私は雨が好きだ

地面がクッションとなり包み込むような滴る音が、私の心を吸収してくれる

不安や不安や不安や不安や少しの楽しさ
色々なモノが詰まったオリジナルの私のアクセサリーだ

心は人を導き、心は人を殺す
心とは自分そのものであり、自分の敵でもある

それでも寛容な雨は、私の、私なんかの心を受け入れてくれる

だからすきだ

これは決して話を盛った訳では無い
いや、少し盛っているのかもしれない
そこは好奇心旺盛な中学生なのでしょうがない

私の身近にいる、大人、子供に 好きな天気は何か、と問うとほとんどの人が「晴れが好き」と答える

答えた人のなかでも専業主婦であれば、「洗濯物が外で乾かせるから」と大抵答える

まあそれはそうだ

子供だと、「外で遊べるから」「なんか嫌だから」

まあそれはそうだ

本当に「それはそう」としかいいようがない

だってそれはそうだから

面白くない返事だと思う
何も突っ込む所もなく共感している訳でもない

流しているとしか見えない
私は猛暑に熊谷を飛び回る営業マンでもないし、心身に寄り添って人の話を聞き込めるカウンセラーでもない

ただの14歳10ヶ月2月25日2890gで生まれた
ただの中学三年生だ


そんなただの中学三年生の物語




もうこの学校に通って3年になる


3年といっても、あと半年
来年には卒業か
早く卒業したい


そんなことを考えながら、もう乗りなれた山手線外回りに無を決して乗り込む

人、ひと、ヒト

みんな生きるのに必死なんだ
私だってそう

「ね、ちょっと、!」
「!すず、おはよう」

「全然気づかないじゃんかー!!私他の人に変な目でみられながらずっと話しかけてたんだかんな!!」

この子はすず私と同じ学校に通っている
いろいろな所からくる子達の中で、たまたま同じ区に住んでいて時々一緒に行っている

すずは頭が良くて優しくて、でも凄く頑固で意地っ張り
将来は外交官になってアイドルと結婚するらしい
顔がかわいいから大丈夫だと密かに思ってる

ベヒフェを極めた顔で
小学六年生っていってもバレないような赤ちゃん

「すず、珍しいねこの時間に行くなんてさ」

「寝坊した、昨日アイドルのライブ映像みてて」
「ていうかいつも、この時間帯に行ってるの?」

「そうだよ、朝7:30に毎日乗ってる」

「私こんなに人が混んでるの初体験すぎて死ぬかと思ったわ、もうちょい早く来いや!」

「無理無理、すずみたいに優等生じゃないから、ほら着いたよ」

私たちの学校は駅から徒歩20分ずっと坂道を登った所にある

東京のグレーに飲み込まれたその一部だ
暗い