ユリウス様は私が魔法陣に立ったのを確認すると、自らの手を短剣ですーっと切って、そこからぽたりと血が流れる。

「ユリウス様っ! 血がっ!」
「大丈夫です、少しの血で大丈夫ですから」

 ユリウス様の血がぽたりと魔法陣に落ちた瞬間、眩い光が現れて魔法陣は光り出し、そして私を包み込んだ。
 あ、もう帰るんだ。
 これが最後、ユリウス様と会えなくなる……。

 そう思っていると、ユリウス様が私に一歩近づいて声をかけてくる。

「ユリエ、今までありがとうございました。一緒にいれたこの一年、楽しさだけではないけれど、いい一年でした」
「ユリウス様……」

 私の目に少し涙がたまり始めて、それがいつの間にかぽたりと落ちた。

「最後だから言います。私はあなたが好きでした」
「──っ! 共に闘う相手としてだけでなく、女性としてあなたのことが好きでした」

 その言葉は私の感情を爆発させるのに十分で、私も叫ぶように伝える。
 ああ、もうユリウス様の声も遠くなってきた。早く。早く、伝えないと……!