「ひどい。だってレオ様のせいじゃない」
「いや、俺のせいだ。妹は眠り続けてる。魔術医師の先日の見解によると、あと半年の命しかないと」

 半年……。
 じゃあ、もう時間がない。何か呪いを解く方法とかないの?

 そこでレオがじっと私を見つめてきた。
 え……? また押し倒されるの、私。そ、それはちょっと……ご遠慮したい。

 だけど、私に投げかけられた言葉は予想外なものだった。
 いや、正式には私の脳内に少しだけよぎったけど、まさか、と思っていたこと──

「お前に、聖女の力で呪いを解いてもらいたい」
「……私?」
「ああ、あらゆる魔術師が呪いを解こうとしても解けなかった。それに反王族派の人間もまだ捕縛できていない。打開策を探していた時、お前が召喚された。だから、お前を攫らわせてもらった」
「それで私を。事情はわかったけど、私じゃ……」

 そう、私は聖女のことはおろか、聖女の力とやらを発現することもできていない。
 何もわかっていない、役立たずだ。

「お前が聖女の力を発現していないことは理解している。だから、無理強いはしない」