君という夢を描いて

「あたし、生まれつき心臓が弱くて。小さい頃何度も手術したの」

青白く浮き出た血管が透き通って見える。儚げなその柔肌には残酷すぎるくらいの存在感。
俺は思わず気圧(けお)されそうになる。

「気持ち悪いよね。こんな傷、二度と消えないってわかってるのにさ。何度も見るたびに、どうにか消す方法ないかなとか、隠すことばかり考えちゃう自分が本当に嫌で。もし好きな人ができて、いつかこの傷を見ることになったら……気持ちが離れていっちゃうんじゃないかって。だから、最初に話しておこうと思って」

彼女の傷には驚いた。でも、それ以上に俺にその傷のことを打ち明けた勇気に感服した。


確かに驚きはしたが、傷があるからなんだ。彼女は彼女じゃないか。

とにかく明白なのは、彼女は俺の想像以上に今まで傷ついてきたことだ。普段の溌剌とした元気いっぱいの彼女からは到底知り得ない事実だったが、その傷こそが彼女の芯の強さを助長しているようにも思えて、時折見せる繊細さの意味を漸く理解できたような気がした。

「あ、あとね。あたし、見ての通りまな板だから……。友達の若葉って子いるじゃん? 前にも言ったかもしれないけど、あの子すごくグラマーで。脱ぐともっとすごくて。だから、羨ましいっていうか、長年のあたしのコンプレックスというか……。もし、涼ちゃんが胸ある方が好きなら、がっかりさせちゃうかなって……ああ、何言ってんだろ、あたし」
「綺麗だ」

「……へ? 何が? どこが?」
「綺麗、というか、格好いいよ」
梨歩は、ぽかんと口を開けて固まってしまった。

「あ、ごめん。わかりにくかったよな」
「うん、どゆこと?」