♢♦♢
~フルトフランク王国~
ツインマウンテンから約400㎞以上離れた国、フルトフランク王国。
大小合わせこの世界には全部で250以上の国が存在する。中でも一際面積や人口の多い3大大国と呼ばれる王国があり、リューテンブルグ王国はその1つでもある。残る2つはユナダス王国とイルティナ王国という国。
今俺達が来ているフルトフランク王国も3大大国にこそ入っていないが、その規模は大きい方である。
フルトフランク王国の最大の魅力と言えば、王国の至る所に可憐に咲き誇る美しい花々。別名“花の王国”とも呼ばれるフルトフランクは、観光客も多く訪れ人も街も非常に活気づいている豊かな王国だ。
「本当にこんな場所で売買してるのか?」
「ハイ。ここフルトフランク王国の地下ハ、フランクゲートと呼ばレル紛れもないリバース・オークションの会場なのデス」
「リューテンブルグと何ら変わらない平穏な王国なのになぁ」
「見えているモノが全てではありマセン」
そりゃそうだけどよ、目の前の平和な風景と起こっている事が全然釣り合わねぇだろ。無差別な売買なんて胸糞悪いぜ全く。
「――見渡す限り人間ばかり。今にも殺してやりたい」
「馬鹿かお前! 絶対やめろよ」
そう。
今来ているフルトフランク王国には大の人間嫌いであるアクルも一緒だった。
俺はリフェルの提案通り、フランクゲートを潰しに来た。一応アクルとの和解条件にもなったし、俺個人的にもリバース・オークション等潰れちまえと思っている。それにアクルには満月龍について色々重要な事を教えてもらったからな。またコイツの息子が狙われたりしたら可哀想だ。
リフェルの持つ魔力が1番肝心な満月龍に効かないと分かった直後は絶望したが、これまたリフェルの言う通り、対満月龍以外となれば万能の力。ほぼ全ての魔法を使えるなど最早反則級の能力だから、俺達2人でフランクゲートを潰すつもりだったが、何故かアクルも付いてくると言って今に至る。
「密猟者共が売買している場所は何処だ?」
「だからそんな殺気立つんじゃねぇ。目立つだろ。ただでさえデカくて既に人の目集めてるんだからよ」
無理もない。
こんな巨体生物が歩いていたら誰もが見るだろう。
「ココから北へ5㎞進んだ教会ノ地下デス」
「行くぞ」
「おい、だからそんな感情剥き出しで行くなって! くそッ……。こうなりゃ仕方ねぇ。リフェル、何かしらの魔法でコイツ小さくしろ。俺の半分ぐらい」
「分かりマシタ」
そう言って魔法を発動したリフェルは何かの魔法を掛けたのか、アクルはみるみるうちに小さくなっていった。
「おい! どうなってるんだこれは!」
「少し落ち着け。そうしたら戻してやるよ」
「くッ……。まぁいい、このままでも人間殺すぐらい訳ない」
アクルは歩くスピードを早めどんどん行ってしまった。
「大丈夫かアイツ……。 何か嫌な予感するなぁ」
「コノ先アクルが不測のトラブルを起こす確率は99.9%デスね」
だろうな。
このままリバース・オークションの会場に乗り込んでトラブル起きない方が可笑しい。
そんな事を考えながら「面倒くせぇな~……」と呟いていると、気が付けば早くも目的の教会に到着していた。
~フルトフランク王国・とある教会~
「マジでここ?」
「ハイ。間違いありマセン」
第一印象はごく普通の静かな教会。
「地下に続く道は?」
「少々お待ちく下サイ。今辺り一帯をスキャンしていマスから」
リフェルの手から何やら光が出たと思った瞬間、その光はまた直ぐに消えた。
「完了デス。コレを見て下サイ。やはり地下にオークション会場がありマシタよ」
何をしたのかはさっぱり分からない。
だが、リフェルは突然どこからともなく1枚の紙切れを取り出し、俺とアクルに見せてきた。
そこに書かれていたのは何かの図面の様な物。
「コレが教会デス。そしてソコに重なる様に、コノ教会の約35倍以上ノ広さを現してイルこれがオークション会場デス」
「「――!」」
おいおい……思った以上に広いな。地下にこんなのが広がってんのかよ。まぁそれなりの人数の出入りがあるなら妥当なのか?
