私は王太子妃教育を受けて自室に戻るリーディアを見つめて呟いた。


 それから数ヵ月が経過した頃、リーディアの様子が少し変わったことに気づいた。
 雰囲気が少し変わったというのだろうか、今まで少し人形のような一辺倒な表情だったのがわずかだが喜怒哀楽を示すようになった。
 そして、彼女は何かを探すように王宮の人間に積極的に話しかけていた。

 もしかして、術がとけた?

 そして彼女が今まで一度も行ったことがないはずの書庫室に行ったという報告を書庫室長より聞いた。
 私は一縷の望みをかけてじいじに依頼して彼女へとコンタクトを取った。
 その目論見は見事成功して私と彼女は共に王妃に立ち向かうこととなった。



◇◆◇



 彼女と手紙のやり取りをするうちに、私は彼女のことがどんどん好きになっていった。
 不謹慎だとは思ったが、それでも秘密の関係というのがさらに燃えたのか、彼女の内面から出る美しさ、そして強さに惹かれていく。

「会いたい」

 気づけば自分でも驚くほど切なげにつぶやいていた。
 私は心を落ち着かせるため、ある場所へと向かった。


「ここは落ち着くな」