僕の高校生活に恋愛はずっと無関係の話だった。
もちろん彼女は欲しかったけれど中学の時のように好きな人ができることがなく、誰かが自分を好きになってくれたら良いなぁくらいでしか思ってなかった。
そんな生活に転機が訪れたのは高3の夏前の出来事だった。
とある授業で僕が書いた話が映像制作の原案の一つに選ばれた。
内容は恋愛ものであったのだがこの時の撮影のグループに男が居らず主人公は自動的に僕がやることになった。
一方女子は制作には乗り気であったが演者の恋愛模様を見ることに興味があるだけでヒロインをやる気はなく、なかなか決まらないでいた。
そんな時、一人の女子が「私がやってもいいよ」と言い出した。
隣のクラスのダンス部の子だった。
これが僕と彼女が関わるきっかけとなった。
撮影は授業と休みの日を利用して少しずつ行われ、教室での会話、公園での花火などまさに青春というシーンがカメラに収められていった。
それはコロナによって自由の少なかった僕たちにとって偽物だけど青春をしている時間にもなり今では良い思い出の一つだ。
ヒロイン役の彼女はとても不思議な人だった。
可愛い顔をしていたけれど、別に僕のタイプではなくむしろ撮影に関わっていた別のこの方が良いと思っていたくらいだ。
けれど彼女には可愛さとは違う目がいってしまう何か別のオーラに近い不思議な魅力があった。
僕は撮影を重ね彼女と関わる度にその不思議な魅力に魅了され、気がついたら彼女の好きになっていた。
よく俳優がドラマの共演者に惚れてしまうことがあると聞くがまさか自分がそうなるとは思っておらず本当に驚きだった。
今まで名前も存在も知らなかった人なのに、、
僕たちの撮った映像は他のグループと共に文化祭で上映された。
当日の彼女はいくつか別に仕事があり関わる機会はほとんどなかった。
けれど僕は友達に誘われ彼女の出ているダンスを見にいった。
舞台で踊る彼女見つけるのに時間はかからなかった。
そして次の瞬間そこから目を離せなくなった。
他の人も当然の事ながら上手なのだが撮影の時と同じように彼女の不思議な魅力に僕は吸い込まれてしまった。
僕が彼女に恋をしているからかもしれないがそれでもずっと見つめていた。
彼女への僕の思いは文化祭が終わっても変わることはなくむしろより強まっていた。
だが僕と彼女はあまりにも関わりが無さすぎた。
部活も違うし、クラスも違う、被っているのは撮影をした授業だけだ。
そんな訳だから文化祭での上映が終われば当然話す機会も減っていった。
さらに僕の受験勉強も忙しくなってしまい、再び関わることがなくなってしまった。
今にして思えば受験勉強なんてただの言い訳だったかもしれないが、、
そんな頃だった、彼女が僕の友達と付き合いだしたのは、、
彼と仲が良いことは薄々気がついていたが僕とは違う所での関わりだったためどうしようもなかった。
僕はそこから何もできないまま受験期間を過ごした。
受験も終わりしばらく経った頃彼女から突然連絡が来た。
撮影の映像を保存できていなかったみたいだ。
些細なきっかけだったがそこから再び彼女とのやりとりが始まった。
受験という縛りもなくなっていた僕にとって最高のタイミングだった。
そんな時彼氏と上手くいっていないことで相談を受けた。
僕としてはチャンスだと思ったがその彼氏ともかなり仲が良かったので手放しにも喜べなかった。
何より下手をして彼女を傷つけたくもなかった。
だから彼女に少しでも良いアドバイスをできるように僕はとにかく考えた。
彼女の気持ちや話を聞き、僕から見た彼氏についてありのままに話した。
しかし結果的に彼女と彼は別れることとなってしまった。
相談を受けた時からほぼギリギリという状態であり僕にできることはほとんどなかった。
別れた後も彼女とのやりとりは終わることなく続いた。
そんな中彼女から散歩にいかないかと誘われた。
僕は迷わず行くと答えた。
卒業式をまたいで数日後、僕たちは会った。
歩くのは地元のなんでもない場所だったがそれでも楽しく話して巡った。
友達のこと、彼氏のこと、部活のこと、僕とは違う世界を生きていた彼女というものに初めて触れた時間だった。
正直、別れて時間が経っていなかったので心配だったが彼女いつも通りで前と少しも変わらなかった。
むしろ彼女はその前から部活や人間関係のことでずっと戦っていた。
それでも僕がはじめて彼女を知った時にはそんな事を微塵も感じさせなかった。
