君という夢を描いて

「あ……」
あっさり見抜かれていた。
「やっぱり、そうでしたか」
「えっと、まあ……そんな感じ」
そんなにわかりやすかっただろうか。はたまた、若葉ちゃんの勘が鋭いからなのか。いずれにしても、桜ヶ丘さんへの好意がバレた以上、詰んだも同然。気まずさMAX。俺の淡い恋心は、きっと淡いまま儚く散る運命だったのだろう。
「そういうことなら、協力してもいいですよ」
「え?」
協力? 今、協力って言った?
「梨歩、これまでも何人かの人からデートのお誘いがあったんですけど……気乗りしないし今は恋愛する気になれないって全部断ってて」
それは、余計に脈なしではないのか。
喉まで出かかった言葉を飲み込もうとした時だった。
「でも、今日の梨歩の様子を見て確信しました。涼平さんなら、もしかするといけるんじゃないかって」
「え……ど、ど、どのへんが?」
変に吃ってしまう俺。
「梨歩が男性の前であんなに笑ったの、初めてなんです」
「いや、俺は何もしてないけど……」
寧ろ彼女の笑いのツボが知りたい。
「笑わせようとして笑わせてくる人は、面白くないみたいです。彼氏にするなら、意図せず自分を笑わせてくれる人がいいと言っていたので。ナチュラルでやや草食系っていうんですかね? そんな人がいいそうです」
どこか素直に喜べない俺。桜ヶ丘さんの好みに条件が一つでも当てはまるなら、可能性はゼロではないのはわかる。だが、きっとこんな地味男を相手にするほど彼女は相手選びには困らないだろう。
「俺、マジで恋愛の経験値ないから……つまらんと思うよ」
「だから、今回その経験を積むチャンスじゃないですか」
若葉ちゃんがやたらと俺の背中を押してくる。
「これは、梨歩にとってもいい経験になるはずですから」
「でも……」
「じゃあ、私はこれで失礼しますね」
「あ、ちょっと――」
「あ、大丈夫です。自分のお代は自分で出しますから」
「いや、そうじゃなくて……」
「あ、そうだ。梨歩がもうすぐバイト終わるので、そのままそこで待っててくださいね。あとで涼平さんから梨歩に話があるって伝えときますので」
「え! それはちょっと……」
「今日はこの後もまだ時間あるんですよね? なら何も問題ないかと」
「う……」
何て記憶力なんだ。
「では、頑張ってください」
やや強引に推し進められてしまい、俺は呆然とする。
ヤバい、緊張してきた。