僕とムラ村さんは、なんでかわからないが、結ばれることもなく、ただただ時が過ぎるのであった。
「なぜだ! 絶対、ムラ村さんは僕に惚れているはずなのに……」
そんな風に思っているだけで、行動にはなかなか移せない。
気がつけば、進級の時期になり、四年生になっていた。
もちろん、ムラ村さんは、僕とまた同じクラスだ。
良かったぁ。これだけ、時間があれば、今年中には彼女を落とせそうだ。
僕が住んでいた地区は、とにかく引っ越しの多い家庭が集まっており、年中生徒が出たり入ったりが、日常茶飯事だ。
意中の人である、ムラ村さんは、地元民なので、無問題。
そんな時、クラスに一人の少女が転校してきた。
「こんにちは! 仙台から来ました、背伸 たか子です!」
背伸さんは、かなり身長の高い女の子、スラッと細い体型、脚もかなり長い。
モデルさんみたいなキレイな人だった。
クラスのみんなが、「おぉ!」と思わず、声をあげるほどだ。
いらない情報だが、僕も当時、身長がかなり高い方だった。
クラスでも後ろから2番目ほど。
その僕よりも、背伸さんは身長が高い。
「キレイな子だなぁ~」
そんな風に思いながら、僕は鼻をほじって、彼女を見つめる。
正直言って興味がなかった。
なぜならば、僕は自分より身長の高い女の子は、あまり好みではなかったからだ。
それを見ていたムラ村さんが、僕にキレる。
「ちょっと、童貞! 転校生が挨拶してんだから、鼻をほじるのやめるんだぎゃ!」
「え……?」
「童貞って、鼻くそイスの下にくっつけてんの、知ってんだぎゃんね!」
「ちょ、ちょっと……ムラ村さん、そんなウソはやめてよ」
きっと、チビのムラ村さんは、モデル体型の背伸さんに嫉妬していたのだろう、たぶん。
だが、背伸さんが転校してきてから、よく担任の教師に言われて、タッグを組まされる事が多かった。
僕と彼女の身長がほぼ一緒だったし、割とのほほんとした性格だったから、先生が僕たち二人を気に入っていたのだと思う。
なにか用事があると……。
「あ、職員室までこの書類をお願いね、童貞くんと背伸さんがいいわ」
またかと思い、背伸さんと並んで廊下を歩く。
隣りがムラ村さんなら、別なのだが、テンション低めで、鼻をほじる。
「ふわぁ~ めんどくさ~」
背伸さんが言う。
「ねぇ、童貞くんってさ。名古屋の人じゃないの?」
「え? なんで?」
「なんか標準語だからさ」
「まあね~」
ある日、教室で風邪が流行ってしまい、何人かの生徒が休んでいた。
体育の時間、僕と背伸さんに相手がいなかった。
すると、それを見た先生が言う。
「童貞くん! あなたが背伸さんと一緒にやりなさい!」
「えぇ……」
というのも、今日の授業は、逆立ちだったから。
運動場で行われ、一人が地面の上で逆立ちをし、相方が足を掴んで支えてあげるというもの。
だが、しかしだ。
背伸さんは、女子。つまりブルマを履いている。
なんてこった!
人生で初めて、女の子の肌に触れる機会が出来るなんて……。
でも、僕はこう見えて紳士だ。
女の子が嫌がることはしたくない。
「背伸さん、無理しなくていいよ」
「ううん。童貞くんとはいつもコンビ組まされているし、私は全然気にしないから」
そう言って、快く先生の提案を受けいれるのであった。
※
「う、うぅん……」
「くっ……」
思ったより、背伸さんの身体は重たかった。
脚が長いし、持ちづらい。
「うぅん……童貞くん、しっかり持ってよぉ。倒れたら嫌よ」
「あぁ、わかってるよ」
その時だった。クラスの誰かが叫ぶ。
「童貞くん、エロい目で見ていない!?」
「ええ!? み、見ていないよぉ!」
なるべく、下を見ないようにしていたというのに、酷い言いがかりだ。
振り返って、反論しようとした瞬間、バランスを崩す。
「ちょっと! 童貞くん! た、倒れちゃうって! しっかり持ってよ!」
「あ、ごめん」
姿勢を戻して、彼女の細い脚をギュッと掴みなおす。
「しっかりこっちを見て集中してよね!」
言われて、つい下を見てしまう。
そこには、初めて見る素晴らしい光景が……。
零距離で、女の子の股間を目にするのは、生まれて初めてだった。
紺色のブルマ、ちょっと毛玉が出来ている。
特出すべきは、ブルマからはみ出た白いパンティー。
「ちゃんと、私を見て集中してよね、童貞くん!」
「ああ……わかってるよ……」
いつもバディーを組ませられているとはいえ、ここまで僕に全てを見せる必要性があるのだろうか?
その後も僕はずっと背伸さんのビキニゾーンを、しっかり集中してガン見していた。
くっ! 罪深い男だ。
間違いなく、この子、僕に惚れているなっ!