わたくしは手を伸ばしたのですが、運悪くドレスの裾を踏んでしまいわたくしの視界はぐらりと揺れた後、そのまま目の前が真っ暗になりました。
 一瞬の出来事でした。
 自分が床の感触を直に感じたことで転んだのだと認識したと同時に、わたくしの中に何か電流が走ったような衝撃を受けました。


 そして、わたくしは”私”を思い出したのです──




【次回予告】
婚約者との平和な日常が一気に崩れ去る。
わたくしは「私」を思い出した。
その記憶とは一体……?!
次回、『第2話 私の記憶』