「緊急度の高い事案発生や何か新しい情報を仕入れた際のみお手紙をください」
「かしこまりました」

 こうして限られた時間の中で王妃をどのように王宮から追放するか、エリク様へどのような罪を与えるかの会議がおこなわれた。



◇◆◇



 書庫室にて作戦会議が開かれた数日後のある日、王妃様が廊下の向こうから来るのが見えたため、私はいつものようにカーテシーで挨拶をして王妃様が通り過ぎるのを待った。
 王妃様がすれ違う瞬間にそっと扇で口元を隠しながら私に対してそっと呟いた。

「あなた、わたくしが“行ってはいけない”と言ったところに行ったそうじゃない?」

(──っ!)

 すぐに書庫室のことだと思い否定しようとしたが、違和感に気づき私は落ち着きを持ったいつものおしとやかな令嬢口調で返答した。

「申し訳ございません。王妃様はわたくしに行ってはならないと仰った場所などないと思うのですが、ご気分を害されることをわたくしはしてしまったのでしょうか」
「…………ええ、そうね。行ったらいけないなんて言ったことないわよね。ごめんなさい、勘違いだったわ」