大文字伝子が行く


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
 ==EITOエンジェルズとは、EITOの後方支援部隊である。==========

 午前0時。Base bookに、次のメッセージが流れた。
 『午前11時に東大赤門に来い』

 草薙と渡が開発した、SNS挑戦感知システムが作動し、宿直室にアラームが鳴った。
 本日の宿直は、財前だった。
 このシステムは、宿直室だけでなく、EITO幹部にもメールで連絡が行く。
 宿直は、翌日会議の為の準備をしておくことになっている。
 また、幹部からの連絡があった場合の対応も任されている。
 草薙が司令室にいることが多いが、今日は私用で出掛けたきりだ。

 文面を見て、財前はクビを傾げた。

 午前9時。EITO司令室。
 伝子は、隊員に訓練を命じ、幹部だけで会議をした。
 「おねえさま。これ、おかしいわ。新幹部のブルー・メデューサからの再挑戦なら、わざわざ同じ場所をバトルの場所に選ばないと思うの。」と、開口一番なぎさが言った。
 「私もそう思うわ。表明した時間帯も媒体も違う。文面も違う。再挑戦の意図も文章にない。」と、あつこが言った。
 「俺も同じくだ。学祭は夕方からのみ開催されたが、『片づけ隊』の処理はいつも完璧だ。敵の『葉っぱ』が何かを見付けて再挑戦のきっかけになったとも考えられない。」と、筒井が言い、「模倣犯・・・かな?離れた所でも準備をしていて、戦力を分散させたけど、偵察に行った時、目撃した奴が、学祭の時間変更と合わせて考えて・・・。」と。みちるが言った。
 「詰まり、ダーク・レインボウでは無く、模倣犯の様子見か。」と、理事官は言い、「また、出歯亀どもが尋ねて来るかな?EITOの名前は出ていないが、今までのパターンから類推出来る。まあ、惚けておくが。」と、自ら言葉を繋いだ。
 「警察制服組も却って危険かも知れませんね。どうする?大文字君。」と、夏目警視正が尋ねた。
 伝子は、スマホで物部を呼び出した。
 「物部。お願いがあるんだが・・・。」伝子はスピーカーをオンにした。
 「大文字のお願いは、いつも・・・ま、いいや。言ってみて。」
 伝子は事情を話し、その時間にそれとなく偵察して欲しい、と頼んだ。
 「物部。クルマから撮影してくれるだけでいい。赤門近くをゆっくり旋回して。スマホでもいいんだ。」と、筒井が言うと、「スマホなら長く撮影出来ないだろう。デジカメあるからそれを持って行く。どうする?警視庁に持って行くか?」と、物部が尋ねた。
 「愛宕に預かりに行かせるよ。警邏の途中なら自然だ。」と、伝子は応えた。
 すぐに、横で、みちるが愛宕にスマホで電話をした。
 「ダーリンに伝えておきました、おねえさま。」と、みちるが言った。
 「見事なチームワークだな。」と、入って来た須藤医官が言った。
 「丁度いいから、健康診断をやる。大文字は特に念入りにな。やっぱり、デスクワークはデブるな。」最後の言葉に皆、吹き出した。
 伝子はふてくされている。

 午後2時半。医務室。
 念入りな健康診断が終った頃、結城が迎えに来た。
 「おねえさま、愛宕君から連絡が入りました。赤門付近でウロウロする学生が動画に映っていて、夏目リサーチにも照合を依頼したそうです。」
 結城は、2度命拾いしているので、体面の時は伝子に『おねえさま』を使っている。
 「陽動でも再挑戦でもなく、模倣犯か。却って危ないな。」

 午後4時半。訓練場。
 伝子も、天童師範の指導で汗を流していたが、下條が走って迎えに来た。
 「おねえさま。大変です。」

 午後5時。会議室。
 夏目が説明した。
 「警視庁から連絡が来た。先日の闘いの日にいたかどうかは不明だが、物部君が撮影した画像に映っていた大学生2人が惨殺された。夕方のニュースで流れる予定だ。凶器はナイフガンだが、マスコミには、単に『ナイフのようなもの』と発表した。大文字君の危惧は現実になった。」
 「見せしめ、ですか。」と金森が憤慨して言った。
 「濱口君が言った通り、冷酷なオンナのようだな。石にはならなかったが、妙な好奇心が仇になった。」
 「今、我々に出来ることは何もない。せめて不幸な2人に黙祷しよう。黙祷!!・・・直れ!!」
 理事官は、柊隊員が明日から出勤することを伝え、出て行った。
 「じゃ、解散しよう。」と、伝子は号令した。

 午後6時半。伝子のマンション。
 今夜は、ジャージャー麺だ。
 「甜麺醤(テンメンジャン)っていう味噌を使うのがミソ・・・なんてね。」と、藤井は戯けた。

 高遠のスマホが鳴った。「ああ、副部長。急に無理言って済みませんでした。」
 高遠は、スピーカーをオンにした。
 「妙なことになったな。敵でなくて安心したら、見せしめになるなんて。」
 「ああ。可哀想なことをした。彼らは、悪戯しただけの積りだったんだろう。とにかく、ありがとう。」

 静かな夕餉になった。

 ―完―


 ※今回の登場人物(順不同)
 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
 久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。

 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。
 馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
 高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
 青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
 伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
 高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。

 河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
 原田正三・・・元新宿署刑事。警視庁警部。警視庁からEITO出向。

 大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
 藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣の住人。栄養士。モールで料理教室を開いている。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。

 物部一朗太・・・伝子の同級生。喫茶店のマスター。翻訳部の副部長だったので、高遠達後輩は、未だに副部長と呼んでいる。