「いえ、寒くなってきたので王妃様もお体にはお気をつけくださいませ」
「ええ、ありがとう」

 そう言いながら王妃様は私のもとを去っていった。
 王妃様が去ったあとで唾を一つごくりと飲んだ。
 私の心臓はドクドクと脈打つように鳴っており、心の中では恐怖心で溢れていた。

(そうだ。『行ってはならない』とは言われていない。おそらく私に行くなと暗示をかけさせた。記憶を取り戻したかを探って来たということはやはり王妃様は黒)

 私の額に一筋の汗が流れたのを拭うと、その足で自室へと向かった。




【ちょっと一言コーナー】
ユリウスの字は今の日本でいうと、かくっとしっかり止めはねができた気真面目そうな字です。
英語だとさらさらという感じでしょうが・・・
左利き設定ようやく出せましたっ!


【次回予告】
王妃からの疑いの目を潜り抜け、いよいよ王宮追放の時が迫っていた。
無事に成功するのか……?
そんな時、ユリエは裏庭に、ある木を見つけてそこで……。
次回、『第7話 折れそうな心』