触ってもいいかというように顔を見ると、レオは静かに頷いた。
 瓶自体に色がついているのか、薬の色なのか、少し青碧っぽい。
 ちょっとだけ瓶を傾けると、中に入った液体がさらっと動く。

「お前にやる。これは好きにしていい。これを応用してこちらに戻って来れる薬も作った。その中に入っているはずだ」

 よく見ると、箱は二重構造になっており、下の方にもう一段何か入るスペースがあった。
 それをはがしたら、同じような瓶が見えてくる。

「これがあれば、元の世界に戻れる……」
「ユリエ」

 ユリウス様は私の名を呼ぶと、そっと手を握り締めてくれる。

「俺は席を外す。あとはお前たちが決めていい」

 レオはそう言い残すと、次の仕事があるといって部屋をあとにした。
 たぶん、仕事なんて嘘で、私達二人にしてくれようとしている。

 それから、きっと私の中にある「迷い」もバレてる……。

「ユリエ、私は君の幸せを一番に考えたい。その薬で元の世界に戻ってもいい。それでも、君が楽しく、生きていてくれるならば」

 その言葉は私の胸を打った。