『おぉぉぉぉぉ――――――――っ!』

「いや、あのー……アマリリスちゃん……本当に大丈夫なのかしら?何かものすごい咆哮あげ始めたのだけど……!?」
いやまぁ相変わらずかわいらしいピンクブロンドと私と同じ青い瞳の美少女……何だけど顔こっわあぁぁっ!ヒロインちゃんフェイスどこ行ったのおおまぉっ!

――――てか、その、ヒロインちゃんと悪役令嬢の目の色被ってるけどいいの……!?まぁ事実は小説より奇なりって言うから、お決まりの断罪劇の現実なんてこんなもんよ!

こんなもんでもヒロインちゃんが咆哮上げるのはレアだけどね……!とんだホーンテッド断罪劇よ……っ!

「あぁ、アンデットだねぇ。死霊魔法のお陰で死なないんだ。適切な方法で処理しないと、あぁやって何度も復活する」
「何ケロッと告げてんの!そもそもそれ禁術でしょーがっ!トール!」
アンデット作りが合法だったら世の中とんでもないことになってるわよ……!
――――――そしてそんな時に湧いて出たのが……。

「……フッ、これだから君は。とんだ世間知らずだな……!」
相変わらずムカつく男ね、王太子殿下。
そんなにあなたに知られている筋合いはないのだけど……!?まぁ世間知らずであることは認めるけど……あなたよりは庶民感覚は知ってるわよ!深窓のボンボン王太子め……!

「魔法解剖医は、ネクロマンサーの死霊魔法を使うことを、法律で許可されているのだ」
いや、何そのチートおぉぉっ!そんな法律あったの!?学園では習わなかったわよ……!黒魔法や死霊魔法は免許がなくては使ってはいけないってことくらいしか……。ん……?免許……?魔法解剖医の免許もしくはそれに附随する資格ってこと……っ!今分かった!今理解したわよ……!せめて学園でも魔法解剖医のことをちょっとは学ばせてよ……っ!!!解剖医のカの字もなかったぁぁっ!!
――――いや、お貴族さまの学園である。貴族としての心得、マナー、歴史や言語学など色々と習っても……生物&解剖の講義はなかった……前世でも今はあんまりやらないじゃない……?私なんてお魚の解剖だったわよ。焼き魚が生身だっただけの違いよ……!
その時別に……解剖医のこと習ってない……っ!習ったのはサスペンスドラマじゃないの!この世界にサスペンスドラマ……はあるはずがない。あるとしたら観劇……。けど魔法解剖医の断罪事件簿なんて演目聞いたことないから……っ!!

「んもぅ死霊魔法使い放題だから、死体も蘇らせ放題!アンデットもりもり生やし放題!」
生やし放題はやめて欲しいのだけど……。

「でもアンデットよね!?あと検視は……!?むしろそっちが本業なのでは……っ」
解剖医って普通そう言うのでは……!?

「検視は検視官の仕事かな」
「あら……そうなの?」
魔法解剖医の他にも検視官ってのがいるのね。そう言えばよくサスペンスにも出てくる……かも?

「それに拷問解剖ではお馴染みだよ――――!何度も何度も生やし放題!ウキウキわくわく……!拷問解剖たっのしみ~~っ!」
「……いや、そもそもアマリリスちゃんが拷問解剖にかけられる意味はどこにあるのかしら……!?しれっと何やる気になってるのよ……!」

「意味……それは決めてなかったな……!」
「ダメじゃないのそれ!解剖も計画的に!アンデット化も計画的に!!拷問解剖も計画的に!!!」

「すごい……ビアンカは解剖の才能あるかも……!」
「こんなところに才能見出だされたくはないわよ。そんなことよりアマリリスちゃんよね。これ、大丈夫かしら。咆哮上げてたけど、しゃべれるのかしら」
「ふん、まぁとにかく、アンデットとは言えせっかくの証人だ。それでは、故アマリリス・ピンククォーツ男爵令嬢の証言を聞いていこうか」
何であなたが仕切っているのよ王太子殿下。
いや、この場で一番位が高いのは確かにあなただけども。
私も一応王族の血は引いてるけど……でも直系には叶わないわ。

