「姉貴、頼みが……あるんだ」
俺は見舞いに来た姉貴に、俺がいなくなったあとのことについて伝えた。
「俺がもし……梨歩の誕生日まで生きられなかったら、梨歩の誕生日に……間に合うようにこれを……届けて、ほしい」
俺は完成した梨歩の絵を姉貴に渡す。
「ついでに、簡単でいいから、ラッピングも……」
「涼平……」
「あと、俺が死んだってことも……絶対に言わないでほしい」
「な、何いっとんの? それはダメやろ」
「梨歩、心疾患があって今入院してるんだ。生まれつき心臓が悪いから、余計な心配かけて……もし梨歩の体調が悪化するようなことになるのは、絶対避けたい。だから、梨歩からもし連絡が来たら、俺の振りして対応してほしい。せめて、誕生日が過ぎるまでは……」
「私に嘘つけってこと? それ、梨歩ちゃんを欺くことにならんの?」
わかっている。そんなことをしたって、いずれは真実を知ることになることくらい。
ただ、それを知らせるのは今じゃない。その思いがあるからこそ、俺は譲れなかった。
「それでも、今梨歩に伝えるのは酷だから。せめて誕生日が過ぎるまでは言わないでほしい」
俺は見舞いに来た姉貴に、俺がいなくなったあとのことについて伝えた。
「俺がもし……梨歩の誕生日まで生きられなかったら、梨歩の誕生日に……間に合うようにこれを……届けて、ほしい」
俺は完成した梨歩の絵を姉貴に渡す。
「ついでに、簡単でいいから、ラッピングも……」
「涼平……」
「あと、俺が死んだってことも……絶対に言わないでほしい」
「な、何いっとんの? それはダメやろ」
「梨歩、心疾患があって今入院してるんだ。生まれつき心臓が悪いから、余計な心配かけて……もし梨歩の体調が悪化するようなことになるのは、絶対避けたい。だから、梨歩からもし連絡が来たら、俺の振りして対応してほしい。せめて、誕生日が過ぎるまでは……」
「私に嘘つけってこと? それ、梨歩ちゃんを欺くことにならんの?」
わかっている。そんなことをしたって、いずれは真実を知ることになることくらい。
ただ、それを知らせるのは今じゃない。その思いがあるからこそ、俺は譲れなかった。
「それでも、今梨歩に伝えるのは酷だから。せめて誕生日が過ぎるまでは言わないでほしい」