王妃様との心理戦を繰り広げて疲弊した私はベッドに身を投げ出して額に手の甲をつけてふうと息を吐く。
 まだ心臓がドクドクと鳴っていて、今更手が震えてきた。

「もう、なんでこんなことで怖がってんのよ」

 それに最近なんだか気落ちしていて、故郷の現代が、そして母が恋しくなっていた。
 仮にも一年婚約者だったエリク様に何も思われてなかった、愛してもらえてなかったってことにもなんとなく虚しさを感じる。
 そんなことから虚無感というか、愛情の不足を感じられて辛い。
 私はこれからどう生きればいいんだろう、なんて漠然とした不安に襲われる。

 ふと眠れずベッドから起き上がり、窓の外を眺めるとあることに気づく。

「あ、あの木。なんか家の近くの公園の木に似てる」

 そう思った私は夜着を羽織ってそっとドアを開けると、見つけた木のある裏庭にほうへと向かった。


「さむっ!」

 外はかなり寒くなってきており、風がほっぺにあたって痛い。
 そんな心の叫びを聞いていたのか後ろから声をかけられた。

「リーディア?」