「あの……」
ワカバさんが申し訳無さそうに「せっかくの休憩時間にごめんなさい」と再度謝ってきた。
「あ、いいんです。俺もう今日は予定ないので」
俺は思い切ってワカバさんに訊いてみる。
「あの……」
「はい?」
「桜ヶ丘さんって……」
「梨歩、ですか?」
「…………あ、えっと……」
ヤバい、緊張してきた。
「い、いつも元気がいいですね」
俺は何を言ってるんだ。訊きたいのはそういうことじゃないのに。
多分、ワカバさんもなんだコイツ?って思っているだろうな。
さり気なく彼氏の有無とか、そういうのを聞き出す方法ってないのだろうか?直接聞いたほうが確実なのはわかっているが……デリカシーないやつと思われたくなくてつい遠回りしすぎた結果がこのザマだ。やっぱり当たって砕ける覚悟が必要なのだろうか。
「梨歩は、中学を卒業してからずっとここでバイトしてるんです。自分の夢を叶えるために」
ワカバさんが思いもよらぬ情報をくれた。「せっかくなので、少しご一緒してもいいですか」と彼女がいうので、俺は二つ返事で了承した。向かいの席に腰掛けた彼女は、アイスティーを注文し話を続けた。
「改めまして、梨歩の友人の山口若葉です」
「あ、俺は柴田涼平です」
改めましての挨拶に、俺はド緊張してしまう。普段面と向かって女の子と話すことなんてないし、免疫も備わっていない。
「柴田さんは、大学生ですか?」
「あ、はい。すぐそこの、美大に」
「え、あの月ヶ丘美大ですか!?」
「はい、まあ。そこの2年です、一応……」
そんなに驚かれるとは。
「すごいですね。かなり狭き門でプロの卵の精鋭ぞろいって聞いたことあります。デザインか何かの勉強を?」
「いや、俺は絵画で。風景画をメインで描いてます」
「そうでしたか。私は来年の春から東堂大の造形学部でフラワーデザイナーの勉強をしたくて。高校も園芸科に通っています」
「え、まだ高校生?」
俺は思わず口走ってしまう。
「はい」
「すみません。あまりに大人っぽいから、俺よりも若いとは思わなくて……あ、気を悪くしたらごめん、なさい。えっと……」
やってしまった。
「いえ、大丈夫です。よくそう言われるので。ちなみに梨歩とは小学生の頃からの付き合いです。もう7年くらいになりますね」
若葉さん、いや、若葉ちゃん? 馴れ馴れしいか? 山口さん、と呼ぶべきか。
「涼平さん、あ! 柴田さん。ごめんなさい、下のお名前で呼んでしまって……」
何と、彼女の方がやってくれた。
「あ、涼平でいいです。俺も、下の名前で呼んでいい、ですか?」
「はい。それは全然構いません。ちなみに涼平さんは私よりも年上の方なので、敬語じゃなくていいですよ。話しにくそうですし」
ものすごく気を遣われてしまった。でも、彼女の厚意を無駄にしてもかえって失礼になるだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えます。あ、甘える、ね。ありがとう」
「いいえ。多分梨歩は近々涼平さんに敬語使わなくなると思うので」
「え?」
若葉ちゃんの含みのある言動が気になって俺は思わず訊き返した。
「あの、それはどういう意味で?」
「私の想像で申し訳ないんですけど、涼平さんって……梨歩のこと、気になってますよね?」
ワカバさんが申し訳無さそうに「せっかくの休憩時間にごめんなさい」と再度謝ってきた。
「あ、いいんです。俺もう今日は予定ないので」
俺は思い切ってワカバさんに訊いてみる。
「あの……」
「はい?」
「桜ヶ丘さんって……」
「梨歩、ですか?」
「…………あ、えっと……」
ヤバい、緊張してきた。
「い、いつも元気がいいですね」
俺は何を言ってるんだ。訊きたいのはそういうことじゃないのに。
多分、ワカバさんもなんだコイツ?って思っているだろうな。
さり気なく彼氏の有無とか、そういうのを聞き出す方法ってないのだろうか?直接聞いたほうが確実なのはわかっているが……デリカシーないやつと思われたくなくてつい遠回りしすぎた結果がこのザマだ。やっぱり当たって砕ける覚悟が必要なのだろうか。
「梨歩は、中学を卒業してからずっとここでバイトしてるんです。自分の夢を叶えるために」
ワカバさんが思いもよらぬ情報をくれた。「せっかくなので、少しご一緒してもいいですか」と彼女がいうので、俺は二つ返事で了承した。向かいの席に腰掛けた彼女は、アイスティーを注文し話を続けた。
「改めまして、梨歩の友人の山口若葉です」
「あ、俺は柴田涼平です」
改めましての挨拶に、俺はド緊張してしまう。普段面と向かって女の子と話すことなんてないし、免疫も備わっていない。
「柴田さんは、大学生ですか?」
「あ、はい。すぐそこの、美大に」
「え、あの月ヶ丘美大ですか!?」
「はい、まあ。そこの2年です、一応……」
そんなに驚かれるとは。
「すごいですね。かなり狭き門でプロの卵の精鋭ぞろいって聞いたことあります。デザインか何かの勉強を?」
「いや、俺は絵画で。風景画をメインで描いてます」
「そうでしたか。私は来年の春から東堂大の造形学部でフラワーデザイナーの勉強をしたくて。高校も園芸科に通っています」
「え、まだ高校生?」
俺は思わず口走ってしまう。
「はい」
「すみません。あまりに大人っぽいから、俺よりも若いとは思わなくて……あ、気を悪くしたらごめん、なさい。えっと……」
やってしまった。
「いえ、大丈夫です。よくそう言われるので。ちなみに梨歩とは小学生の頃からの付き合いです。もう7年くらいになりますね」
若葉さん、いや、若葉ちゃん? 馴れ馴れしいか? 山口さん、と呼ぶべきか。
「涼平さん、あ! 柴田さん。ごめんなさい、下のお名前で呼んでしまって……」
何と、彼女の方がやってくれた。
「あ、涼平でいいです。俺も、下の名前で呼んでいい、ですか?」
「はい。それは全然構いません。ちなみに涼平さんは私よりも年上の方なので、敬語じゃなくていいですよ。話しにくそうですし」
ものすごく気を遣われてしまった。でも、彼女の厚意を無駄にしてもかえって失礼になるだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えます。あ、甘える、ね。ありがとう」
「いいえ。多分梨歩は近々涼平さんに敬語使わなくなると思うので」
「え?」
若葉ちゃんの含みのある言動が気になって俺は思わず訊き返した。
「あの、それはどういう意味で?」
「私の想像で申し訳ないんですけど、涼平さんって……梨歩のこと、気になってますよね?」



