詩集 声にならない言葉を君に

朝顔が咲く時間から ひまわりが咲く時間をいつも君と過ごしている。

特別な感情なんてないふりして過ごしている。

今日は花火を見る時間まで一緒に過ごす。

今日こそは本音を言えたらいいな。

夏風が私をそっと押してくれる。
君の視線の先には私ではない人がいる。

そんなことはとうにわかっていた。

君からの卒業をしなければいけない。

懐かしい校舎も黒板も下駄箱も全てお別れ。

好きな人がいることはわかっていた。

君から卒業して私の視線の先に別の誰かがいる日を願って。
ため息をつくと幸せが逃げるらしい。

でも、わざとため息をついてみる。

いい感じになる二人を祝福できそうにないから。

私にもこんな笑顔を見せてくれたらいいのに。

またため息をついてしまった。
ふとした時に思う。今まで生きてきたことは無意味だったのではないかと。突如不安になる。自分らしさを失うことが大人になることなのかもしれない。当たり前であるはずのことが私にはないように思う。
こんな夜だから君に連絡したいんだ。
一人は孤独が身にしみるから。
こんな夜だから君の声が聞きたいんだ。 
君の声に包まれて眠れば、明日また頑張れる気がするから。
君の声は私の心を落ち着かせてくれるんだ。
私達はちっぽけで、世界を変えるなんてできないと思ってた。
でも、君は世界を変えてくれた。
私のちっぽけな視界を広げてくれた。
今は君が世界の全てなんだよ。
恋なんてしなくても生きていけるけど、恋する気持ちにブレーキは効かない。

愛されなくても生きていけるけど、人に好かれるに越したことはない。
私なんか、とか、君なんかという言葉はマイナスな印象だ。

「なんか」という言葉はひとく曖昧だ。

なんか楽しい、とか、なんか似てるな、とか。

なんだかという意味もある。

つまり言葉は使い方次第だったりする。

今日の「なんか」はどんな意味?
私が何者になるかもわからない時にいた場所は学校だ。

母でもなく会社員でもなく妻でもない時。

たくさんの無限なる時間をくれた場所。

何者にかなった私は久々にみんなに会いに行く。

同窓会というタイムリープの場所へ。