自分の召喚にそのような大きな犠牲を払っていたことに、そして何よりただ自分の息子の婚約者にしたいから、自分が王妃として盤石な地位を得たいからという理由でそれがなされたことに腹が立つ。

「もう一つ、あなたは罪を犯しました。10歳の時に私に毒を盛ったのはあなたですね、王妃」
「なんのことかしら?」
「当時のメイドを探し出し聞き出しましたよ、私の皿に毒を盛ったと泣きながら伝えてくれました」
「…………」

 私とユリウス様は並んで立ち、王妃を見上げて問う。

「「何か申し開きはありますか」」

 その言葉に王妃はくくくとこらえきれないように笑うと、そのあと手を口元に当ててさらに高笑いをした。

「ああ、おかしい。だからなんなの? 私がしたから何? この王宮の人間は全て私の味方なのよ?! あなたたちに何ができるっていうの?」

 その言葉を合図に私たちを取り囲むように兵が立ち並ぶ。

「さあ、第二王子を牢へ連れて行きなさい、小娘も同じよっ!!」

 その言葉に兵たちは全く耳を貸さない。当たり前だ。だって……


「それで気が済んだか? アンジェラ」