挫けず戦い続けられる強さが僕が彼女に感じた魅力の根源なのかもしれない。
その時の僕はそう感じた。
それと同時に僕は何かの助けになっていたのだろうかとも思った。
これは彼女に聞いてみないと分からない話だが
彼女との時間はあっという間に過ぎていき気づけば4時間も経っていた。
それでも話したりなかった僕達は別れる前に次の約束をした。
今度はもっと長く話せるように
そこから10日ほど経った頃、僕たちは再び会うこととなった。
僕はこの日の為に服を用意して待ち合わせ場所に向かった。
今思い返すとちゃんとしたデートに行くのはこの時が初めてだったかもしれない。
行ったのは水族館とめちゃくちゃベタな場所だったが僕にはそれでも十分だった。
帰り道、僕たちは再び歩いて話した。
その中で好きな人の話になり彼女が「好きな人は誰なの?」と聞いてきた。
僕は「君が好きだ」と言いたい気持ちを抑え、「誰でしょう」と誤魔化した。
この時の僕にはこのまま仲の良い友達でいたいという気持ちと彼女と付き合いたいという気持ちがせめぎ合っていたからだ。
その日は何も言えずに彼女と別れた。
次は気持ちをはっきりさせて会おうと心に決めて、、
そのデート以降少しずつ彼女からの返信が減るようになった。
僕の中で嫌な予感がした、
それでも僕はやり取りを続け何とか彼女とのデートに漕ぎ着けることができた。
彼女に振られてもいいから今日絶対告白するんだと心に決めて待ち合わせ場所に向かった。
連絡の減ったことは杞憂であることを信じて
彼女とのデートは相も変わらずとても楽しかった。
でも前回は感じなかった彼女との距離を感じた。
僕の決心が揺らいだ。
当時の僕の思考がネガティブだったかもしれないが彼女の行動、仕草、全てが僕に告白させないように、早くこのデートが終われるようにしているように僕には見えた。
彼女と話して時を過ごせば過ごすほどより鮮明にそう思えてきて僕の中で何かが折れてしまった。
結局僕は何も出来ずに彼女と改札で別れた。
その日以来彼女から連絡が返ってくることはなかった。
彼女とは友達でも恋人でもなくなってしまったのだ。
もっと早く告白したら、もっと勇気があったらなにか変わったのだろうか、
僕には今も分からない
もちろん彼女は欲しかったけれど中学の時のように好きな人ができることがなく、誰かが自分を好きになってくれたら良いなぁくらいでしか思ってなかった。
そんな生活に転機が訪れたのは高3の夏前の出来事だった。
とある授業で僕が書いた話が映像制作の原案の一つに選ばれた。
内容は恋愛ものであったのだがこの時の撮影のグループに男が居らず主人公は自動的に僕がやることになった。
一方女子は制作には乗り気であったが演者の恋愛模様を見ることに興味があるだけでヒロインをやる気はなく、なかなか決まらないでいた。
そんな時、一人の女子が「私がやってもいいよ」と言い出した。
隣のクラスのダンス部の子だった。
これが僕と彼女が関わるきっかけとなった。
撮影は授業と休みの日を利用して少しずつ行われ、教室での会話、公園での花火などまさに青春というシーンがカメラに収められていった。
それはコロナによって自由の少なかった僕たちにとって偽物だけど青春をしている時間にもなり今では良い思い出の一つだ。
ヒロイン役の彼女はとても不思議な人だった。
可愛い顔をしていたけれど、別に僕のタイプではなくむしろ撮影に関わっていた別のこの方が良いと思っていたくらいだ。
けれど彼女には可愛さとは違う目がいってしまう何か別のオーラに近い不思議な魅力があった。
僕は撮影を重ね彼女と関わる度にその不思議な魅力に魅了され、気がついたら彼女の好きになっていた。
よく俳優がドラマの共演者に惚れてしまうことがあると聞くがまさか自分がそうなるとは思っておらず本当に驚きだった。
今まで名前も存在も知らなかった人なのに、、
僕たちの撮った映像は他のグループと共に文化祭で上映された。
当日の彼女はいくつか別に仕事があり関わる機会はほとんどなかった。
けれど僕は友達に誘われ彼女の出ているダンスを見にいった。
舞台で踊る彼女見つけるのに時間はかからなかった。
そして次の瞬間そこから目を離せなくなった。
他の人も当然の事ながら上手なのだが撮影の時と同じように彼女の不思議な魅力に僕は吸い込まれてしまった。
僕が彼女に恋をしているからかもしれないがそれでもずっと見つめていた。