「そしてコノ点が人になりマス」
「人……? これ全部が?」
「ハイ」
書かれている図面の至る所に点が密集している。地上の物凄く静かな教会とは裏腹に、俺達の足元にはパッと見ただけでも100人以上の人が存在している事になる。
「人間め……。こんな地下でコソコソと」
「オークション会場への入り口はココ。教会の横にアルあの小さな建物デス」
リフェルが指差す方向には確かに建物が。
教会よりも一回り程小さいその建物の側には、“フランク修道院”と書かれた看板が立っていた。
「行くぞ」
「なッ、ちょっと待てって……! この紙見るとあの建物にも数人いるぞ人が……「関係ない。どの道全員殺すからな!」
殺気立つアクルは猪突猛進で建物へと走って行った。
「やべぇ……! 追うぞリフェル!」
「トラブル発生マデ後2秒」
「そんなカウントダウンいらねぇんだよ! 急げ!」
俺が振り返って修道院を見た時には、既に建物が半壊していた――。
~フルトフランク王国~
ツインマウンテンから約400㎞以上離れた国、フルトフランク王国。
大小合わせこの世界には全部で250以上の国が存在する。中でも一際面積や人口の多い3大大国と呼ばれる王国があり、リューテンブルグ王国はその1つでもある。残る2つはユナダス王国とイルティナ王国という国。
今俺達が来ているフルトフランク王国も3大大国にこそ入っていないが、その規模は大きい方である。
フルトフランク王国の最大の魅力と言えば、王国の至る所に可憐に咲き誇る美しい花々。別名“花の王国”とも呼ばれるフルトフランクは、観光客も多く訪れ人も街も非常に活気づいている豊かな王国だ。
「本当にこんな場所で売買してるのか?」
「ハイ。ここフルトフランク王国の地下ハ、フランクゲートと呼ばレル紛れもないリバース・オークションの会場なのデス」
「リューテンブルグと何ら変わらない平穏な王国なのになぁ」
「見えているモノが全てではありマセン」
そりゃそうだけどよ、目の前の平和な風景と起こっている事が全然釣り合わねぇだろ。無差別な売買なんて胸糞悪いぜ全く。
「――見渡す限り人間ばかり。今にも殺してやりたい」
「馬鹿かお前! 絶対やめろよ」
そう。
今来ているフルトフランク王国には大の人間嫌いであるアクルも一緒だった。
俺はリフェルの提案通り、フランクゲートを潰しに来た。一応アクルとの和解条件にもなったし、俺個人的にもリバース・オークション等潰れちまえと思っている。それにアクルには満月龍について色々重要な事を教えてもらったからな。またコイツの息子が狙われたりしたら可哀想だ。
リフェルの持つ魔力が1番肝心な満月龍に効かないと分かった直後は絶望したが、これまたリフェルの言う通り、対満月龍以外となれば万能の力。ほぼ全ての魔法を使えるなど最早反則級の能力だから、俺達2人でフランクゲートを潰すつもりだったが、何故かアクルも付いてくると言って今に至る。
「密猟者共が売買している場所は何処だ?」
「だからそんな殺気立つんじゃねぇ。目立つだろ。ただでさえデカくて既に人の目集めてるんだからよ」
無理もない。
こんな巨体生物が歩いていたら誰もが見るだろう。
「ココから北へ5㎞進んだ教会ノ地下デス」
「行くぞ」
「おい、だからそんな感情剥き出しで行くなって! くそッ……。こうなりゃ仕方ねぇ。リフェル、何かしらの魔法でコイツ小さくしろ。俺の半分ぐらい」
「分かりマシタ」
そう言って魔法を発動したリフェルは何かの魔法を掛けたのか、アクルはみるみるうちに小さくなっていった。
「おい! どうなってるんだこれは!」
「少し落ち着け。そうしたら戻してやるよ」
「くッ……。まぁいい、このままでも人間殺すぐらい訳ない」
アクルは歩くスピードを早めどんどん行ってしまった。
「大丈夫かアイツ……。 何か嫌な予感するなぁ」
「コノ先アクルが不測のトラブルを起こす確率は99.9%デスね」
だろうな。
このままリバース・オークションの会場に乗り込んでトラブル起きない方が可笑しい。
そんな事を考えながら「面倒くせぇな~……」と呟いていると、気が付けば早くも目的の教会に到着していた。
~フルトフランク王国・とある教会~
「マジでここ?」
「ハイ。間違いありマセン」
第一印象はごく普通の静かな教会。
「地下に続く道は?」
「少々お待ちく下サイ。今辺り一帯をスキャンしていマスから」
リフェルの手から何やら光が出たと思った瞬間、その光はまた直ぐに消えた。
「完了デス。コレを見て下サイ。やはり地下にオークション会場がありマシタよ」
何をしたのかはさっぱり分からない。
だが、リフェルは突然どこからともなく1枚の紙切れを取り出し、俺とアクルに見せてきた。
そこに書かれていたのは何かの図面の様な物。
「コレが教会デス。そしてソコに重なる様に、コノ教会の約35倍以上ノ広さを現してイルこれがオークション会場デス」
「「――!」」
おいおい……思った以上に広いな。地下にこんなのが広がってんのかよ。まぁそれなりの人数の出入りがあるなら妥当なのか?
「そしてコノ点が人になりマス」
「人……? これ全部が?」
「ハイ」
書かれている図面の至る所に点が密集している。地上の物凄く静かな教会とは裏腹に、俺達の足元にはパッと見ただけでも100人以上の人が存在している事になる。
「人間め……。こんな地下でコソコソと」
「オークション会場への入り口はココ。教会の横にアルあの小さな建物デス」
リフェルが指差す方向には確かに建物が。
教会よりも一回り程小さいその建物の側には、“フランク修道院”と書かれた看板が立っていた。
「行くぞ」
「なッ、ちょっと待てって……! この紙見るとあの建物にも数人いるぞ人が……「関係ない。どの道全員殺すからな!」
殺気立つアクルは猪突猛進で建物へと走って行った。
「やべぇ……! 追うぞリフェル!」
「トラブル発生マデ後2秒」
「そんなカウントダウンいらねぇんだよ! 急げ!」
俺が振り返って修道院を見た時には、既に建物が半壊していた――。