大阪から名古屋に引っ越してきた僕は、毎日ポカーンとしていた。
 というのも、大阪で落とせなかったチビ岡さんに、勝るほど可愛い子がクラスにいなかったからだ。

「あ~ 恋がしてぇ~」

 そんなことを考えながら、鼻をほじりつつ、九九を覚えるのに1年も費やした。

 名古屋って街は、僕が胸キュンするような、展開がないところなのだろう……。
 そうあきらめかけていたころ、進級することになる。

 3年生になり、クラスがほぼ丸ごと、生徒が入れ替わる。
 
 そして、初めて隣りの席になった子が、ムラ村さんだった。
 彼女は大阪のチビ岡さんと同じで、低身長で目がパッチリした可愛い子。
 だが、一つだけ違うのは、性格だ。
 シャキシャキした子で、言いたいことはハッキリ男女分け隔てなく、物を言う。
 クラスでも人気な女の子。

 当然、シティボーイで通っているこの僕は、彼女がいずれ意識するのを期待する。

 ある日、放課後に居残りを二人で食らった。
 休日の間に、宿題をちゃんとやれなかったからだ。

 ムラ村さんとちょっと、言い合いになる。
 
「何ページまで、やるはずだったか?」
 
 我の強い子だったから、絶対自分の発言を曲げない。

「だから~ 13ページまでだっていってるだぎゃん! 童貞!」

 いきなり呼び捨てとは、参ったな。

「ムラ村さん、違うよ。14ページまでじゃないか……」
「わたしのことが信用できないだぎゃん!?」

 どんどん顔を真っ赤にして興奮する。
 一体、なぜこんなに必死になるんだ?
 そうか、僕とお話をしたいのだな。
 よし、続けてあげよう。

「ムラ村さん、ウソは良くないよ。僕は先生からちゃんと聞いたんだ!」

 拳で机を叩き、ジッと彼女の目を見つめる。
 するとムラ村さんは、黙って下を向く。
 しばし、身体を小刻みに震わせたあと……。

「あたしの方が正解だっつてんだぎゃっ!」

 何を思ったのか、彼女は僕に向かって、蹴りを一発お見舞い。
 彼女の上靴の跡が頬にしっかり残る。
 だが、蹴られる瞬間、僕は見逃さなかった。
 ムラ村さんは、膝丈のフレアスカートを履いている。
 真っ白なパンティーが、丸見えだったことを……。

 僕は蹴られた反動で、教室の床に倒れ込む。

「な、なにをするんだ! ムラ村さん!」

 彼女は僕に近寄ると、こう言った。

「あたしの方が正解って認めるだぎゃん!」

 そう言って、僕を上から見下ろす。
 倒れた僕からしたら、依然として、パンツが丸見えだ。

 なんだ……この感覚。
 こんな小さな女子に暴力を振るわれたというのに、快感さえ覚える。
 そして、鋭い目で僕を上から見下ろすムラ村さんと、白いパンツ。
 なにか別の扉が、開く音が聞こえてきた……。

 僕が頷くまで、彼女はずっと仁王立ちし、てその場から離れない。
 その間、ずっと僕におパンティーを見せてつけている。
 たかだか宿題のために、こんな長時間、自分の股間を僕に見せる必要があるのだろうか?

 まさか!? この子、僕に惚れいてるかもしれない!