絵本や漫画で見た世界のような素敵な街並みで、石畳の地面に建物はレンガをメインに作られている。
 それにみんな可愛い民族衣装のような服を着ている。

「ママ~待って~」

 はあ~! 子供たちの服もフリフリで可愛い~!!
 なんて素敵な街! そして国なの?!

「気に入ってくれたようですね」
「はいっ!」
「あそこのテラスで紅茶でもいかがですか?」
「ぜひっ!」

 そう言って二人で店主の人に紅茶をお願いする。
 すると、店主がユリウス様にこそっと耳打ちした。

「久々じゃないか、坊ちゃん」
「その呼び方はやめてください」
「今日も抜け出してきたのか?」
「はい、今日は彼女を連れて」
「ほお? ついに婚約者でもできたか?!」
「え、その──」

 ユリウス様は少し顔を赤らめると、からかわないでくださいと言い残して私をテラスへと案内する。

「ここはやはり落ち着きます」
「はい、海も見えてとても綺麗ですね」

 紅茶を一口飲むと、心地よい風に乗って紅茶の香りもふわりと漂う。

「昔から母上と王宮を抜け出してはここで紅茶を飲んでいたんです」
「あ、だからさっき坊ちゃんって」