「教室が怖い。先生が怖い。学校が怖い。君が怖い。家が怖い。世界が怖い。」

 ひどく怖がりな君は何度も俺を困らせた。何度も涙を流した。何度も首に手を当てた。

 人の心を掴むのが得意すぎる君と、苦手すぎる俺は、最悪で最高の相性だった。

 君が俺の記憶から消えたとき、なぜか君は微笑んだ。もし俺が君の記憶から消えたとき、きっと俺は涙を呑むだろう。

 君がやっとの思いで教えてくれた本音は、おかしいくらいに澄んだ青空に花びらのように散っていった。