私は思わずごくりと息を飲んだ──


 レオの部屋は私の部屋の割と近くにあって、すぐに向かうことができる……が。

「身体が重い……」

 あの真剣な声色で俺の部屋に来いと言われれば、さすがに警戒する。
 ついに私の計画がバレた? 煮られる? 焼かれる? 蒸される……?
 調理されるなら桜の木で燻されたスモークがいい……。

 そこまで言って「サクラ」というワードで思考が停止した。
 そうだ、クリシュト国に帰って、ユリウス様とまたあのサクラの木を見に行くんだ。
 大丈夫、大丈夫、負けるな。私。

 私はペンダントをぎゅっと握って、レオの部屋の扉をノックした。

 すると、扉はすぐさま開き、そしてそのまま腕を強く引っ張られる。

「──っ!!!」

 私はそのままぐるりと身体を反転させられ、気づくと何か柔らかいところに押し倒されていた。

「……レオ……さま?」

 特徴的なアメジスト色の瞳が私を捕らえて離さない。
 さらに肩まである長めの髪がさらりと流れるように私に向かって降りている。
 先程の朝食の時とは違う、いや、今まで見たことない。こんなレオの顔。