「ユリウス様っ! イレナもいますし、その……」

 そんな私付きのメイドであるイレナは私は邪魔してませんよ、とばかりにそっと顔を軽く背けて涼しい顔をしている。

「私のことが嫌いかい?」

 子犬のように縋る目で見つめられると、なんとも心が痛む。
 私は勇気を振り絞って、ユリウス様に言葉を紡ぐ。

「わ、私も……その……ユリウス様が好きです」
「よかった」

 私の言葉を聞くと満足そうに、それはなんとも嬉しそうに無邪気に微笑むと、紅茶を一口召し上がった。
 しばらくはまだこのこそばゆい感じ、なんていうのかその、付き合いたてのカップル?みたいなふわふわした気持ちが続くのかと思うと、私は気恥ずかしさもあり嬉しくも思った。


 ユリウス様とのアフタヌーンティーを終えてイレナと廊下を歩いていると、彼女が私に話しかける。

「この後私は街に買い出しに出ますので、ユリエ様はどうぞごゆっくりお部屋でお過ごしください」
「え? 街に? それ、私も行っていい??」

 ユリウス様と街に出てからこの国の風土がとても好きで、何度かイレナの買い出しについて行っていた。