だから妥当だけども。やっぱり何かムカつくわね。
それからアンタ、アンデットへの適応力高すぎない?王太子なのに、王城でほぼ出会わないであろうアンデットに適応力高くない?まさか普段からアンデットたちと戯れて……んなわけないわよね。襲われて……たら無事ではすまないでしょうし。

あと……。

「あの――――……、王太子殿下」
そろそろハッキリとさせなければ。

「何かね、ローズサファイア断罪され公爵令嬢」
「ひとの家名に変なものつけないでください。それから、ピン()クォーツ男爵令嬢じゃなくて、ピン()ォーツ男爵令嬢ですよ!王太子殿下!」
あれ、問題はここではなかったかも知れないが……しかし、名前は重要だ。いきなり名前が変わったら困るじゃない。

「違う、故ピン()クォーツ男爵令嬢だ」
粘るわね、アンタも……!

「そこじゃねぇよ……っ!そこじゃないけど故ピン()ォーツ男爵令嬢です!故ピン()ォーツ男爵令嬢故ピン()ォーツ男爵令嬢故ピン()ォーツ男爵令嬢!リピーツアフタミーっ!」
こうなりゃやけよ!何のやけか分からないけど……!

「……故ピン()ォーツ男爵令嬢うぅぅ……っ!!」

「ザッツゥライッ!エクセレンツッ!!」
や、やりきったぁ~~っ!

「ふ……、私は王太子なのだから、当然だ」
カッコつけて前髪をサッと後ろに流す王太子殿下。しかしだな。

「王太子なのだから当然なら、貴族の家名間違えんじゃねーよ」
将来王位継いだら自分の臣下になるのよ分かってる……っ!?

「……王太子だって、時には間違う。そんなおちゃめなところが、国民たちからの人気、支持率につながるのだ」
ドテッ。ポジティブすぎやしない!?
あ、そうよ。間違いと言えばだ……!

「ねぇ、あなたその前にものっそいとこ間違っているけど……おちゃめさんにも限度があるのよ。おちゃめだからモテるってわけじゃないわよ。ほんと男子ってバカね。カッコつけちゃって。許されるのは激辛シシカバブ頼んだら間違って極辛シシカバブ買って味見しちゃって口から火を吹くレベルまでよ。分かってる?」

「辛いものは好きだぞ!」
好きなんかい……!
「極辛でもですか!」
激辛の先の、辛すぎてもはや無の境地!口の中の痛覚すら死ぬ無の境地……っ!

「無論……!私はこのグリーンエメラルド王国の王太子。我が国の国民たちが愛する庶民グルメも愛する王太子である!」
いや……愛……?とはまた違うような……。
しかし横からすっと差し出されたそれに目を見開く。

「あ、ここに極辛シシカバブあるよ――――っ!」

「何で持ってんのよ、トール。しかも極辛っ!」
トールの手にはどう見ても極辛とわかる串が握られていた。

「こっちに来る前に、道草して買って来たのが功を奏したよね~~!」
トールがこれ見よがしにじゃーんと掲げてくる、もはや全てを赤に染められたシシカバブ。うぅ~~、近付けられただけで目が痛い~~っ!

「……いや、そもそも現場に辿り着く前に道草っていいんかいっ!」
「魔法解剖医は多忙だから、食べ走りできるファストフードは欠かせねぇっ!」
「食べ歩きならまだしも食べ走り――――っ!?危ないでしょうが串モノで!!」
※みなさんは決して真似しないでください。

「私はおさつスティック食べ歩きしてただけでしゃっくり止まらなくなったけど……っ!?」
公爵令嬢だけど、あれだけは我慢できなくてメイドに買ってきてもらったの……!

