ピッチングマシーンを持ち込み、ビルに球を打ち込もうとしていた。
 だが、ことごとく阻止された。
 フリーズガン、水流ガン、ペッパーガンで球、ではなく男達を弾き跳ばされたからだ。
 フリーズガンとは、跳び出すと液体窒素が変化して対象物を凍らせる弾を撃つ銃だ。
 水流ガンとは、跳び出すとグミ状の液体に変化する弾を撃つ銃だ。
 ペッパーガンとは、故障やガーリックなどの台所用調味料で捏ねた胡椒弾を撃つ銃だ。
 みちる率いるチームにホバーバイクに乗るEITOガーディアンズの馬場が加勢する。

 午前10時。東新展示場。
 くノ一のコスプレをした女達に、レーザーポインタードローンが襲いかかった。稲森と仁礼がホバーバイクの高木、筒井の後ろに乗り、操ったのだ。
 大坂支部でも実験予定だったが、伝子は使用に踏み切った。
 レーザーポインタードローンとは、ドローンで相手を追い回し、レーザーポインターを当て続けることで敵の戦意を奪う武器だ。
 複数のドローン操作は、以前は渡や草薙が担当したが、やはり本部要員なので、と理事官が代行を提言したのだった。

 午前11時。エントランス前。
 なぎさ率いる『白兵戦』部隊は、バトルロッドとバトルスティックで簡単に倒し、背中を出させて彼らの『甲羅干し』をさせていた。
 江南が言った。
 「今日は、『甲羅干し』日和ね。」
 静音が言った。
 「日サロ、要らないよね。」

 午前11時半。
 なぎさが、各班からの報告を受け、長波ホイッスルを吹いた。
 長波ホイッスルとは、犬笛に似た、サイレントホイッスルで、主に『作戦終了』の合図に使う。

 報せを受けた『片づけ隊』を愛宕警部、西部警部補、橋爪警部補が率いてやってきた。
 「何です?これ。副隊長。」
 「関西じゃ、焼き方が違うらしいわ。総子ちゃんが言ってた。」

 午後6時。伝子のマンション。
 「愛宕が白目剝いた?なぎさも冗談言えるようになったんだ。」と伝子が言い、「後は大丈夫よ、なぎさっち。」と、みちるが言った。
 「夫婦揃って、変な奴ら。」と、なぎさは呆れた。
 「いよいよ来月か。早いね、月日の経つのは。」と、高遠がしみじみ言うと、「高遠さん、じじ臭いわよ。」と、あつこが言った。
 お好み焼きの香ばしい匂いがしてきた。
 「おまちどおさま。」と、藤井と彩子がリビングにお好み焼きを運んだ。
 「で、次は誰なの?」と、山村編集長が高遠の机に『釣書』をどかっと置いた。
 「編集長。いつの間に?」
 「いつの間に?誰も出て来ないから。」

 『打ち上げ』は長くなりそうだった。

 ―完―

 ※今回の登場人物(順不同)
 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
 久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。副隊長として、指揮をとることになった。

 中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。出産して育児休暇中。
 馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
 高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
 深井[大町]恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
 青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
 伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
 高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 渡[財前]直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。闘いの最中に渡と結婚した。
 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
 水上[七尾]伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
 新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。
 柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。EITOに就職。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
 原田正三・・・元新宿署刑事。警視庁警部。警視庁からEITO出向。

 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
 藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣の住人。栄養士。モールで料理教室を開いている。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
 橋爪警部補・・・『片付け隊』メンバー。丸髷警察署からの出向。
 西部警部補・・・『片付け隊』メンバー。高速エリア署からの出向。

 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。財前隊員と結婚。

 -------- ゲスト –---
 山村美佐男・・・みゆき出版社編集長。