不安そうな顔を自然と浮かべてしまったのか、ユリウス様は胸の前に手を当てて丁寧に頭を下げながら名乗った。

「改めて、私はこの国の第二王子ユリウス・リ・スタリーです。あなたがこの書庫室で調べていた内容の通り、今は亡き元王妃の息子です」

 やはり、彼は元王妃の息子で間違いない。
 いや、でもそれだけで信じるわけにもいかない。
 どうする?

 そんな私の考えを見抜いてか、ユリウス様は胸の内を語り始める。

「私はあなたを助けたい。まずは話を聞いてから信頼に足る情報か聞いてほしい」

 そう言うと、ユリウス様は王妃や元王妃、そして自分自身の立場を語り出した。


 ──30年前、元王妃は王の元に嫁いで来たが、一向に子宝に恵まれずに苦肉の策で王は第二王妃を娶った。
 その第二王妃が現王妃だった。
 現王妃はすぐに子宝に恵まれ、エリク様を出産した。

 やがて、エリク様に第一王位継承権が与えられる直前に元王妃は子宝を授かって王子を生んだ。
 それが第二王子のユリウス様だった。
 しかし、元王妃はそのまま病で亡くなり、王は憔悴して同じく床に臥せてしまった。