特別に公爵邸の庭で食べ歩きさせてもらっただけでしゃっくりオンパレード!苦しくてどうにかなるかと思ったわ……っ!

「そう言えば……ひっく……ひくんっ」
「遅めのしゃっくり来てんじゃないの。ほら、水飲まなくちゃ……お水……えっと……お水……」
キョロキョロと辺りを見回していれば。

「オーロラソースでしたら!」
私にすっと水差し……ではなくオーロラソース差しを差し出す城の給仕。

「いや、あなた……本気!?ダメよせめて水っぽいものを……!」
「ひっく……ひぅえっく……ひもぱんてぃー!」
いや、何ひもぱんてぃー!って!それもしゃっくり!?斬新すぎやしないかしらそのしゃっくり……!

「ローズサファイア公爵令嬢さま!こちら水っぽい猛毒ポーションです!」
続いて何やら黒ずくめの人が毒々しいポーション瓶を持ってくる。

「あ……!ありがとう!これなら水っぽいしいいかも……っていいわけあるかあぁぁぁいっ!むしろ何でこんな危険なもの持ち歩いているのよ……!」

「我は王家の影」
「いや、王家の影がおいそれと姿見せちゃダメでしょうが。大体何でこんなの持ってるのよ」

「ローズサファイア公爵令嬢さまは、一時ではあるが王太子殿下の婚約者でしたので、いいかなっと……!」
「ノリ軽いなおいいぃぃぃっ!あと、王太子殿下の婚約者の件なんだけど私は……」

「あ……それ俺がひっく……作って売ったやつ……ひえっぐ……でも中身は無毒だけどじわりと精神に来るアンデット魔物の煮汁ヒルメシマダカッナぇっく」
「アンタ何王家の影相手にパチモン掴ませてるのよ!それとまさかの作者アンタかい!そもそも魔物の煮汁って……アンデット……アンデット煮たのかアンタ……!」
想像しただけでも精神やられそおぉぉぉっ!!つーか最後のしゃっくり何!?お腹すいたの!?ここは王家の夜会会場!昼飯の時間はとっくに過ぎてる!それと来る途中に極辛シシカバブ食べたんとちゃうんかい!
――――――一方で影さんはと言うと……。

「そん……な……っ」
がっくーり。
崩れ落ちる。
まぁ、王家の影精鋭集団がまさかの偽物掴まされたわけだから……相当ショックだったのね。

「……んく……っ、ごくごく、ごくんっ。あ、しゃっくり治った~~」
トールはトールでいつの間にか水筒出して水飲んで……って、最初からそれ持ってるなら飲めば良かったじゃない!!

「あのさー、王家の影さァん」
そしてトールは影さんに話しかける。

「どこの誰なのか分からない相手に、ほんまもんの毒薬売るわけないじゃん。魔法解剖医は黒魔法使い死霊魔法使いのエキスパートだから毒も呪いもドーピングもお手の物だけど」
まぁ黒魔法って呪いや毒、えげつないデバフで定評だものね。それから死霊魔法は言わずもがな。
しかしひとつあまりこの世界では聞き慣れない言葉が……。

「ど……ドーピング?」
スポーツ大会……?最強を決める年2回の武術大会ならあったわね。あとは近衛騎士団による御前試合……そこら辺でのドーピングってこと……っ!?

「……キメラ作りだ」
ニタリ。
ゾクッ。

「それ神殿にちょー怒られるやつぅっ!!」
生命への冒涜って言われるやつぅっ!死者蘇らせている時点で大激怒されるだろうがキメラ作りもアウトでしょうがぁっ!!何そのマッドサイエンティスト的な立ち位置魔法解剖医~~っ!

