「ユリエ、この度はそなたに大変迷惑をかけたこと、申し訳なかった」
「いえ、王もお体がよくなって良かったです」
「心配ありがとう。詫びではないが、これからもこの王宮にて変わらぬ暮らし、いやそれ以上の対偶をお約束しよう」
「そんなっ! 私は十分満足しておりますゆえ、お気になさらないでくださいませ」
「それと実はユリウスが魔術師を拷問にかけたところ、異世界に帰還する方法を吐いたそうなのだ」
「──っ! それは本当ですか?!」
「ああ、ユリウスが今準備をしているので、数日だけ待っていただけるか?」
「もちろんでございます。国王、そしてユリウス様、ありがとうございます」

 玉座に座る王と隣に控えるユリウス様に礼を言うと、なぜかユリウス様は少し悲しそうな表情で私を見つめた。



◇◆◇



 数日後、帰還儀式の準備が整い、私とユリウス様は地下室にいた。
 ここに来るまでに王やイレナなど、新しく関わってくれた人にも別れの挨拶をしてきた。
 半月ほどではあったけれど、本当によくしてもらった。

「ユリエ、この魔法陣の真ん中に立ってもらえるか?」
「はい」
「では、儀式を始める」