間違いない。これは現代と同じ桜の木だ。ということは、聖女はもしかして同じ現代からやってきた人間?
いきなりの転移で桜の木を持ってるわけないから、一度現代に戻ってまた来た?
もしかして行き来できたんじゃない……?!
「どうしましたか、リーディア」
「いえ、ユリウス様。その、恥ずかしいのですが、ホームシックになっていたようでして」
「ほーむしっく?」
「家や母が恋しくなったのです。記憶を取り戻してもうすぐ一ヶ月。私は帰れるのだろうか、って」
私がだんだん俯きがちに話していると、ユリウス様の足音が近づいてきてそして私の前で止まる。
すると、私の頭を撫でてそれから急に私を優しく抱きしめた。
「──っ!」
「あなたは一人でよく耐えています。よくここまで我慢しましたね」
その言葉だけでも私には十分すぎる優しさだったようで、思わず目の前の視界がぼやけてくる。
「あなたは本当に聖女のように清らかで美しい人です。でも、あなたはふと寂しい顔をするときがある」
図星だった。
ユリウス様は私を、私自身をよく見てくださっていて、それは愛情に飢えた私にとってすがりたい気持ちにさせる。
いきなりの転移で桜の木を持ってるわけないから、一度現代に戻ってまた来た?
もしかして行き来できたんじゃない……?!
「どうしましたか、リーディア」
「いえ、ユリウス様。その、恥ずかしいのですが、ホームシックになっていたようでして」
「ほーむしっく?」
「家や母が恋しくなったのです。記憶を取り戻してもうすぐ一ヶ月。私は帰れるのだろうか、って」
私がだんだん俯きがちに話していると、ユリウス様の足音が近づいてきてそして私の前で止まる。
すると、私の頭を撫でてそれから急に私を優しく抱きしめた。
「──っ!」
「あなたは一人でよく耐えています。よくここまで我慢しましたね」
その言葉だけでも私には十分すぎる優しさだったようで、思わず目の前の視界がぼやけてくる。
「あなたは本当に聖女のように清らかで美しい人です。でも、あなたはふと寂しい顔をするときがある」
図星だった。
ユリウス様は私を、私自身をよく見てくださっていて、それは愛情に飢えた私にとってすがりたい気持ちにさせる。