彼女への僕の思いは文化祭が終わっても変わることはなくむしろより強まっていた。
だが僕と彼女はあまりにも関わりが無さすぎた。
部活も違うし、クラスも違う、被っているのは撮影をした授業だけだ。
そんな訳だから文化祭での上映が終われば当然話す機会も減っていった。
さらに僕の受験勉強も忙しくなってしまい、再び関わることがなくなってしまった。
今にして思えば受験勉強なんてただの言い訳だったかもしれないが、、
そんな頃だった、彼女が僕の友達と付き合いだしたのは、、
彼と仲が良いことは薄々気がついていたが僕とは違う所での関わりだったためどうしようもなかった。
僕はそこから何もできないまま受験期間を過ごした。
受験も終わりしばらく経った頃彼女から突然連絡が来た。
撮影の映像を保存できていなかったみたいだ。
些細なきっかけだったがそこから再び彼女とのやりとりが始まった。
受験という縛りもなくなっていた僕にとって最高のタイミングだった。
そんな時彼氏と上手くいっていないことで相談を受けた。
僕としてはチャンスだと思ったがその彼氏ともかなり仲が良かったので手放しにも喜べなかった。
何より下手をして彼女を傷つけたくもなかった。
だから彼女に少しでも良いアドバイスをできるように僕はとにかく考えた。
彼女の気持ちや話を聞き、僕から見た彼氏についてありのままに話した。
しかし結果的に彼女と彼は別れることとなってしまった。
相談を受けた時からほぼギリギリという状態であり僕にできることはほとんどなかった。
別れた後も彼女とのやりとりは終わることなく続いた。
そんな中彼女から散歩にいかないかと誘われた。
僕は迷わず行くと答えた。
卒業式をまたいで数日後、僕たちは会った。
歩くのは地元のなんでもない場所だったがそれでも楽しく話して巡った。
友達のこと、彼氏のこと、部活のこと、僕とは違う世界を生きていた彼女というものに初めて触れた時間だった。
正直、別れて時間が経っていなかったので心配だったが彼女いつも通りで前と少しも変わらなかった。
むしろ彼女はその前から部活や人間関係のことでずっと戦っていた。
それでも僕がはじめて彼女を知った時にはそんな事を微塵も感じさせなかった。
挫けず戦い続けられる強さが僕が彼女に感じた魅力の根源なのかもしれない。
その時の僕はそう感じた。
それと同時に僕は何かの助けになっていたのだろうかとも思った。
これは彼女に聞いてみないと分からない話だが
彼女との時間はあっという間に過ぎていき気づけば4時間も経っていた。
それでも話したりなかった僕達は別れる前に次の約束をした。
今度はもっと長く話せるように
そこから10日ほど経った頃、僕たちは再び会うこととなった。
僕はこの日の為に服を用意して待ち合わせ場所に向かった。
今思い返すとちゃんとしたデートに行くのはこの時が初めてだったかもしれない。
行ったのは水族館とめちゃくちゃベタな場所だったが僕にはそれでも十分だった。
帰り道、僕たちは再び歩いて話した。
その中で好きな人の話になり彼女が「好きな人は誰なの?」と聞いてきた。
僕は「君が好きだ」と言いたい気持ちを抑え、「誰でしょう」と誤魔化した。
この時の僕にはこのまま仲の良い友達でいたいという気持ちと彼女と付き合いたいという気持ちがせめぎ合っていたからだ。
その日は何も言えずに彼女と別れた。
次は気持ちをはっきりさせて会おうと心に決めて、、
そのデート以降少しずつ彼女からの返信が減るようになった。
僕の中で嫌な予感がした、
それでも僕はやり取りを続け何とか彼女とのデートに漕ぎ着けることができた。
彼女に振られてもいいから今日絶対告白するんだと心に決めて待ち合わせ場所に向かった。
連絡の減ったことは杞憂であることを信じて
彼女とのデートは相も変わらずとても楽しかった。
でも前回は感じなかった彼女との距離を感じた。
僕の決心が揺らいだ。
当時の僕の思考がネガティブだったかもしれないが彼女の行動、仕草、全てが僕に告白させないように、早くこのデートが終われるようにしているように僕には見えた。
彼女と話して時を過ごせば過ごすほどより鮮明にそう思えてきて僕の中で何かが折れてしまった。
結局僕は何も出来ずに彼女と改札で別れた。
その日以来彼女から連絡が返ってくることはなかった。
彼女とは友達でも恋人でもなくなってしまったのだ。
もっと早く告白したら、もっと勇気があったらなにか変わったのだろうか、
僕には今も分からない