「ユリエ、どうかそんなに身構えないでほしい。一緒にお茶したいだけなんだ」
「はい。でもやっぱりケーキにサンドウィッチ……豪華だなって」
「アフタヌーンティーは嫌かい?」

 ユリウス様は少し眉を下げて顔を傾けると、私の顔色を窺うように見つめてくる。

「い、いえっ! 違うんですっ!! 私にはもったいないほどの豪華さで!! その、幸せです!!」

 自分でもなんとも語彙力のない、そして品のない回答をしたと反省したが、ユリウス様は私の回答を聞くとほっとしたように笑う。

「よかった、じゃあぜひ僕と一緒にアフタヌーンティーデートをしてほしい」
「は、はい」

 ほら、こんなふうに急に男の人の顔つきになって私を誘惑してくる。
 サファイアよりも濃いタンザナイトのような瞳が私を捕らえてしまって、思わず照れて顔を赤くしてしまう。

「ユリエ、私はあなたが好きです」
「ほえ?!」

 ケーキを口にしていた私に向かって突然愛の告白をするユリウス様。
 その顔は日の光が当たってキラキラと輝いて、まさに王子様だった。
 私はケーキをポトリとお皿に落としてしまって、愛の告白に口をパクパクさせる。