こっそりとレオの耳元で私は呟くが、その言葉を鼻で笑う。

「うちの国の人間がなんか入れるわけねーだろ。大丈夫だよ」
「でも」
「一応近くから護衛が見てる」
「──っ!」

 気づかなかった……。
 周りをそーっと見渡すけど、全然どこにいるかわからない。
 ほんとにいるの?

「お、お待たせいたしました。いちごバナナクレープでございます」
「ああ、これ」
「──っ! ありがとうございます!」

 お金を渡したレオはクレープを受け取ると、食べ始める、と思いきや私の方に差し出してきた。

「え?」
「ほら、食え」
「え、でも……」
「お前いちご好きなんだろ?」
「あ……」

 確かにディアナにだけは少し話した気がするけど、なんでそれを……。
 盗聴……?

「ちなみに盗聴はしてない。ディアナから聞いた」
「なんで考えてることわかったの?!」
「やっぱり考えてたのか」
「あ」

 しまったーーー! 墓穴を掘ってしまった……。
 クリームが溶けそうだったので、急いで口にクレープを運ぶと、甘い味が口に広がる。
 これ……現代のクレープとそっくりだ……。
 現代の……。

「来い」
「──っ!」