君という夢を描いて

「好きです」



もし、彼女にそう言えたらどんなに楽だろう。


そんな勇気も度胸もあるはずなかった。


昨年春に地方から上京し、大学2年生になった時点で未だ恋愛経験ゼロの俺は、告白なんて大それたことをしたこともなければ、されたこともない。永遠に成立することはない関係性なんて、想像しても虚しいだけだ。そう思い込むことで本音を直隠しにしながらプライドだけを保ち続けた。

それでも、今回ばかりはどこか期待してしまう。
俺を選んでくれる保証なんてないに等しいのに、妄想とやらはそれすらも超越し、いとも簡単にその先の嬉しい展開を連想させてくる。しかもノンストップだ。

ヤバいと思いながらも、欲望を満たすように都合の良いシチュエーションを自動再生しながら、会計を済ませて俺は壁際のテーブル席に着いた。

「はあ……」

もしも奇跡が起こるなら、俺は彼女の前でどんなリアクションをするだろう。
いや、どんなリアクションをすればいいだろうか。リアクションの仕方までシミュレーションするなんて、ただの変態ではないか。
あれこれ考えていると、声をかけられた。
「あの、大丈夫ですか?」

「あ、はい……え? え」

声の主にハッとする。