「大丈夫だって!相談してくれれば神官だって、聖騎士だって人類超越型ムキムキマッチョ怪物に大変身!肉体改造に耐えきれなければリアルリア充爆破ヒャッハ――――――――っ!!!」
「いや、あんた結局のところ、リア充聖騎士爆破したいだけじゃない!」

「……たりめぇよ。やつらァッ!!聖騎士ってだけでモテやがるなんざ納得いかねぇっ!何で聖騎士ばっかりモテんだ!聖魔法使える神官ばっかモテんだ不公平だろおおぉぉぉぅっ!黒魔法騎士だって黒魔法使いだってみんなモテたいのにそれだけで脅えられて逃げられるうぅぅぅぅ――――――――……っ!!……そうだ、全てキメラ化して爆破すればいい……っ!!」
「……いいやよくない、よくない!ほら、私は別に黒魔法騎士も黒魔法使いも平気だから……ね?」
リア充ってより、聖なるものへの怨み半端ないな。それも聖と魔を司る者同士の宿命なのかしら。けど魔側の闇が濃ゆいいぃっ!!

「……ビアンカ……」
あら、落ち着いたかしら……?

「そうだ……俺にはビアンカがいるじゃないか……!」
「そうそう、だからドーピングキメラはやめなさいよ」
「うん……!分かった……!」

――――――こうして、世界に平和が訪れた。




【完】

――――――いいや、終わってない終わってない……!まだ終わってないからぁ――――――っ!!!

「次からは、王家の影として買いに伺います」
しれっと王家の影さん、トールに名刺渡してるし!いいの!?王家の影堂々と引っ提げて行ってもいいの!?

「その代わり、国王陛下の許可証持ってきてね。そうじゃないと売んねぇから」
うーむ……?割りとまともに商売するのね……?

「いざというときは全部国王陛下のせいにできるし……!」
「何つー悪どいこと考えてんのアンタは……!」

「では、国王陛下の許可証をもらって来ます……!」
「いや、影さんもそれでいいの!?いざというときに陛下のせいにされるわよ!それともそう言ういざというときはないと言う陛下への絶大な信頼と忠誠心故なのかしら!」

「陛下あぁぁ――――――――っ!!今行きまする――――――――っ!!!」
影さんは……猛ダッシュで駆けて行った……。王家の影があんなに目立っていいのかしら……。
影があれでいいのかしら。

「まぁ、その……アンタのしゃっくりは取り敢えず収まったのだし……あれ、トール。アンタさっきまで持ってた極辛シシカバブ、どこにやったのよ」
今は両手で、水筒とコップをそれぞれ持っている。

周囲のテーブルにも極辛シシカバブはない……。

――――――その、時だった。

「う……ぐあぁぁぁぁ、げほごほがはぁぁぁぁあむぁぁ――――――――――――っ!?」

「こ……今度は何!?」
ものすごい咆哮!いや、悲鳴!けれどアマリリスちゃんじゃない!男の声……つまりは……っ!

「あ……あ゛ぁ、う……っ」
「ギャ――――――――――――ッ!!?」
王太子ぃ――――――――っ!王太子殿下が口から火ぃ吹いて膝から崩れ落ちたぁぁぁぁ~~~~っ!?
そしてその手には……トールが持ってきた極辛シシカバブ~~~~っ!

「ベリルううぅぅ――――――――っ!?あぁ、どうしよう……解毒ポーションが効かないいいぃぃぃっ!!」
真っ先に王太子殿下に寄り添ったヴィンセントはさすがは聖騎士ね。素早く解毒ポーションを王太子殿下に飲ませるが、全く効いている様子はない!

