そう言ってエリクさまの後をついて王宮の裏庭のほうへと向かいました。
 裏庭に着くと、ある一角にわたくしとエリクさまはそっと座り込んで持っていた真っ白いユリの花を置きました。

「お父様、お母様、わたくしエリク様と婚約することになりました。もしお二人が病に倒れることなく、この場にいたらどれほど喜んでくださったでしょうか」

 伏し目がちに俯くわたくしにエリクさまはそっと支えるように肩を抱いてくれました。

「クルドナ侯爵、侯爵夫人。お久しぶりです。リーディアと婚約させていただくことになりました。必ず幸せにしますので、どうかご安心を」
「エリクさま……」

 お父様とお母様の眠る場所をそっと撫でたわたくしは目を閉じて祈りを捧げます。
 エリクさまも何かを誓うように真剣な面持ちで長く思いを伝えていらっしゃいました。



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 そうしてわたくしの両親に誓いを立てた婚約から5年の月日が経ち、私も王太子妃教育を受けて少しずつですがエリクさまのお隣に立つ準備をしておりました。
 エリクさまは漆黒の髪にグレーの瞳というそれは見目麗しい容姿をなさっているので、女性からの人気が高いのです。