自ら手放したはずの青春を探すかのように、夜空を見上げた。




月がもう少ししたら高くなるだろうなぁ。




そんな私の思考を遮るように、バン、と沢山のバイクの音が辺りに響き渡る。




いつの間にか私を取り囲むように彼らが立っていた。




そのうちの一人が口を開く。




「殺れ。」




流石の私でも、その一言で、辺りの空気が一変したのが分かる。




明らかに、ただの女に向けるような言葉ではない。




次々と襲いかかってくるヤツらの相手をしながら、1%だけ身の危険を感じた。




やがてその1%が確信に変わり。




いつの間にか私は囚われていた。




それでも諦める事が出来ないまま、辺りの様子を目に焼き付ける。




意識を手放す寸前に私が見たものは、闇で身を染めたような、それでいて美しく、冷酷な表情の男だった。