「いや、当たり前じゃないの……!トウガラシは毒じゃないわよ!」
むしろ適量なら身体にいいこと満載!身体暖まるし、唇にカプサイシン入りリップを塗ってもよし!米の虫除けにもなるし大助かり……!
うん、適量ならね……!!
――――――だからこそ……極辛はむやみやたらに手を出してはならない……庶民のファストフードではなく……ジョークフードなんだっつの……っ!!
注文受けた時にだけお店の人が作ってくれる特注品なのよ……!
全く……むやみやたらに庶民サービスをしようとする王族貴族が引っ掛かりそうになるのが悩みの種ね。見事に王太子殿下が引っ掛かってるし。

「ほら、王太子殿下。ミルク飲んでください。辛いものにはミルクです」
これは前世からの知識である。あぁ……前世からの知識の活かしかたこれかい……っ!極辛食べて悶える王太子殿下への介抱用か……何か虚しいわね。

そしてテーブルの上にたまたまミルクがあったので、王太子殿下に差し出せば。

「うぅ……あう……」
苦しげに王太子殿下が手を伸ばし……グラスを受け取ろうとした時。

サッ


「ちょっ!?」
グラスを奪い取った人物を見上げれば。

「ビアンカの母乳は俺が飲むうぅぅっ!リア充なんぞに渡してたまるかああぁぁぁ――――――――っ!!」
「いや、私の母乳なわけないでしょ、トール!そんな都合よく出ないわよ!」
しかしトールは構わずぐびっと一杯。

「うん……これがビアンカの母乳の味……」
「いや、だから違うって。それは牛さんのお乳よ」

「……ん?」
あれ、どうしたのかしら。トールが首を傾げる。

「これ、アルコールだ。アルコール母乳」
んなわけあるかい!それは水を注ぐと乳白色に変化するお酒よ、多分……!しかし、度数高いはずなのに……平気なのかしら……?お酒強いのね……。

さらには面倒くさいことに。

「そ……そんな……ビアンカの母乳うぅぅぅ――――――――――っ!お兄さまだって……お兄さまだって飲みたかったのにいぃぃぃぃ――――――――――っ!!!」

私の背後で崩れ落ちたであろうそのひとを振り返る。

仕事があるからと、夜会には遅れて出席すると言っていた……青い髪に青い瞳の美青年、ダニエル・ローズサファイア。
先程のセリフからも分かると思うが……まごうことなき私の兄、しかもシスコンである。
そう言えば……シスコンお兄さまもアマリリスちゃんによく言い寄られていたけど、妹への気持ち悪い執着愛ばかり叫びまくるからどんびかれていたわね。極めつけのセリフが……『あぁ……妹のブラジャー、被りたい』だったかしら……。もちろんその後、お兄さまを容赦なくビンタしたけども、後悔はしていない。前世の記憶を取り戻した今ならば……グーパンである。
当時の私の優しさに感謝して欲しいものだ。

――――――あと、私の母乳じゃないから。公爵邸で乳白色の酒飲むときに【ビアンカの母乳】って呼ぶの、本当にやめてもらいたい。

「あ……ところで王太子殿下は……」
ミルク渡しそこねちゃったけど……。
てか、ミルクでもなかったけれど。

「ギャ――――――――――――――っ!!?」

王太子殿下が……王太子殿下が浜辺に打ち上げられた人ポーズでぶっ倒れとる――――――――っ!

「おおおおぉぉっ!死体が増えたァッ!やったね!」
「やったねじゃないわよ……!トール!早く蘇生措置を……!」
「アンデット蘇生魔法だね!ビアンカ!」
「違うぅぅっ!同じ蘇生だけども違うそこおぉぉぉっ!しかも生身じゃなくてアンデットとして蘇生されるんかいっ!!あと私が言ってるのは応急救命措置よ!医者でしょうが一応……!」
「普段見るの死体だから……ついっ!」
「ついじゃないわよ!ヤブ医者かいっ!!」
※医師免許は持ってます。

――――――しかし、その時だった。

ゾクリ、と背筋が疼いたのは。

「うふふふふ……っ、死体ちゃんがまた増~えたっ♪」
不気味な声と共にほくそ笑んでいたのは……、あ、アリア王女殿下……っ!?