君という夢を描いて

 こんな中途半端になるなんて。最高にダサ過ぎる。


俺は何とか知識の糸を手繰り寄せ、今後の展開に備え模索しようと試みる。
とりあえず、もう一度彼女を抱き寄せてみるか。
(こ……これで、いいのか……?)

俺がぎこちなく手を伸ばそうとすると、「ちょっと待って」と彼女に静止された。

そうか。そうだよな。冷めるよな。
俺は一人、自己嫌悪に陥る。
(うん、終わったな)

パサっと、何かが床に落ちる音がした。

「?」


俺の視線の先の梨歩が、羽織っていたレースのカーディガンを脱いで、それが床に滑り落ちる音だった。そして梨歩は、俺の目の前でそのまま上半身の脱衣を始める。

「え、ちょ、ちょ待っ――!」

スルスルと滑(なめ)らかに上半身を纏っていた衣服を滑らせ、あっという間に下着姿になる梨歩。目のやり場に困った俺は、思わず視線を逸らす。

「涼ちゃんに、話しておかないといけないことがあるの」
真剣さを含んだ梨歩の声に、俺は再び梨歩の方へと視線を向けた。

「あ……」
ヤバい。ヤバい。

俺の中で、聞き慣れない鼓動がバクついて頭がフラフラする。まるで飲み慣れない酒を、一口飲んで秒で酔いが回ったみたいに……。

朦朧とし始めた意識。俺は今にも卒倒しそうになる脆弱なメンタルを何とか保とうと、脳内で奮闘し始めた。

(落ちるな、落ちるな、落ちるな! 絶対に落ちるな! 死んでも落ちるな!)


梨歩は少し恥じらいながら背を向け、下着を外した。
「驚かないでね」

今の時点でだいぶ驚愕なのだが、多分とても大切なことなのだろう。俺は「わかった」と返す。

上半身を露わにした彼女。
俺は息を呑んだ。
「ーーッ」
彼女の胸に刻まれた生々しい傷跡に。